この25年間、ルーム・トゥ・リードを支えてくださった皆さまは、バングラデシュで私たちが目指す持続可能で前向きな変化を、まさに共に創り上げてきた大切な存在です。
2024年は、バングラデシュの子どもたちにとって特に困難な年でした。7月には政治不安で学校が閉鎖され、8月には猛烈なモンスーンが洪水や地滑りを引き起こし、子どもたちの学びの機会は危機に直面したのです。
しかし、私たちは立ち止まりませんでした。これまでの経験を活かし、子どもたちが自宅で学習を続けられるよう、実績あるカリキュラムや教育コンテンツ(ワークブック、ノート、児童書など)を届けるための人員を速やかに配置。学校が再開された際には、先生たちへのトレーニングも実施し、子どもたちが学習の遅れを取り戻せるよう支援しました。この柔軟かつ迅速な対応力は、ひとえに皆さまのご支援があってこそ成り立っています。
パートナーシップが拓く新たな教育の道
この迅速な対応力こそが、バングラデシュ初等教育局との強固なパートナーシップの礎となりました。この協力関係を通じて、2024年には、気候変動、ジェンダー平等、教育の価値をテーマにした新しい児童書10冊を出版。これらの本は、現在、全国65,500校以上の公立小学校の図書館で利用されています。
「インディペンデント・リーダーズ・フレームワーク」で読書習慣を定着
私たちはパートナーと共に、子どもたちが自主的に読書できるようになることを目指した、すべての公立小学校向けの識字教育指導ガイドライン「インディペンデント・リーダーズ・フレームワーク(Independent Readers Framework)」を策定しました。さらに、小学3年生から5年生を対象に、週1回50分間の「インディペンデント・リーディング・タイム(自主的に読書をする時間)」を導入するよう提言。読書習慣が公立小学校のカリキュラムに正式に組み込まれたことで、子どもたちが読書を心から楽しむ機会が生まれ、識字力向上のための強固な基盤が築かれています。
そして、ダッカとランプルの10校の公立学校では、計59の教室内に読書空間を整備しました。この「教室内の図書室」モデルは、その後、全国的に採用されることになりました。まもなく、すべての公立小学校の子どもたちが、好奇心を刺激する豊富な種類の本で埋め尽くされたカラフルな図書室を利用できるようになります。この図書室は、きっと子どもたちを読書に夢中にさせてくれるでしょう。
Our Story, Your Chapter 『2024インパクトレポート』
「世界的な学習危機は撲滅できる」――私たちの25年にわたる活動は、この信念を証明し続けてきました。そして、ルーム・トゥ・リードの物語は、これからも続きます。私たちは今、新たな戦略的ビジョンに基づき、「次の章」を書き始めています。この新しい戦略では、より大きく、そして大胆に、長期的な視点で課題に取り組んでいきます。
ルーム・トゥ・リードの活動の詳細を、ぜひ、『2024インパクトレポート』でご覧ください。
原文URL:
https://www.roomtoread.org/the-latest/a-chapter-of-change-in-bangladesh/
翻訳:
榎本 晋作