

リーマ・シュレスタ
ルーム・トゥ・リード
南アジア地域 ジェンダー平等プログラム責任者
極端な災害の影響は性別に中立ではありません。気候変動は歴史的に社会から取り残されたコミュニティに不均衡な悪影響を及ぼし、こうしたコミュニティは極端な気象現象に対して最も脆弱な立場にあるため、既存の不平等をさらに悪化させます。これは特に女性と少女に関して顕著です。
では、気候変動や災害に対して脆弱であるとは、具体的に何を意味するのでしょうか?国連気候変動枠組条約(UNFCCC)によると、脆弱性とは「気候変動(気候変動性や極端現象を含む)の悪影響に対して、システムが影響を受けやすい度合い、あるいは対処できない度合い」と定義されます。脆弱性は三つの要素、すなわちリスク割合、感応度、適応能力によって測定されます。
気候変動とジェンダー平等の交わりを検証するには、女性の視点が必要です。女性は歴史的に、農業、食料生産、土地や水などの自然資源を管理する際に中心的な役割を担ってきました。
土地との歴史的に密接な関係から、女性は農業、水資源保全、天然資源保護、廃棄物管理に自然由来の気候ソリューションを提供する貴重な生態学的知識を有しています。女性たちはまた、家族の世話の中心的存在となることが多く、地域社会において気候変動への適応力強化や災害対策を担う立場にあり、子どもや家族、高齢者の脆弱性を軽減する役割を果たしています。
したがって、気候変動による悪影響のリスクが高い地域に住む少女たちが、適応能力を高める知識と技能を身につけることが不可欠です。

気候変動のような複雑な地球規模の課題に取り組むことは容易ではありません。しかし教育は、気候変動による災害へのコミュニティの適応力を高める強力な手段です。気候変動の影響は少女や女性に特に深刻に及ぶ一方で、彼女たちが知識と技能を身につければ、地域社会における気候変動対策において重要な役割を果たすこともできます。
国連女性機関の「Women Countプログラム」は、人口動態健康調査(DHS)データと地理空間気候データを組み合わせることで、アジア数カ国における気候変動とジェンダー関連の成果との関連性を検証する研究を実施しました。
機械学習(ランダムフォレスト)とロジスティック回帰分析[1]を用いた結果、気温上昇、干ばつ、乾燥度、湖や海岸線への近さといった気候要因と、ジェンダーに関する負の結果との間に、強い関連性が認められました。これらの結果には、児童婚や思春期出産リスクの高まり、清潔な飲料水や調理用燃料へのアクセス不足が含まれました。特にバングラデシュ、ネパール、カンボジアなど児童婚がより蔓延している国々で、その影響は顕著でした。本研究は、気候変動が脆弱な立場にある人々に不均衡な影響を与え、特にジェンダー平等(目標5)、安全な水と衛生(目標6)、クリーンエネルギー(目標7)に関連する主要な持続可能な開発目標(SDGs)の達成を阻害する可能性があると指摘しています。
特にその慣行がより一般的な国々において、環境要因は早婚のリスクを理解する上で重要です。例えば、調査対象となった全ての国において、湖や海などの水辺近くに住むことは、児童婚のリスク上昇に関連する上位5要因の一つであることが判明しました。水は雇用や収入の向上に寄与する一方で、気候災害の悪化が懸念される地域では困難を増大させる可能性があり、多くの家族が増大する困難と経済的不安定に対処する手段として早婚を画策します。同様に、水辺や乾燥した地域での生活は、特にバングラデシュやネパールのような地域において、早期妊娠の可能性を高める要因となっています。
気候危機の現状への影響を認識し、ルーム・トゥ・リードは、思春期の少女およびあらゆる性別の子どもたちに対し、気候正義に焦点を当てた基礎的な生活スキルを育むことで、ジェンダー平等の推進への取り組みを深化させています。気候変動の科学と、気候変動とジェンダー平等の関係性を理解することで、少女たちは気候科学、再生可能エネルギー、グリーン技術、清潔な水と衛生設備、その他の気候変動対策におけるイノベーションを主導するスキルが身につきます。
だからこそ私たちは、ベトナムとネパールで2年間の「気候正義クラブ」カリキュラムを開始しました。私たちの教材とカリキュラムは、気候変動とジェンダー平等の交わり、女子教育とリーダーシップに焦点を当てており、ルーム・トゥ・リードが気候変動のジェンダーに基づく影響について訓練した教育者によって提供されます。クラブでは以下の問いに答えようとしています:
▪️気候変動とは何か?
▪️気候変動に影響を与える要因は何か?そして根本的な原因は何か?
▪️気候変動は私たちの世界にどのような形で現れているのか?そして、どのような行動が意味のある変化をもたらすのか?
セッションでは、青少年に対し気候変動の様々な要因について調査するよう求め、気候災害に最も脆弱な地域社会が、気候関連の課題解決に向けてどのような行動を取れるかを考察させます。

私たちの取り組みは成果を上げています。調査・モニタリング・評価チームによる最近の研究では、「気候正義クラブ」の参加者とその家族が、気候変動とジェンダー平等への認識を向上させていることが明らかになりました。クラブ参加後、少女たちは自らの行動に変化が見られ、気候変動の緩和策と適応策について情報に基づいた選択を行うようになったと述べています。彼女たちは廃棄物とリサイクルへの新たな取り組み、生態系への関心の高まり(特に植樹)、プラスチック消費削減への関心の高まりを共有しました。また、気候変動やジェンダー平等について家族や地域社会で主導的に議論している様子も語られ、意思決定への自信と能力の向上を反映していました。
「気候正義クラブ」の参加者は、学んだことを実践に移しています。家庭や地域社会で省エネに取り組むことから、持続可能な廃棄物管理を推進することまで、様々な活動を行っています。
ネパールのバンケ県出身の参加者カルパナは、昨年の世界気候行動デーで植樹し、今では家族と共にその木を育てていると述べました。彼女は森林破壊が地球温暖化の主な原因の一つであることを理解し、地域社会の森林の健全性に貢献したいと考えています。
少女教育プログラムの別の参加者であるコマルは次のように語りました。『家庭ではプラスチック製品を再利用し、使い捨てプラスチックの使用を最小限に抑えることで、より環境に配慮した取り組みを実践しています。ルーム・トゥ・リードの気候変動に焦点を当てたライフスキル講座は、私の習慣を変え、持続可能な生活に対する責任感を育む上で重要な役割を果たしました』
気候変動とジェンダー不平等、そして教育の交わりは、差し迫った課題であると同時に、重要な機会でもあります。気候変動は少女や女性、特に歴史的に低所得で社会から取り残され脆弱な立場にあるコミュニティの女性たちに不均衡な影響を与える一方で、教育を通じて少女たちが有意義で持続的な変化を推進できるのです。「気候正義クラブ」のプログラムは、少女たちに知識とリーダーシップスキルを効果的に身につけさせる方法を示しています。これにより、気候危機への適応力と対応力を強化するだけでなく、家族や地域社会における前向きな行動を促すことも可能となります。気候変動対策において少女を中心に据えることで、私たちはジェンダーに基づく脆弱性に対処し、より公正で公平かつ持続可能な世界を築く準備が整った、知識豊富で自信に満ちた次世代のリーダーを育成しています。

[1]ロジスティック回帰は、性別、居住地、所得などの要因に基づいて、何かが起こる確率(例えば、ある人が気候変動の影響を受けるかどうか)を予測するシンプルな統計手法であり、各要因が結果にどのように影響するかを明確に示す。一方、ランダムフォレストは、多数のディシジョンツリーを用いて大規模データ内の複雑なパターンを発見し、より正確な予測を行う機械学習手法である。ただし、個々の決定がどのように下されるかを説明するのは困難である。
原文URL:
https://www.roomtoread.org/the-latest/climate-change-and-gender-equality/
翻訳:竹内 裕人
3月の国際女性月間では、様々な少女の物語を通して、ルーム・トゥ・リードが届ける女子教育を紹介します。
そしてこの3月、スワロフスキー財団のご協力とともに、世界中の少女たち600人の教育支援を目指します。
少女の未来を明るく照らす活動に、ご参加ください。


©東京マラソン財団
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