2024年11月、ルーム・トゥ・リード・カンボジアのカントリーディレクター、バンタ・チアが初来日しました。バンタは、1970年代のカンボジアの内戦*の混乱を生き抜き、教育の力で人生を切り開いた人物です。バンタの半生、ご支援を通して達成した政府を巻き込んだ教育変革、そして、教育がもたらした子ども達の未来をご紹介します。
*1970年代、クメール・ルージュ政権による紛争で約200万人が犠牲となり、教育基盤や知識層が壊滅的な被害を受けました。学校は破壊され、多くの子ども達が学ぶ機会を奪われるなど、国全体に深刻な影響を及ぼしました。
バンタからのメッセージはこちらの動画でもご覧いただけます。
家族12人のうち9人が命を落とし、一夜にして孤児に
日本のご支援者の皆様、はじめまして!ルーム・トゥ・リード・カンボジアのカントリーディレクター バンタ・チアと申します。ルーム・トゥ・リードのカンボジアでのプログラムを皆さんに紹介する前に、まずは私がここに来るまでの経緯をお話しさせてください。
1975年、クメール・ルージュがカンボジアの首都を侵略した時、私はまだ若い少年でした。世界は一夜にしてひっくり返り、推定200万人が殺され、飢餓で命を落としました。学校は完全に破壊され、教育を受けたほとんどすべての人が命を奪われたのです。12歳のとき、私は孤児となりました。
姉妹2人は学校に通うことができませんでした。教育を続けることができたのは、私ひとりだけでした。
幸いにも、海外で学び続けるための奨学金を受けることができました。この機会が私の人生の進路を変え、すべての子ども達、特に少女達が、質の高い教育を受ける権利を奪われないよう尽力するキャリアを築くことができました。
ルーム・トゥ・リード カンボジアの取り組み
カンボジアは、何年もの混乱の後、教育システムの基盤からの再建に向けて、ゆっくりとですが着実に進展しています。課題は明白です。カンボジアでは15歳の子どもの82%が、読み書きを得意とせず、小学校に通っている50%の生徒は、中学校には進学していません。
2017年にルーム・トゥ・リードに参加して以来、私は私たちのプログラムがカンボジアに与えた変化を目の当たりにしてきました。
皆さんの私達のミッションへの継続的なご支援のおかげで、カンボジアでは200万人の、そして世界中で合計4,500万人の子ども達が識字能力や生活スキルにアクセスできるようになり、より良い未来を築いています。
活気的な図書室と本がもたらす奇跡
カンボジアの遠隔地バナン地区にあるベイ・ダムラム・ケウト小学校の例をご紹介しましょう。かつては質素で何もない「図書室」と呼ばれた空間に、今ではカラフルで魅力的な本が並ぶ棚と、訓練を受けた教育者がいます。最初は恥ずかしがり屋でためらっていた子ども達が、今では積極的に本を借りるようになり、実際、この1年だけで、一人の生徒が平均122冊の本を借りています。
ルーム・トゥ・リードのプログラムが国の教育カリキュラムに採用
カンボジアの教育当局は、教育を国家的優先事項として位置づけ、ルーム・トゥ・リードが展開する小学校1~2年生のための読書カリキュラムの一部を正式に採用し、すべての公立小学校において図書室の質の基準を引き上げることを約束しています。さらに、ルーム・トゥ・リードのジェンダー平等プログラムや生活スキルの授業が、7年生~9年生の全国カリキュラムに正式に組み込まれています。まさに、政府を巻き込み国全体で、システム(仕組み)レベルの変化が起こっています。
ユネスコ女子・女性教育賞を受賞。世界で認められるプログラム
特に誇りに思うことは、ルーム・トゥ・リード・カンボジアが、名誉ある2022年ユネスコ女子・女性教育賞の2つの受賞者の1つとして認められたことです。皆様と積み上げてきた結果が、子ども達の人生を変えているのです。
ルーム・トゥ・リードへのご支援は、「息子と娘のどちらかを選ばなければならない」ような状況をなくし、すべての子ども達が読み書きの力を通じて未来への扉を開ける世界を実現します。カンボジアの子ども達の未来に希望と喜びを持って毎日目覚められることに、心から感謝を申し上げます。
ご寄付はこちらからお願いします!
7,500円で1年間の識字教育を、50,000円でジェンダー平等(女子)教育プログラムを1年間提供できます。