【ウェビナー報告】「ベトナムの子どもたちの今とこれから」を開催しました


10月2日・3日、ルーム・トゥ・リード・ベトナム カントリーディレクターのヌオン・グエンとともにオンラインウェビナー「ベトナムの子どもたちの今とこれから」を開催しました。
事前にたくさんの質問をいただき、両日併せて数十名の方にご参加いただきました。当日の様子を、ビデオおよび本ブログにてご報告いたします。
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町の図書館が、私の原点

私は、教育をとても大切にする家庭で育ちました。裕福ではありませんでしたが、家には本がありました。家の本を読み尽くすと町の図書館に通い、何時間もページの中の世界に夢中になりました。

本は私の世界を広げてくれました。自分が立っている場所から見えるよりも、ずっと多くの場所や考え、可能性があることを教えてくれたのです。

でも学校に通ううちに、同級生の家に本棚があるのは当たり前ではないと気づきました。その経験が、今の仕事につながっています。


ルーム・トゥ・リードはベトナムで20年以上、識字教育と女子教育に取り組んできました。2025年末までに、328万人以上の子どもたちと5万2,000人以上の青少年にプログラムを届けています。

台風で失った図書室が、戻ってきた


被災した図書室。17万戸以上の家屋が損壊・浸水した。

2025年9月、強い台風がベトナム北部と中部を襲いました。洪水で多くの家族が家を離れ、学校の図書室では本も本棚も失われました。

子どもたちにとって図書室は、安心して過ごせる場所です。私にとっての町の図書館と同じように。

日本の皆さまのご支援のおかげで、私たちはすぐに動くことができました。ゲアン省・タイグエン省・ランソン省の21校、6,300人以上の生徒に、新しい本と図書室の家具が届いています。被害を受けた図書室は、すべて再開しました。

ゲアン省Nho Hoa Schoolの校長先生から、メッセージが届いています。

「皆さまのご支援によって、私たちの図書室には再び本と子どもたちの笑い声が戻ってきました。」

すべての子どもが、本を読めるように


緊急支援のその先にある目標は、すべての子どもが学び続けられることです。いま、こんな取り組みを進めています。

  • AIで先生を支える:先生や司書に実践的なアドバイスを届けるアプリを、5省の20校・230人の先生と試行しています。AIは人の代わりではありません。移動が難しい地域にも支援を届けるための道具です。
  • 点字と触る絵本:11タイトルを点字化し、計1,100冊を視覚障害のある子どもたちに届けました。
  • 少数民族の子どもたちへの言葉の支援:自信を持って小学1年生を迎えられるよう、ベトナム語を聞く力・話す力を育てています。
  • 国の仕組みに:教育訓練省と10年にわたって協力し、全国の図書室の基準づくりにも関わってきました。

恥ずかしがり屋だったKienくん


タイグエン省の茶の産地で、お母さんと育ったKienくん。小さい頃は物静かで、恥ずかしがり屋でした。今も週末には家に帰り、茶摘みを手伝っています。

小学生のとき、ルーム・トゥ・リードの図書室で本と出会い、少しずつ自分の声を見つけていきました。今は高校3年生。文学が大好きで、学校行事の司会も務めています。

「文学が一番得意です。小さい頃から、たくさんの本を読んできたからです。」

Kienくんの話は、私が本から受け取ったものを思い出させてくれます。教育とは、学ぶのを助けるだけではありません。「自分は何者になれるのか」を見つける手助けなのです。

女の子たちが、行動を起こす


私は子どもの頃、家の手伝いのために学校をやめていく女の子たちを見てきました。女子教育プログラムは、思春期の子どもたちが学びを続け、自分の未来を自分で選べるよう支えています。

その新しい取り組みが「Climate Justice Club(気候正義クラブ)」です。生徒たちは地域の気候の課題を探し、仲間と解決策を考えて行動します。気候変動の影響は、女の子や弱い立場の人に重くのしかかります。だからこそ、「誰の声が見落とされているのか」を自分たちで考えるのです。

これまでに59校・2,600人以上が参加し、64件以上のプロジェクトが生まれました。来年度はカマウ省の55校、約28,350人に広がります。

世界は、今いる場所よりずっと広い


皆さまのご支援で、子どもたちは図書室に戻ってきただけではありません。本を読む人になり、自分の声を見つけ、地域で行動を起こしています。

私が子どもたちに届けたいのは、かつて本が私にくれたものと同じです。「世界は今いる場所よりもずっと広く、その世界を自由に探検していい」と知る機会です。

ベトナムの子どもたちを信じ、支えてくださる日本の皆さまに、心から感謝しています。


参加者の皆さまからの質問
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Q. 活動している地域には、どんな課題がありますか?

山間部では、家では自分たちの言葉で育ち、学校で初めてベトナム語を学ぶ少数民族の子どもが多くいます。力はあるのに、自信を持てないこともあります。通学の遠さ、貧困、本の不足、くり返す洪水も壁です。

それでも一番心を動かされるのは、先生や家族、地域の人たちの熱意です。地域の人々は、支援を受けるだけの存在ではありません。変化が続くかどうかは、地域が自分たちで続けていけるかにかかっています。

Q. AIやデジタルで、子どもの学びはどう変わっていますか?


スマートフォンやデジタル図書館のおかげで、本が少ない地域でも知識に触れられるようになりました。ただ、都市と山間部の差はまだ大きく、放っておけば格差が広がるおそれもあります。

だからライフスキル教育では、情報を疑い、AIをどう使うかを考える力も育てています。AIは先生を支える道具です。子どもに寄り添う先生の思いやりは、代わりがききません。

Q. 日本の支援者に期待することは?

日本からのご支援は、すでに図書室の再開を支えてくださいました。これからは、長く寄り添うパートナーでいていただけたら嬉しいです。子どもたちには緊急支援だけでなく、先生の育成や良い本、気候変動への備えといった、続く支えが必要だからです。

日本の読書文化や防災、インクルーシブ教育からも、ぜひ学びたいと思っています。お願いしたいのは、お金だけではありません。これからも子どもたちとともに歩んでいただくことです。

Q. 子どもたちは、どんな夢を持っていますか?

大学に行って家族を支えたい、先生や医師、エンジニアになりたい。デザイナーやITの仕事など、まだ地域にない仕事を夢見る子もいます。

子どもたちの夢は、「何を見られるか」で形づくられます。本や先生、身近なお手本が、もっと広い未来を思い描く力をくれるのです。


<御礼>
この度のウェビナーは、株式会社キャンパスカンパニー様のご協賛により、同社のオフィスからお届けしました。キャンパスカンパニー様は、駅ナカでおなじみの「ミスターワッフル」を運営されている会社です。

「たったひとつのワッフルで笑顔をつくりだす」という理念のもと、その笑顔を世界の子どもたちにも届けたいと、2014年からルーム・トゥ・リードを継続してご支援くださっています。この場をお借りして、心より御礼申し上げます。

Website:ベルギー リエージュワッフルのミスターワッフル | MR.waffle


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