誕生日プレゼントに図書室を

藤江夕希子(ふじえゆきこさん) フラワーエデュケーション・ジャパン代表

フラワーエデュケーション・ジャパン代表
藤江夕希子(ふじえゆきこ)さん

主人が提案してくれた、思いがけない贈りもの

「2012年の誕生日。主人が『プレゼントは何がいい?』と聞いてくれたのですが、何も欲しいものが浮かばなかったんですね。そうしたら主人がプレゼントのかわりに図書室をひとつ贈るのはどうかって提案してくれて、それはとっても嬉しいなって」

藤江さんは都内でフラワーアレンジメントの協会を主宰していて、小学生と中学生の、ふたりの男の子のお母さんでもあります。「今年は欲しいものがなかったけれど、来年の誕生日は『あのバッグを買って』なんて言っているかもしれない(笑)。それでいい、と思うんです。ムリせず気楽に、楽しみながらできることを続けていけたら。チャリティって苦しいことでも、自分を犠牲にすることでもなく、楽しみながらできるよ、ってもっと多くの人に知って欲しいなと思います」。

自分も楽しみながらできることを、続けたい

東日本大震災の後、何度も東北へ足を運んでいるという藤江夫妻。最初はご主人が炊き出しや物資の運搬をされていましたが、状況が落ち着き始めてからは、奥様が無料で受講できるフラワーアレンジメント教室を何度か開催しています。

「お花に触るなんて久しぶり、と皆さんとても喜んでくださって、私たちが元気をいただいて帰ってくる感じです。アレンジメントを作るときって、すごく夢中、無心になれるんですよね。ちょっとイヤなことがあった日でもアレンジが完成する頃にはスッキリ、なんてことは私も経験があります。小さなことかもしれないけれど、そんなお花と一緒に過ごす時間をお届けできたらと思って、この活動も自分たちにできる範囲で続けていきたいと思っています」。

お母さんになっていっそう強まった、世界の子どもたちを思う気持ち

藤江さんが社会貢献を意識するようになったのは20代のはじめ。「インドやアフリカを旅行したことがきっかけですね。それはほんの浮かれた気持ちの学生の旅行だったんですけれど、現地の貧しい子ども達の姿に衝撃を受けることになりました。

『仕事で収入を得られるようになったら、何か少しでも自分にできることをやりたい』とこの時意識したんです。それで、社会人になってからは子どもを支援するNPOにお金を送ったりしていたのですが、自分が親になってからはさらにその意識が強くなりました。

生徒さんとつなげていく、チャリティの嬉しい連鎖

今は生徒さんを持つようになって、彼女たちに向けて『発信』することもできるのがとても嬉しいです。女性は多少なりとも地域との関わり助けあいの中で子供を育てているでしょう?もともとチャリティマインドのようなものを持っていて、なにか自分にもできることがあれば役に立ちたいって意識を持った人が多いと思うんです。

実際、私の図書室の話を聞いて『誕生日の記念に、自分にできる金額を寄付しました』という生徒さんもいらして。嬉しかったですね。たとえばルーム・トゥ・リードのことを、私が10人の人に伝えられたら100人に、100人の人に伝えられたら1000人に、またその人達から広がっていくように思います。周りにチャリティマインドを持った人が増えてくると、仕事のミーティングをしていても『このプロジェクトにこんな社会貢献を加えられそうだね』なんて意見が自然と出てくるようになるんですよね。わくわくしますよね、そういうのって」

お母さんには、子どもに世界のことを伝える役目がある 

「父は知識を得ることで人生を切り拓いてきた人で『知識は武器だよ、自分の世界を広げてくれるよ』といつも話してくれました。そんな父の思いを引き継ぎたいなと思っています。ネパールの子どもたちが図書室で本と出会って、幸せな気持ちになる子や、可能性を広げていく子が出てきてくれたら本当に嬉しい」。

一度は自分の目で見なければ、と数年前にチャリティイベントを通じて、カンボジアの小学校に建てられたルーム・トゥ・リードの図書館を訪ねた後は、「子どもたちに伝えたい」思いが特に強くなったと藤江さんは言います。「自分の身の回りだけではなくて、世界ではいま何が起きているのか、子どもたちに関心を持っていてほしいし、それを教えていくためにはまず、自分がよく知らなくてはいけないと思うようになりました。難しいことではあるけれど。ニュースになっている出来事から『どうしてこの国でこんな事件が起きたんだろう?』と皆で考えたり、私が旅しながら感じたその国その国のお国柄、国民性のようなものを話して聞かせたり…そんな話題で朝食を摂ることが日常になりました。

今の子どもたちが大人になる頃に

特に東日本大震災の後は、日本でも何かしらのチャリティやボランティアに関わる方が増えてきましたよね。そんな親の姿をみている子どもたちが大人になる頃には、何かが違っているはずだと思うんです。彼らにも自分にできる社会貢献を自然にやっていけるようになってほしいと願っています。」

フラワーエデュケーション・ジャパン
http://flowereducation.net

(取材・文:永井順子)

藤江さんご夫妻にご支援をいただいた図書室は、ネパール西部ラムジュン郡にある小学校に設立されました

藤江さんご夫妻にご支援をいただいた図書室は、ネパール西部ラムジュン郡にある小学校に設立されました

新しい図書室が設立された校舎の外観

新しい図書室が設立された校舎の外観

完成した図書室では、子どもたちが現地語で書かれた新しい本を熱心に読んでいます。

完成した図書室では、子どもたちが現地語で書かれた新しい本を熱心に読んでいます。