
2026年2月19日、ルーム・トゥ・リードはザンビア教育省と覚書(MoU)に正式に署名し、アフリカでの活動において大きな節目を迎えました。
これは、単なる正式な合意ではありません。
ザンビアのすべての子どもたちが、文章を読んで理解する力を身につけ、自信を持って学び、変化し続ける世界で豊かに生きていくために必要なライフスキルを育む機会を得られるようにする――その共通の約束を新たにするものです。

これまで築いてきた確かな基盤
ルーム・トゥ・リードは2008年にザンビアで活動を開始しました。その後約10年にわたり、教育省や地域社会と緊密に連携し、次のような成果を上げてきました。
・53万人を超える子どもたちの基礎学習スキルの習得を支援
・613校を支援
・487か所の学校図書館を設置
・現地の作家とイラストレーターによる、ザンビアの現地言語の児童書20冊を出版
・100万点を超える学習教材を配布
これらの取り組みにより、読み書きの指導が強化され、地域の文化に根ざした本に触れる機会が広がるとともに、ルサカ州、南部州、東部州の教員への支援も進みました。
今回の活動再開は、新しい出発ではありません。これまで築いてきた信頼と協力関係、そして実際に生み出してきた成果を土台に、その歩みをさらに前へと進めるものです。
なぜ今、この取り組みが重要なのか
ザンビアでは、現在、知識の習得を中心とするカリキュラムから、学んだ知識や技能を実際に活用する力を重視する「コンピテンシー・ベースド・カリキュラム(CBC)」への移行が進んでいます。これは未来を見据えた意欲的な改革ですが、実現には、しっかりとした教育制度、十分な準備を受けた教員、カリキュラムに合った教材、そして効果的な評価の仕組みが必要です。
ザンビアでの活動を再開する前に、ルーム・トゥ・リードは教育省の各部門、教員養成機関、出版社、地域の教育行政担当者、学校関係者などと協議し、全国規模の実現可能性調査を行いました。その結果、次のことが明らかになりました。
・教員は熱意を持って取り組んでいるものの、体系的な読み書き指導を行うための研修をさらに充実させる必要がある
・文字と音の関係を学びながら読書練習ができる教材や、フォニックスを基礎とした指導教材が不足している
・国の読み書き教育の枠組みを新しいカリキュラムに合わせる必要がある
・教室図書館や現地言語の教材を利用できる環境に地域差がある
・読み書き能力を評価する仕組みをさらに強化する必要がある
こうした調査結果をもとに、活動再開の方針を組み立てました。まず私たちは現場の声に耳を傾けました。
そして今、皆さんとともに行動を始めます。
基礎的な読み書きを支える仕組みを強化する
今回の新たなパートナーシップを通じて、ルーム・トゥ・リードはザンビアで次の取り組みを支援します。
・読み書き教育の枠組みと初等識字教育プログラムをCBCに合わせる
・質の高い現地言語の物語や、段階的に読む力を身につけるための教材を開発・配布する
・教員の継続的な専門能力開発(CPD)を支援する
・読み書き能力の評価と学習成果を追跡する仕組みを強化する
・教室図書館を新設し、既存の図書館を再活性化する
目的は、既存の制度とは別の仕組みを新たに作ることではありません。ザンビアの国の教育制度そのものを強化し、成果を持続させ、より多くの子どもたちへ広げられるようにすることです。
教員が十分な知識と技能を身につければ、子どもたちはより良く学ぶことができます。教材がカリキュラムと合っていれば、学習はさらに進みます。そして教育の仕組みが効果的に機能すれば、国全体で学習成果を高めることができます。

読書文化を再び育てる
図書館は、単に本が並んでいる部屋ではありません。子どもたちの想像力を育み、新しい可能性への扉を開く場所です。
ルーム・トゥ・リードは、ザンビア図書館サービスや地域の教育行政担当者と協力し、教室図書館を充実させます。また、教員に図書館の運営方法を伝え、地域の文化に合った現地言語の読書教材に触れる機会を増やしていきます。
すらすらと読める力は、毎日の練習によって身につきます。豊かな読書文化は、まず本を手に取れる環境から始まり、周囲からの励ましや適切な導き、そして読むことの楽しさによって育っていきます。
すべての子どものためにジェンダー平等を推進する
読み書きの力だけでは十分ではありません。
ルーム・トゥ・リードが再開する取り組みでは、ジェンダー平等とライフスキルの育成にも引き続き力を注ぎます。「ジェンダー平等ポートフォリオ」を通じて、次の活動を行います。
・「She Creates Change」を実施するための専門的な支援を提供する
・女の子を重点的に支援しながら、少なくとも1万人の青少年にプログラムを届ける
・既存のカリキュラムにライフスキル教育を取り入れることを支援する
・性別にかかわらず、すべての子どもが学びやすい、包摂的でジェンダーに配慮した指導方法を広める
重要なのは、この取り組みが女の子だけでなく男の子にも役立つということです。ザンビアでは、男女が平等に教育を受けられる環境づくりが大きく前進してきました。一方で、男の子の中途退学率への懸念や、思春期の若者が抱えるさまざまな困難など、新たな課題も生まれています。
私たちの取り組みは、すべての子どもを支えるものです。すべての子どもに、自分の可能性を伸ばし、成長する機会があるべきだと考えています。

3年間の枠組みと、その先を見据えた長期的なビジョン
今回締結された覚書では、双方が責任を分かち合い、進捗を共同で確認し、それぞれが責任を果たしながら3年間協力していく枠組みが定められました。しかし、私たちが目指しているのは、この3年間だけではありません。その先の未来も見据えています。
私たちが描いているのは、次のような未来です。
・小学1、2年生を担当するすべての教員が、自信を持って体系的な読み書き指導を行える
・重点的に支援する地域で、教室図書館が十分に機能している
・教育に関するデータに基づいて意思決定を行う仕組みが教育制度に根づいている
・青少年が、変化する世界を生きていくために必要なライフスキルを身につけている
・小学2年生を終える時点で、読めない子どもが一人もいないザンビアを実現する
アフリカ全体の戦略の一環として
ザンビアでの活動再開は、ルーム・トゥ・リードの「アフリカ戦略(2025~2027年)」を支える重要な柱の一つです。この戦略では、アフリカ大陸全体への投資をさらに強化し、新たに活動を始める国や活動を再開する国の双方で、読み書き教育とジェンダー平等のプログラムを拡大することを重視しています。
アフリカには大きな可能性がある一方、今すぐ取り組まなければならない課題もあります。小学校に通う子どもの数が多く、今後も増え続ける中、今、基礎的な読み書き教育に投資することが、将来のアフリカの経済と社会の方向性を大きく左右します。
ザンビアは、こうした動きの最前線に立っています。

共に果たす約束
署名式で、私たちはシンプルで大切な原則を改めて確認しました。
私たちは、今あるものに取って代わるために来たのではありません。
私たちは、今あるものを、さらに強くするために来ました。
私たちは、自分たちの考えを押しつけるために来たのではありません。
私たちは、ともに協力するために来ました。
このパートナーシップを支えているのは、目標を共有すること、互いに信頼すること、そしてともに行動することです。
子どもが読めるようになれば、自信が育ちます。若者がライフスキルを身につければ、地域社会がより強くなります。教育の仕組みが改善されれば、国全体がより豊かに発展していきます。
ルーム・トゥ・リードは、教員への投資、教育制度の強化、そしてより多くの子どもたちの学習成果をより早く高めることを通じて、ザンビア教育省と再びともに歩めることを誇りに思います。
子どもが読めるようになるとき、国の未来もまた前へ進むのです。
執筆:コリンズ・ムネネ
ルーム・トゥ・リード アフリカ地域 プログラム運営担当
(リージョナル・ディレクター)
原文URL:A renewed promise: Room to Read makes renewed commitment to advancing foundational learning in Zambia
翻訳:Arisa Moore
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