《継続的な学びと改善》2024年 ルーム・トゥ・リードのジェンダー平等プログラムからの洞察


執筆者: フェルナンダ・ガンダーラ
(ルーム・トゥ・リード 調査・モニタリング・報告担当ディレクター)

ルーム・トゥ・リードの取り組み
ルーム・トゥ・リードのグローバル研究・モニタリング・評価チームは、毎年、識字教育とジェンダー平等の推進に関するプログラムの効果を分析し、報告書を作成しています。これらの報告は、スタッフによるレビューを経て、プログラムの継続的な改善に活かされています。また、年間を通じて評価結果を分析し、共通するパターンを特定することで、より多くの子どもたちに迅速に良い影響を届けることを目指しています。
2024年のジェンダー平等プログラムの報告から、以下の4つの重要なテーマが明らかになりました。

① 教育者へのサポートの必要性
教育者は、活動中心の学習を高く評価しているものの、導入にはさらなる支援が必要である

ネパールやベトナムで実施した「気候正義クラブ」や、カンボジアで試験導入した「男子生徒参加プログラム」の調査によると、教育者はこうした新しい教育手法に高い関心を持っています。しかし、これらを効果的に実践するには追加の支援が不可欠であることが分かりました。
例えば、教育者は以下の点でサポートを求めています。
● 生徒の適切なグループ分け
● 実践的な活動の準備
● 生徒中心の学習を促進するための追加リソース(新しい教材や視覚的な補助ツールなど)
また、気候変動やジェンダー問題といった新しいテーマについては、一度の研修ではなく、継続的なサポートが必要だと考えられています。

気候正義クラブの詳細

② ジェンダー構成の影響
ジェンダー平等プログラムでは、クラスのジェンダー構成が学習成果に影響を与える

カンボジアでの男子生徒参加プログラムの評価では、学生は同じジェンダーの仲間や指導者と話し合うことを好む一方で、異なるジェンダーの生徒と学ぶことにも価値があることが示されました。
つまり、同じジェンダーでの学びの場を確保しつつ、異なるジェンダーと交流する機会を設けることが、ジェンダー教育において重要なポイントとなります。

カンボジアでの取り組み


③ 金融教育と心理社会的サポートの統合
金融教育は、心理社会的なスキルと組み合わせることでより効果を発揮する

タンザニアで実施された金融教育プログラムでは、ライフスキル教育も受けた女子生徒が、より高い起業意識と貯蓄行動を示しました。
過去の調査結果とも一致し、金融リテラシーの向上には、単なる知識提供だけでなく、ライフスキル教育の併用が重要であることが分かっています。

タンザニアでの取り組み

④ 混合手法の活用
定量調査と定性調査を組み合わせることが、プログラムの評価に不可欠である

2024年の評価では、単に「どのプログラムが成果を生んだか」だけでなく、「なぜその成果が生まれたのか」を理解するために、定量調査(数値データ)と定性調査(参加者の声)を組み合わせることの重要性が明らかになりました。
ネパールとベトナムの「気候正義クラブ」や、カンボジアの「男子生徒参加プログラム」では、この混合手法を用いることで、プログラムの理論と実際の影響をより深く分析できました。今後も、参加者の声を取り入れながら、プログラムの改善を続けていきます。


今後の展望
ルーム・トゥ・リードは、すべての子どもたちが質の高い教育を受け、将来に向けた選択肢を広げられるよう、プログラムの継続的な改善に取り組んでいます。
今後の課題として、
● 参加者との情報共有の強化
● 定量調査と定性調査のさらなる融合
が挙げられます。
私たちの研究・モニタリング・評価チームは、今後も新たな洞察を共有し続け、より効果的なプログラムの実現を目指します。

詳細な調査・統計・評価(英文)はこちら

オリジナル記事:
Continuous Learning and Improvement – 2024 Insights from Room to Read’s Gender Equality Programming

翻訳:kochi

一年間の歩み:ルーム・トゥ・リードの気候正義クラブからの学び

アビゲイル・スパングラー
ルーム・トゥ・リード女子教育プログラム グローバルアソシエイトディレクター

ルーム・トゥ・リードの気候正義クラブ
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気候変動が世界中の地域社会に影響を及ぼす中、気候リテラシーとジェンダー公正について若者を教育することは、これまで以上に重要になってきています。この必要性を踏まえ、ルーム・トゥ・リードでは、青少年が地域社会の気候変動危機に対処するための知識とスキルを身につけるために、「気候正義クラブ」と呼ばれる革新的で実践的なプログラムを開発しました。このクラブがどのように変化をもたらしているのか、詳しく見ていきましょう。

気候正義クラブとは?
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ルーム・トゥ・リードの気候正義クラブは、ルーム・トゥ・リードの女子教育プログラムのライフスキル・カリキュラムの延長線として、気候変動、気候正義、ジェンダー平等に関するトピックを探究する生徒のために特別にデザインされました。このセッションは、生徒たちに気候変動のさまざまな要因についてリサーチさせる他、気候災害の影響を最も受けやすい地域社会が、気候関連の課題を解決するためにどのような行動を取ることができるかを学習する手助けをします。

クラブは主に次の3つの成果を上げることに力を入れています:

1. 気候に関する知識の向上: 気候変動、気候正義、そしてそれらがジェンダーとどのように関連しているかを理解する。
2. 意思決定力: 気候変動対策において、情報に基づいた選択をするスキルを身につける。
3. コミュニティへの貢献: 生徒が学んだことを、仲間や家族、地域社会にも広めていくことを促す。

2023年、ルーム・トゥ・リードは、気候変動の影響を大きく受けている国、ネパールとベトナムで、思春期の子どもたちが気候変動対策に参画できるよう、2つの気候正義クラブを試験的に立ち上げました。

ネパールとベトナムでのパイロット・プログラム
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ネパール🇳🇵
ネパールのバンケ地区では、ルーム・トゥ・リードの気候正義クラブが現在12校で実施されており、7年生と8年生の女子生徒約620人が参加しています。クラブは希望者を対象に放課後に行われ、2年間で26回のセッションが開催されています。これらのセッションは訓練を受けたファシリテーターが中心となり、気候正義の概念(注1 文末に記載)や、批判的思考、リーダーシップといった実践的なライフスキルを学びます。さらに、参加者は現地訪問にも参加し、地域の意思決定者と現地の気候変動対策計画について意見交換を行い、政策をレビューすることで、学習を実践的かつ有益なものにしています。

ベトナム🇻🇳
ベトナムのヴィンロン省の2つの学校ではルーム・トゥ・リードの気候正義クラブが必修科目となっており、学校の授業として行われています。ここでは男女の枠を超えて約269人の生徒が参加し、生物学と地理の教師がプログラムのファシリテーターを務めています。
気候正義クラブでのセッションに加え、生徒たちは気候変動に関する行動計画を作成する少人数のグループ活動にも参加し、多くの生徒が、自身が学んだことを活かして地域キャンペーンを企画しています。

1年目で学んだこと
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気候正義クラブの活動から学ぶために、ルーム・トゥ・リードの調査、モニタリング、評価のチームは、プログラムの実施状況についてのデータを収集し、参加者に見られた変化を記録するなど、包括的な活動を実施しました。

以下は、ルーム・トゥ・リードの報告書(Room to Read’s Climate Justice Clubs: Key Insights After One Year of Pilot Implementation)からの抜粋です。

● どちらの国でも出席率が高く、教師たちはカリキュラムを実施する準備が整っていることを感じていました。しかし、特定の分野、特にジェンダー関連のトピックを取り上げる際には、教師たちはさらなるサポートを必要としていました。また、予想以上に時間がかかった活動もあり、準備期間を増やすことがファシリテーターにとって有益であることが示唆されました。

● セッションの頻度としては期待通りであったが、ファシリテーターによっては、より長いセッションの方が、内容に深く関わる時間を多く確保できると感じている者もいました。場合によっては、時間の制約のために教師がカリキュラムの一部を駆け足で進めたり、割愛しなければならないこともありました。

● 生徒と教師の双方が、ルーム・トゥ・リードの気候正義クラブを非常に魅力的で有意義なものであると評価しました。グループ・ディスカッション、ロールプレイング、ラボ活動など、インタラクティブで実践的なアプローチにより、気候変動とジェンダー正義についての学習が有意義なものとなりました。しかし、このようなプロジェクトベースの学習に慣れていない生徒が苦戦することもあり、生徒主体の活動に段階的に適応していく必要があることがうかがえます。

● 生徒や教師および地域社会は、このプログラムに非常に協力的で した。保護者の関与が非常に大きかったことも、クラブの全体的な成功に貢献しました。今後の改善点としては、コンセプトをより身近なものにすること、魅力的な活動を維持するためにクラブの規模を管理することなどが考えられます。

● ルーム・トゥ・リードの気候正義クラブは、人間を中心とした気候変動対策に重点を置いていることが特徴です。単に気候科学を教えるだけでなく、生徒たちが気候やジェンダーの問題が自分たちの生活とどのように関わっているかを理解する手助けをします。教師やファシリテーターは、クラブのインタラクティブな手法を称賛し、従来の教室での学習との違いを評価しています。

● 教師たちは、多くの生徒が家庭で木を植えたりプラスチックの使用量を削減する等の小さなプロジェクトを始めるのを見て、生徒たちが環境に対する意識を高めていることを確認しました。多くの家族がこうした取り組みに参加したことからも、このクラブが人々の行動を変える重要なきっかけとなることが示されました。さらに、参加者は特にリーダーシップと批判的思考において、より優れたライフスキルを見せてくれました。

● クラブが長期的に続くためには、さらなるリソースと研修が必要不可欠です。特にベトナムの教師たちは、通常の業務と並行してプログラムを行うにあたり、サポートがより必要であると語りました。ネパールの関係者は、プログラムに女子生徒と男子生徒の両方を参加させることで、その影響力と持続可能性を高めることができると提案しました。

今後の課題
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今後、ルーム・トゥ・リードの女子教育プログラムチームは、ネパールとベトナムそれぞれのチームと綿密に協力しながら、気候正義クラブのパイロット初年度から得られたすべてのデータを慎重に精査し、得られた知見に基づいてプログラムを継続的に進化させていく予定です。現地の関係者と協力し、教師、ファシリテーター、生徒、地域社会からのフィードバックを取り入れることで、ファシリテーターのトレーニングやカリキュラムの提供、リソースの割り当てを優先的に見直し、それぞれの実施状況特有のニーズに沿った対応をしていきます。このアプローチを通して、ルーム・トゥ・リードではプログラムの取り組みと持続可能性の深化を図り、最終的には生徒が気候変動に対するリテラシーと公平性を身につけ、地域社会に有意義な貢献ができるようになることを支援します。

さらに、ルー ム・トゥ・リードでは、政府や市民社会のパートナーとの協力の下、学校や地区が気候正義クラブを実施する際に技術的支援を提供することで、プログラムの持続可能性を高める機会を模索していきます。成果の向上を促進し、ルーム・トゥ・リードの気候正義クラブの影響力を、今後より広範囲に拡大するための強固な基盤を確立していくことを期待しています。

(注1) 気候正義とは、気候変動がさまざまなコミュニティに与える不平等な影響に対処する原則であり、社会的弱者や社会から疎外されたグループが最も苦しむことが多いことを認識し、公平な待遇を重んじる考え方です。気候正義はこうした不平等を是正し、すべての人々、特に気候変動の影響を最も受ける人々が、解決に向けて発言できるようにするための行動を呼びかけています。

 

原文URL:
https://www.roomtoread.org/the-latest/one-year-in-insights-from-room-to-read-climate-justice-clubs/

翻訳:藤田 由弥子

レバノンからの最新ニュース

(Room to Read 本部ホームページ2024年11月20日掲載記事の翻訳です)


ディーナ・エルアバト
ルーム・トゥ・リード 中東地域プロジェクトマネージャー

今年のレバノンの夏は、南レバノンから悲惨な映像や情報がベッカー高原に届き、緊張感に満ちていました。ベッカー高原は、ルーム・トゥ・リードが地域パートナーであるレバノン学術・研修機構(LOST)と協力し、非公式教育センターに子どもに優しい15の図書館を設置してきた場所です。

最近数ヶ月の間に、南レバノンから約7万もの家族がベッカー高原に避難してきました。私たちの図書館でも利用者が増加しています。ルーム・トゥ・リードが実施した社会感情学習セッションは、子ども達と教育者達の両方から高い評価を受けました。その内容はルーム・トゥ・リードの図書館プログラムにも取り入れられていました。また、ルーム・トゥ・リードの現代標準アラビア語の絵本は、国中の学校や地域センターの何百もの読書コーナーや学習スペースの棚を満たす役割を果たしました。
レバノンの私達のチームは、子どもたちがもっと教育を求めている、子どもたちはこれが学校に通うチャンスになればいいのにと願っているという心温まるエピソードを共有してくれました。また、レバノン教育省とのパートナーシップを通じて、国内すべての公立学校にルーム・トゥ・リードの本を年内に配布する計画をたてていました。

9月にすべてが変わりました

中東危機によりレバノンで戦争が勃発し、避難勧告が発令される中、LOSTは職員の安全確保と緊急対策の実施のため、すべての教育プログラムを即時に1週間停止する決定を下しました。この間、レバノンでは約200万人が避難を余儀なくされました。多くのLOSTのパートナーたちは、もはや帰るべき家が無くなったことにすぐ気づきました。

その1週間の間に、私たちのパートナーたちが苦しんでいることが明白になりました。私はLOST創設者のラミ博士に連絡を取り、ルーム・トゥ・リードとして何ができるかを相談しました。彼は「状況はひどい。想像を絶するほど悪い。」と語りました。

彼の報告によると、人々は道端や木の下で眠り、道路は封鎖され、国境も閉鎖されていました。それでも、混乱の中から生き延びようとする闘志が芽生えていました。

多くのLOST職員達が集まり、深刻化する食糧不足に対応するために毎日の食事を準備し始めました。国内のすべての学校が避難所となりました。ルーム・トゥ・リードの長年のパートナーであるユニセフは、食糧だけでなく、子どもたちへの緊急心理社会的支援キットの配布も開始しました。私はすぐに、これらの活動を支援するためにチームと連携し、資金の再配分に取り組みました。

2024年10月5日にルーム・トゥ・リードはLOSTとのパートナーシップに関する改訂契約を結び、以下を提供すること明確にしました。

● ベッカー高原の家族2万5千食の温かい食事(1食あたり2米ドルの費用)による食糧支援
● 現代標準アラビア語で書かれたルーム・トゥ・リードのストーリーブック5冊、スケッチブック1冊、12色の色鉛筆1セットと鉛筆削りを含む一万個の緊急教育支援キット
● 教育者やボランティア用に、危機的状況にある子ども達への心理社会的支援を提供する方法についてのオンライン研修資料。これには、声を出して本を読むことを通じて社会性と情緒を学習することに焦点を当てた資料も含まれます。

過去2年間にルーム・トゥ・リードが実施した教師向けトレーニングについては、レバノン全土で子ども達に読書のセッションを行う教育者たちの写真を目にすることができる今、その成果はこれまで以上に明らかです。

この記事を書いている時点で、すべての食事は配布され、緊急支援キットも印刷され、ルーム・トゥ・リードの現地倉庫に届き、配布の準備が整っています。

ルーム・トゥ・リードが2022年にレバノンでこの取り組みを開始した際、シリアからレバノンに逃れ、何年も教育受けることのできなかった子ども達の学習のギャップを埋めるために懸命に取り組みました。ルーム・トゥ・リードのプログラムは、無料の非公式教育センターでこれらの子ども達を支援し、公立学校システムに再び参加できるよう準備を整えました。

緊急時における教育を維持するための取り組みは、子ども達に安らぎや安心感、一貫性を保証します。私たちの本は、単に強い識字能力を育むだけではありません。精神的に不安定な時期に起こり得る困難な感情に向き合う手助けもしています。

危機を生き抜く子ども達にとって、教育へのアクセスは希望への道を切り開き、学び続ける決意を促します。それは、自分の教育の可能性を追求し、自分自身で選び取る未来を築くための決意です。

ここ数年のレバノンでの活動、そして過去10年間にわたる中東地域全体での活動が、今回の危機に迅速かつ適切に対応する力を私たちに与えてくれました。皆さんのような地域社会の支援者からのサポートが、この活動を継続させる力となります。

私達のチームとパートナーを代表して、これらの子ども達が教育へのアクセスできるようご支援いただき、心から感謝申し上げます。

原文URL:
https://www.roomtoread.org/the-latest/the-latest-from-room-to-read-in-lebanon/

翻訳:Tomoko Sasaki

パートナーシップで道を拓く:ルーム・トゥ・リードの図書室モデルの拡大

図書室は識字プログラムにおいて重要な要素であり、基本的な識字スキルの強化を支援し、学生に多様な現地語の書籍コレクションと、読書習慣を身につけるために必要な快適な環境を提供しています。ルーム・トゥ・リードの識字チームは、地元の学校、教育者、保護者と協力して、学校と家庭の両方で、子どもに優しい図書室スペースを確立しています。また、図書室を効果的に管理し、読書への愛を奨励する読書活動を行うために司書を訓練しています。

私たちの識字チームは、パートナーコミュニティ全体の地元の学校と協力して、より多くの子どもたちに利益をもたらすように私たちの図書室モデルを拡大し、適応させています。世界中のルーム・トゥ・リードの図書室からの多くのエキサイティングな最新状況のうちのいくつかをご覧ください!

🇹🇿タンザニア
歴史的にリソースが不足しているタンザニアのコミュニティでは、学校図書室の不足、高い書籍調達コスト、家庭での読書へのアクセスの制限、読書活動の訓練を受けた教師の不足などが、非識字の悪循環を生み出しています。これらのコミュニティの学校は、子どもたちの間に強い読書文化や習慣を築くのに苦労することがよくあります。

ルーム・トゥ・リードはタンザニア教育研究所と協力して、新しい種類の学校図書室を試験的に運営しています。これは、過密状態の学校内の限られたスペースという課題に対処するものです。これらの図書室には、ルーム・トゥ・リードの図書室モデルのすべての要素が組み込まれています。それは、地域の言語で書かれた多様で質の高い本で満たされた、快適で子どもに優しい空間の作成、音読、ペア・リーディング、インディペンデント・リーディングなどの図書室読書活動の実施ならびに継続的な教師の訓練で、個々の教室や改装された輸送コンテナで行われています。

来年、私たちは、これらの図書室の実施状況を評価して、将来的な拡大や政府による導入の可能性を探る予定です。また、全国の公立小学校における図書室の重要性について、引き続き促進/提唱します。

🇰🇭カンボジア
2020年に、ルーム・トゥ・リードは、カンボジア教育・青少年・スポーツ省国立図書室パートナーシップを結びました。このパートナーシップの目標はシンプルで、全国の小学校で質の高い図書室プログラムを推進することでした。

2021年末までに、ルーム・トゥ・リードは政府のワーキンググループを率いて国立図書室パッケージを作成することに成功しました。このパッケージには、図書室管理に関するガイドライン、一連の図書室活動、テキストの難易度に基づいて本を分類するためのガイド(ブックレベリングとも呼ばれます)、そしてこの構想に関するコミュニティの関与を強化するための提案が含まれています。

ルーム・トゥ・リードの図書室モデルがカンボジアの国立図書室パッケージに含まれたことで、ルーム・トゥ・リードは、パッケージの展開と、効果的な図書室プログラムに関する教師と政府図書室専門家の訓練を支援するというユニークな役割を担っています。

🇮🇳インド
ルーム・トゥ・リードは現在、インド全土に図書室モデルを拡大するための2本柱の戦略を持っています。まず、私たちは州政府に対して、図書室リソースを開発し、教師と政府職員のための専門能力開発プログラムを設計するための技術支援を提供します。その後、州政府と協力して、特定の地域で主要な図書室モデルを展開します。2019年以来、ルーム・トゥ・リードはマハラシュトラ州政府と提携して、3,200以上の学校がある歴史的に資源の乏しいナーシク地区で、図書室群の作成を通じてルーム・トゥ・リード図書室モデルを拡大しています。

図書室群アプローチは、ルーム・トゥ・リードの図書室モデルを採用して、特定の地域または学校群内で限られたリソースを最大限に活用します。10〜15校からなる学校群は、2~3年間にわたって毎月1,500冊の質の高いストーリーブックのコレクションをローテーションし、リソースが不足している地区の生徒が多様な読み物に一貫してアクセスできるようにします。図書室群内のすべての学校に読書コーナーが設置され、教室内の小さなスペースを利用して、若い読者が簡単にアクセスできる魅力的なストーリーブックで満たされた魅力的な読書エリアが作成されます。図書室モデルの一環として、ルーム・トゥ・リードは、教師、司書、政府パートナーに図書室管理の実践について訓練し、教育者に図書室スペースで効果的な読書活動を提供するために必要なコーチングを提供します。

最近、ルーム・トゥ・リードは、私たちの図書室モデルをさらに拡大するために、コミュニティと親たちの関与を促進する構想を加えました。この構想を通じて、ルーム・トゥ・リードは、親たちが、家庭での子どもの読書習慣を奨励し支援する学習環境と図書スペースを作るのを手助けします。親たちや保護者は、質の高い読み物とワークシートを受け取り、家庭の学習スペースで子どもと一緒に教材を使用するように指導されます。

🇻🇳ベトナム
ルーム・トゥ・リードは2018年にベトナム教育訓練省(MOET)との長期的なパートナーシップを開始し、ルーム・トゥ・リードの図書室モデルをベトナムの国家図書室政策に組み込みました。MOETは、ルーム・トゥ・リードの図書室モデルの有効性を認識し、その後、このアプローチの迅速な拡大に多額の投資を行ってきました。2018年のパートナーシップの形成から2021年にかけて、MOETは1,320もの拡張された図書室を設立しました。これらの図書室は、ルーム・トゥ・リードの設計とプログラミングを使用していますが、完全に政府パートナーによって主導され、実施されています。

この成長の時期に続けて、ルーム・トゥ・リードは現在、私たちの図書室モデルを新しい国立図書室標準に統合し、全国的に展開するために取り組んでいます。私たちの目標は、2025年末までにベトナムの29の新しい州で1,800の拡張された図書室の設立を支援することです。政府関係者は、図書室標準の開発におけるルーム・トゥ・リードの専門知識を得ることに熱心であり、ルーム・トゥ・リードを新しい国家K-12図書室標準の起草委員会の唯一のNGOとして含めました。

🇿🇦南アフリカ
最近、南アフリカの私たちのチームは、子どもたちが識字能力と自立した読書の習慣を身につけるのを助ける上で、学校と教室の図書室が果たす重要な役割に焦点を当てた、最初の年次図書室会議を主催しました。

注目すべき会議の講演者には、プク児童文学財団の事務局長のエリノー・シスル、基礎教育省の学習財団のチーフディレクターであるクルラ・マノナ、ウィッツ大学の教員、ネックス財団(ルーム・トゥ・リード NGOパートナー)とニュー・アフリカ・ブックスの代表者が含まれます。教育と書籍出版のこれらの地元のリーダーたちは、2030年までに10歳未満のすべての学生に読解力を身につけさせるという政府の目標と、ルーム・トゥ・リードの図書室モデルの構成要素を学校システムに統合することが、国がこの目標を達成するのにどのように役立つかについて議論をします。

🇱🇦ラオス
2018年以来、ルーム・トゥ・リードはセーブ・ザ・チルドレンおよびヒューマニティ&インクルージョンと提携して、5年間のプロジェクトである米国国際開発庁(USAID)「読書を学ぶ活動」コンソーシアムを設立し、2023年に結実しました。ルーム・トゥ・リードは、「読書を学ぶ活動」を通じて、ルーム・トゥ・リード図書室モデルを教室環境内の小さなスペースに適応させる図書室リーディングコーナー計画の開発を主導しました。私たちはラオス教育スポーツ省(MOES)と緊密に協力して、これらの適応された図書室リーディングコーナーを全国の就学前、1年生、2年生の教室に導入し、40,000人以上の生徒の識字能力と言語発達を支援しています。

このプログラムの成功を認識した米国国際開発庁(USAID)は、ルーム・トゥ・リードとラオスのMOESがより多くの学校に読書コーナーを提供できるようにするために、2025年までの「読書を学ぶ活動」の2年間の延長を行うためにコンソーシアムとの議論を開始しました。さらに、私たちはルアンパバーン郡教員養成大学と提携して、教員研修生のための事前準備の図書室カリキュラムを開発し、試験的に実施し、すべての子ども達が十分に訓練された高度に熟練した教師に指導が受けられるように支援しています。

これらの成果は、支援的な環境と相まって、読解力と読書習慣の両方に焦点を当てた計画が、子どもたちの読解力レベルの有意かつ持続的な改善をもたらすことを示唆しています。

ご支援をお待ちしております。

原文URL:
https://www.roomtoread.org/the-latest/partnerships-pave-the-way-scaling-room-to-read-s-library-model/

翻訳:
kochi

図書室が育む子ども達の未来:5つの国での挑戦

活気があり、子どもに優しい図書室は、ルーム・トゥ・リードの識字プログラムにおいて欠かせない存在です。私たちは学校と協力し、図書室を設立し、司書や教育者に対して学生の学習をサポートする図書室管理についての研修を行っています。また、すべての子どものため、発達に応じた多様で魅力的な本が揃っている図書室にアクセスできるよう、政府への働きかけも行っています。

図書室の発展のため、私たちの識字チームは世界各地で活動していますが、以下では今年の進捗状況についてご紹介します。

🇰🇭カンボジア
ルーム・トゥ・リードは、カンボジアの教育・青少年・スポーツ省(MOEYS)と協力し、地元の教員養成大学向けに、識字と初等学校図書室に関する大学レベルのコースを開発しました。このコースは、「生涯読書者の育成:学校図書室と教室読書コーナーの力」と呼ばれています。子ども達の高い識字スキルと生涯にわたる読書習慣を身につけるための手助けとなる学校図書室の力についての重要な研究に取り組む機会を将来の教師たちに提供します。教師となるために勉強している学生たちは、モデル校の図書室を通じて、卒業後に初等学校の教室、図書室、読書コーナーへスムーズに適応できるよう、実践的な経験を積んでいきます。

🇮🇩インドネシア
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