【少女たちが学校に戻らないリスク】「すでに結婚した少女も」コロナ危機の中、アフリカとアジアでは少女たちが学校に戻らないリスクにさらされています

Room to Read INDEPENDENT
24,000人の少女を対象に実施した調査では、家族は娘を早く嫁がせたり、学校が安全に再開できる状況になっても学校に戻るよりも仕事をさせることを優先するだろうと警告しています (ルーム・トゥ・リード)

[English]

2020年7月9日
インディペンデント紙  マヤ・オッペンハイム特派員

インディペンデント紙に掲載された記事を紹介します。原文はこちらです。
‘Some girls have already married early’: Young women at risk of never going back to school in Africa and Asia amid coronavirus crisis

新型コロナウイルス感染症(以下:COVID-19)拡大による緊急事態をきっかけに、アフリカとアジアでは、少女の半分が学校に戻らないリスクにさらされているという厄介な報告がされています。

24,000人の少女を対象に実施したこの調査は、学校が安全に再開できたら、家族は娘の教育よりも、結婚や児童労働を優先するだろうと警告しています。

低所得国の子どもたちの識字教育をサポートしているルーム・トゥ・リードは、10代の少女たちがCOVID-19危機の間にすでに学校を中退しており、これは経済的苦難の直接的な結果である可能性が高いと述べています。

インデペンデント紙は、今回の研究について独占的に取材を行いました。COVID-19危機によって経済的に不安定な状況は、お金を稼がねばならないというプレッシャーを増大させ、少女たちは児童結婚や性的搾取、その他の搾取の犠牲となり得ます。

経済的なプレッシャーは、少女が学校に行く代わりに料理、掃除、親戚の世話をするために家にいるように仕向けられることもある、と研究者たちは述べています。

少女のほぼ半数が、今回の公衆衛生上の緊急事態によって収入を失ったと答え、10人に1人の少女が、危機の間に学校が閉鎖されてから勉強をしなくなったと答え、学校に戻れないことに不安を感じている、と答えています。

調査対象となったコミュニティの家族の収入は1日1米ドル(約100円)未満であるため、収入の減少は壊滅的な影響を及ぼす可能性があります。

ルーム・トゥ・リードのヘザー・シンプソン氏はこう述べています。
「経済的苦難は、長い間、少女が教育を受けられない一番の理由でした。すでに何人かの少女が結婚していると聞いています。経済的困難は、家族が娘の早期結婚を選択する主な原因であるため、これらの結果は、緊急の行動が必要であることを国際社会に警告する信号として役立つはずです。私たちは、教育の力によって自分自身と地域社会のためにより良い生活を送ることを夢見ている世界で最も貧しい地域の少女たちを見捨てることはできません」
シンプソン氏は、近年、低所得コミュニティにおける少女の支援には実質的な進展が見られているものの、ジェンダー平等の達成に向けた進展は、世界的な公衆衛生危機によって「数十年後戻りする可能性がある」と述べました。

ルーム・トゥ・リードが支援を行っているスリランカの15歳の少女ヴァルニは、アルコール依存症の父親が暴力を振るっており、安全とは言えない家庭環境で生活していたため、ロックダウン中に叔母の家に引っ越さなければなりませんでした。10代の少女は今では勉強を再開しており、ロックダウンが緩和されると学校に戻る可能性が高いと言われています。

ネパールに住んでいる少女ウルミラは、ロックダウンが始まって以来、家族が彼女に学校を中退するよう迫ったと言いました。オンライン授業を受けるために、家族が持っている唯一のスマートフォンを使用していましたが、母親と弟は、教育をあきらめるべきと言ったのです。

世界中で、ほとんどの子どもたちの学ぶ機会は中断されています。研究者たちは、低所得層 のコミュニティにいる何百万人もの子どもたちにとって、COVID-19拡大の影響による学校閉鎖は、中断ではなく「消失」 を意味すると指摘しています。

「読書の消失、学びの消失、そして自らの人生や所属するコミ ュニティに明るい変化をもたらすという夢の消失」と補足しています。

この報告書は、世界的なパンデミックの間に女子教育に関する最大規模の調査です。インタビューを受けた少女たちの年齢は15歳から19歳で、インドからネパール、スリランカ、ベトナム、ラオス、カンボジア、タンザニア、バングラデシュまでの8カ国にまたがる低所得コミュニティに住んでいます。

報告書によると、「家族がかつてないレベルのストレスに直面すると、家庭内の対立や 性的差別による暴力のリスクも高まり、少女の自信や幸福感、人生の重要な決断を交渉する能力に悪影響を及ぼす」とのことです。

国連人口基金(UNFPA)が4月末に実施した研究では、コロナウイルスの発生は、子どもの結婚の慣行を抑制するための措置を停滞させる可能性があり、次の10年間で1300万人の子どもの結婚が増える可能性があると警告しています。毎日2万人 以上の未成年の少女が結婚していることも2017 年Save the Childrenの調査で判明しています。