パートナーシップで道を拓く:ルーム・トゥ・リードの図書室モデルの拡大

図書室は識字プログラムにおいて重要な要素であり、基本的な識字スキルの強化を支援し、学生に多様な現地語の書籍コレクションと、読書習慣を身につけるために必要な快適な環境を提供しています。ルーム・トゥ・リードの識字チームは、地元の学校、教育者、保護者と協力して、学校と家庭の両方で、子どもに優しい図書室スペースを確立しています。また、図書室を効果的に管理し、読書への愛を奨励する読書活動を行うために司書を訓練しています。

私たちの識字チームは、パートナーコミュニティ全体の地元の学校と協力して、より多くの子どもたちに利益をもたらすように私たちの図書室モデルを拡大し、適応させています。世界中のルーム・トゥ・リードの図書室からの多くのエキサイティングな最新状況のうちのいくつかをご覧ください!

🇹🇿タンザニア
歴史的にリソースが不足しているタンザニアのコミュニティでは、学校図書室の不足、高い書籍調達コスト、家庭での読書へのアクセスの制限、読書活動の訓練を受けた教師の不足などが、非識字の悪循環を生み出しています。これらのコミュニティの学校は、子どもたちの間に強い読書文化や習慣を築くのに苦労することがよくあります。

ルーム・トゥ・リードはタンザニア教育研究所と協力して、新しい種類の学校図書室を試験的に運営しています。これは、過密状態の学校内の限られたスペースという課題に対処するものです。これらの図書室には、ルーム・トゥ・リードの図書室モデルのすべての要素が組み込まれています。それは、地域の言語で書かれた多様で質の高い本で満たされた、快適で子どもに優しい空間の作成、音読、ペア・リーディング、インディペンデント・リーディングなどの図書室読書活動の実施ならびに継続的な教師の訓練で、個々の教室や改装された輸送コンテナで行われています。

来年、私たちは、これらの図書室の実施状況を評価して、将来的な拡大や政府による導入の可能性を探る予定です。また、全国の公立小学校における図書室の重要性について、引き続き促進/提唱します。

🇰🇭カンボジア
2020年に、ルーム・トゥ・リードは、カンボジア教育・青少年・スポーツ省国立図書室パートナーシップを結びました。このパートナーシップの目標はシンプルで、全国の小学校で質の高い図書室プログラムを推進することでした。

2021年末までに、ルーム・トゥ・リードは政府のワーキンググループを率いて国立図書室パッケージを作成することに成功しました。このパッケージには、図書室管理に関するガイドライン、一連の図書室活動、テキストの難易度に基づいて本を分類するためのガイド(ブックレベリングとも呼ばれます)、そしてこの構想に関するコミュニティの関与を強化するための提案が含まれています。

ルーム・トゥ・リードの図書室モデルがカンボジアの国立図書室パッケージに含まれたことで、ルーム・トゥ・リードは、パッケージの展開と、効果的な図書室プログラムに関する教師と政府図書室専門家の訓練を支援するというユニークな役割を担っています。

🇮🇳インド
ルーム・トゥ・リードは現在、インド全土に図書室モデルを拡大するための2本柱の戦略を持っています。まず、私たちは州政府に対して、図書室リソースを開発し、教師と政府職員のための専門能力開発プログラムを設計するための技術支援を提供します。その後、州政府と協力して、特定の地域で主要な図書室モデルを展開します。2019年以来、ルーム・トゥ・リードはマハラシュトラ州政府と提携して、3,200以上の学校がある歴史的に資源の乏しいナーシク地区で、図書室群の作成を通じてルーム・トゥ・リード図書室モデルを拡大しています。

図書室群アプローチは、ルーム・トゥ・リードの図書室モデルを採用して、特定の地域または学校群内で限られたリソースを最大限に活用します。10〜15校からなる学校群は、2~3年間にわたって毎月1,500冊の質の高いストーリーブックのコレクションをローテーションし、リソースが不足している地区の生徒が多様な読み物に一貫してアクセスできるようにします。図書室群内のすべての学校に読書コーナーが設置され、教室内の小さなスペースを利用して、若い読者が簡単にアクセスできる魅力的なストーリーブックで満たされた魅力的な読書エリアが作成されます。図書室モデルの一環として、ルーム・トゥ・リードは、教師、司書、政府パートナーに図書室管理の実践について訓練し、教育者に図書室スペースで効果的な読書活動を提供するために必要なコーチングを提供します。

最近、ルーム・トゥ・リードは、私たちの図書室モデルをさらに拡大するために、コミュニティと親たちの関与を促進する構想を加えました。この構想を通じて、ルーム・トゥ・リードは、親たちが、家庭での子どもの読書習慣を奨励し支援する学習環境と図書スペースを作るのを手助けします。親たちや保護者は、質の高い読み物とワークシートを受け取り、家庭の学習スペースで子どもと一緒に教材を使用するように指導されます。

🇻🇳ベトナム
ルーム・トゥ・リードは2018年にベトナム教育訓練省(MOET)との長期的なパートナーシップを開始し、ルーム・トゥ・リードの図書室モデルをベトナムの国家図書室政策に組み込みました。MOETは、ルーム・トゥ・リードの図書室モデルの有効性を認識し、その後、このアプローチの迅速な拡大に多額の投資を行ってきました。2018年のパートナーシップの形成から2021年にかけて、MOETは1,320もの拡張された図書室を設立しました。これらの図書室は、ルーム・トゥ・リードの設計とプログラミングを使用していますが、完全に政府パートナーによって主導され、実施されています。

この成長の時期に続けて、ルーム・トゥ・リードは現在、私たちの図書室モデルを新しい国立図書室標準に統合し、全国的に展開するために取り組んでいます。私たちの目標は、2025年末までにベトナムの29の新しい州で1,800の拡張された図書室の設立を支援することです。政府関係者は、図書室標準の開発におけるルーム・トゥ・リードの専門知識を得ることに熱心であり、ルーム・トゥ・リードを新しい国家K-12図書室標準の起草委員会の唯一のNGOとして含めました。

🇿🇦南アフリカ
最近、南アフリカの私たちのチームは、子どもたちが識字能力と自立した読書の習慣を身につけるのを助ける上で、学校と教室の図書室が果たす重要な役割に焦点を当てた、最初の年次図書室会議を主催しました。

注目すべき会議の講演者には、プク児童文学財団の事務局長のエリノー・シスル、基礎教育省の学習財団のチーフディレクターであるクルラ・マノナ、ウィッツ大学の教員、ネックス財団(ルーム・トゥ・リード NGOパートナー)とニュー・アフリカ・ブックスの代表者が含まれます。教育と書籍出版のこれらの地元のリーダーたちは、2030年までに10歳未満のすべての学生に読解力を身につけさせるという政府の目標と、ルーム・トゥ・リードの図書室モデルの構成要素を学校システムに統合することが、国がこの目標を達成するのにどのように役立つかについて議論をします。

🇱🇦ラオス
2018年以来、ルーム・トゥ・リードはセーブ・ザ・チルドレンおよびヒューマニティ&インクルージョンと提携して、5年間のプロジェクトである米国国際開発庁(USAID)「読書を学ぶ活動」コンソーシアムを設立し、2023年に結実しました。ルーム・トゥ・リードは、「読書を学ぶ活動」を通じて、ルーム・トゥ・リード図書室モデルを教室環境内の小さなスペースに適応させる図書室リーディングコーナー計画の開発を主導しました。私たちはラオス教育スポーツ省(MOES)と緊密に協力して、これらの適応された図書室リーディングコーナーを全国の就学前、1年生、2年生の教室に導入し、40,000人以上の生徒の識字能力と言語発達を支援しています。

このプログラムの成功を認識した米国国際開発庁(USAID)は、ルーム・トゥ・リードとラオスのMOESがより多くの学校に読書コーナーを提供できるようにするために、2025年までの「読書を学ぶ活動」の2年間の延長を行うためにコンソーシアムとの議論を開始しました。さらに、私たちはルアンパバーン郡教員養成大学と提携して、教員研修生のための事前準備の図書室カリキュラムを開発し、試験的に実施し、すべての子ども達が十分に訓練された高度に熟練した教師に指導が受けられるように支援しています。

これらの成果は、支援的な環境と相まって、読解力と読書習慣の両方に焦点を当てた計画が、子どもたちの読解力レベルの有意かつ持続的な改善をもたらすことを示唆しています。

ご支援をお待ちしております。

原文URL:
https://www.roomtoread.org/the-latest/partnerships-pave-the-way-scaling-room-to-read-s-library-model/

翻訳:
kochi

図書室が育む子ども達の未来:5つの国での挑戦

活気があり、子どもに優しい図書室は、ルーム・トゥ・リードの識字プログラムにおいて欠かせない存在です。私たちは学校と協力し、図書室を設立し、司書や教育者に対して学生の学習をサポートする図書室管理についての研修を行っています。また、すべての子どものため、発達に応じた多様で魅力的な本が揃っている図書室にアクセスできるよう、政府への働きかけも行っています。

図書室の発展のため、私たちの識字チームは世界各地で活動していますが、以下では今年の進捗状況についてご紹介します。

🇰🇭カンボジア
ルーム・トゥ・リードは、カンボジアの教育・青少年・スポーツ省(MOEYS)と協力し、地元の教員養成大学向けに、識字と初等学校図書室に関する大学レベルのコースを開発しました。このコースは、「生涯読書者の育成:学校図書室と教室読書コーナーの力」と呼ばれています。子ども達の高い識字スキルと生涯にわたる読書習慣を身につけるための手助けとなる学校図書室の力についての重要な研究に取り組む機会を将来の教師たちに提供します。教師となるために勉強している学生たちは、モデル校の図書室を通じて、卒業後に初等学校の教室、図書室、読書コーナーへスムーズに適応できるよう、実践的な経験を積んでいきます。

🇮🇩インドネシア
“図書室が育む子ども達の未来:5つの国での挑戦” の続きを読む

読書普及隊(Reading Champions)プロジェクト:南アフリカで読書文化を育むために

読書普及隊のヘッド・トレーナー(左)が、南アフリカの新しい読書普及隊に教育セッションを行っている

読書の経験を振り返ったとき、何が印象に残っていますか? 物語を読んでもらったことを思い出しますか? 声に出して本を読み、自分のスキルを試したことを思い出しますか? それともあなたが本を通じて新しい世界を探索する中でサポートしてくれた年上の生徒とペアになったことを思い出しますか?

ルーム・トゥ・リードは、読書のスキルを身につけ実践することはチームプロセスであり、すべての関係者にとって、教育的で、かつ楽しいことであると認識しています。

ルーム・トゥ・リードは、プログラム実施国において、本を読む人たちのために必要なツールを家庭やコミュ ニティに提供し、子どもたちの読書への愛と習慣を育む手助けをしています。2021年の国際読解力調査において、南アフリカの小学4年生の81%が意味を読み取ることができないという驚くべき結果が出たことから、この活動は、識字率と若者の雇用率の両方を向上させるという、刺激的で革新的な局面を迎えています。
“読書普及隊(Reading Champions)プロジェクト:南アフリカで読書文化を育むために” の続きを読む

3ヶ月で84冊:カンボジアの少年、リオが読書好きになるまで

休憩時間に外で本を読むリオ

10歳のリオが5年生に進級した年、ルーム・トゥ・リードは、プノンペンから約300キロ北西に位置するカンボジア、バタンバン州にある彼の小学校と提携しました。ルーム・トゥ・リードの現地チームは、初等教育の教師たちに効果的な識字教育の訓練を行い、新しい学校図書室を設立しました。この図書室は温かくカラフルで居心地がよく、年齢に適した子ども向けの本が揃っています。リオの担任のコン・ソペアビー先生は、図書室がリオに与えた変化の速さに驚いたと語っています。

「リオは以前ととても違います」とコン・ソペアビー先生は話しました。「以前は授業に集中せず、遊ぶことが好きでしたが、今では本を読むことに熱心で、優秀な生徒になりました。」

以前は読書にあまり興味を示していなかったリオが、わずか3ヶ月で図書室から84冊の本を借りたとコン・ソペアビー先生は語りました。リオは、母親と一緒に本を読んだと先生に報告し、やがて弟や妹にも本を読み聞かせるようになりました。

コン・ソペアビー先生は、図書室へのたった一度の訪問がリオの関心を引きつけるのに十分だったと述べました。彼はすぐに貸出システムに興味を持ち、本を借りて家に持ってかえることが楽しみとなりました。本を借りるプロセスは、リオが明らかに楽しみにしている幸せな日課となりました。毎晩家で読書の練習ができるようになり、リオの読解力と自信が育まれました。彼は新しい本を探すために何度も図書室を訪れました。時には家に帰るのを待ちきれず、遊び時間にも教室で本を読むこともありました。

「図書室が開くと、リオはいつもすぐに本を借りに来ます。彼は読書レベルに応じて本を整理するのも手伝ってくれます」とコン・ソペアビー先生は語りました。

カンボジアでルーム・トゥ・リードが設立した図書室で列に並んで本の貸し出しを待つ子供達

リオは今、読書は楽しいものだということを理解しています。「本を読むと幸せな気持ちになります。」と彼は大きな笑顔で言いました。「それぞれの物語に登場するさまざまなキャラクターが大好きです。特に民話が好きです。読書は勉強にも役立っています。」

「息子の態度がポジティブに変わりました!」とリオの母親は喜びの声で言いました。「以前は携帯電話で遊んでばかりで、家事を手伝うことはめったにありませんでした。今では本を読むことの方が好きで、私が料理や掃除で忙しいときには、家事を手伝ったり弟妹の世話をしてくれたりします。」

リオは本を手にして言いました。「図書室は学校だけでなく、村や家庭にもあって、みんなが読書の習慣をつけられるようにすべきです。」

その通りですね、リオ!

学校の図書室から借りた本を持って自慢そうに立つリオ

ルーム・トゥ・リードは、学習をサポートする図書室を設立するために学校と提携し、すべての子ども達が発達に適した多様で魅力的な本が揃っている子ども中心の図書室にアクセスできるよう、政府と協力しています。私たちの図書室評価システムは、優先項目リストの15の指標を追跡し、年に2回の評価を通じて図書室の機能性と持続可能性を確保しています。このシステムは、追加の支援が必要な学校を特定し、優先順位を付けるのに役立ちます。

ご支援をお待ちしております。

原文URL:
https://www.roomtoread.org/the-latest/eighty-four-books-in-three-months-how-a-room-to-read-library-helped-lio-in-cambodia-fall-in-love-with-reading/

翻訳:
Tomoko Sasaki

《読書の価値を認識していなかった村が変わった!》 〜スリランカのとある村が、ルーム・トゥ・リードと共に読書を愛するようになるまで

スリランカハティガムワに小さな小学校があります。ルーム・トゥ・リードが8年前に学校と提携する前は、36人の子どもしか在籍していませんでした。その後、わずかですが、子どもの数は増えていきました。そして今では、村の163人の子ども達が毎朝、ココナッツの木々に覆われた長く静かな道を通り、鮮やかな青色に塗られた校門を抜けて教室に向かいます。

小さな学校であっても、村の親たちは子ども達に最も競争力のある教育を受けさせたいといつも願ってきました。スリランカの教育システムは試験を重視しており、ハティガムワの親たちは特に子ども達が試験で良い成績を収めることを望んでいます。スリランカの5年生全国奨学金試験で高得点を取ることは、より大規模でリソースが豊富な学力の高い州立学校に入学できる可能性が高まるということを意味しています。

ハティガムワの小学校校長は、長年にわたり教育者と協力して、生徒に強い読書習慣を植え付ける努力をしてきました。校長は長い間、教師たちが活気のある読書文化を作り出すのに役立つ学校図書室を持つことを夢見てきました。しかし、その夢は、『子ども達の親たち』と言うハティガムワのコミュニティの意外なセグメントによって何度も何度も延期されました。図書室が試験準備の妨げになることを心配したハティガムワの親たちは、専用の読書スペースの設立や学校の日課に「読書時間」を追加することに対して大部分が反対したのです。

「親たちは、本を読むことは他の教育のじゃまになるのではないかと心配している」と校長は説明しました。
“《読書の価値を認識していなかった村が変わった!》 〜スリランカのとある村が、ルーム・トゥ・リードと共に読書を愛するようになるまで” の続きを読む