【南アジアのデジタルデバイドを解消する4つの方法】

Room to Read EDUCATION ENDURES

[English]

コロナウィルス感染症(COVID-19)危機の中、ルーム・トゥ・リードが南アジアのデジタルデバイドを解消する4つの方法
2020年6月8日 Meenal Sarda

(原文はこちらです:https://www.roomtoread.org/the-latest/4-ways-room-to-read-is-bridging-the-digital-divide-in-south-asia-during-the-covid-19-crisis/

COVID-19のパンデミックが世界にもたらした影響はすでに数え切れないほどあります。最も大きな影響は、オンライン遠隔学習への大転換でしょう。グローバルなコミュニティとして、オンライン教育によって学習の損失を補うように努力しなければなりません。しかし、多くの低所得層のコミュニティに存在するデジタルデバイド(情報格差)を考えると、このパンデミックにより、リソース不足のコミュニティはさらに取り残されていきます。

南アジアでは、大多数の人達が、大人も子どももインターネットにアクセスできません。インド人の24%がスマートフォンを所有していますが [1]、デスクトップコンピュータ、ラップトップ、ノートパソコン、ネットブック、パームトップ、タブレットなど、あらゆるタイプのコンピュータにアクセスできる世帯は11%にすぎません[2]。これらの不均衡に加えて、デジタルデバイドには、階級、性別、地域による格差がさらに大きくなっています。

ルーム・トゥ・リードは、ネパール、インド、スリランカ、バングラデシュに加え、世界各国の低所得層のコミュニティで識字教育プログラムを継続的に実施しています。ここでは、ルーム・トゥ・リードのチームが実施した遠隔学習の取り組みの一部をご紹介します。

1. 録音済みのメッセージ

インドでは、ウッタラーカンド州とチャティスガル州のチームが、録音済みの対話型音声自動応答システム(IVRS)メッセージを試験的に導入しています。携帯電話をお持ちの方は、フリーダイヤルを使って、ボタンをクリックするだけで音声メッセージを聞くことができます。この録音済みのメッセージは、親向けに家庭で読み書きを勉強をするためのヒントを提供するだけでなく、読み書きを学ぶラジオ番組が放送されていることを通知し、子どもと一緒に視聴することができます。物語を聞いたり、ゲームをしたりするなど、メッセージのオプションを追加する可能性を探るためのパイロットテストも進行中です。

2. ラジオ放送

最近、ルーム・トゥ・リードはスリランカの民間ラジオ局と提携しました。このラジオ局では、親や世話人向けに、子ども達と一緒に読書活動を行うことの重要性について語る短いラジオクリップを放送しています。これらのクリップは、子どもと保護者に人気が高い番組内で毎日放送されており、スリランカの公用語であるシンハラ語とタミル語の両方で視聴することができます。
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最初のクリップでは読書活動の重要性にフォーカスして、次のクリップでは家庭での読書活動の方法を説明しています。ラジオ局のカバー範囲を考えて、ルーム・トゥ・リードは、学校が閉鎖されている間、親や世話人が家庭で読書習慣と本好きを強化するために必要なツールを確実に利用できるようにします。

インドのウッタカランド州では、コミュニティラジオが非常に人気があります。そのため、私たちの識字教育プログラムチームは、読書と読み書きに関する音声メッセージを放送するラジオの枠を確保しています。政府との強いパイプにより、この取り組みは政府公認であり、地元メディアにも取り上げられています。

ネパールなど、他のプログラム国でも同様の取り組みを実施しています。ネパールの農村部ではインターネットへのアクセスがないため、ルーム・トゥ・リードは、ラジオ向けのプログラムを開発しており、本の読み聞かせや読み方の指導を行う予定です。

3. テレビ放送

バングラデシュでは、50%近くの子ども達がテレビを視聴しています[3]。ルーム・トゥ・リードは、2018年から、バングラデシュの人気子ども向けテレビチャンネル「Duronto TV」と提携しています。このチャンネルでは、ルーム・トゥ・リードが出版する児童書の読み聞かせを「Colourful Stories(カラフルな物語)」という番組で放送していて、プライムタイムにも放送されるほど人気があります。児童書は、バングラデシュや他の国の物語が取り上げられています。読み聞かせは、COVID-19パンデミックの間、多くの子ども達が学校には通えないものの、家でテレビは見ることができるため、とても役立っています。読書は読み書きを身につけるための重要な取り組みのひとつであり、読み聞かせによって、生徒達は自宅で読む力を強化し続けることができます。
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南アジア全域にテレビが普及していることを踏まえ、ルーム・トゥ・リードはインドとスリランカで、農村部をカバーしているテレビ局との連携に取り組んでいます。コンテンツには、読み聞かせのビデオや、親が自宅にいながら子どもの読み書きをサポートするためのヒントなどが含まれています。

4. ワークシートと識字パッケージ

子どもがいつ学校に戻るかを判断することは難しいですが、段階的に行われる可能性が高そうです。立ち入りの制限、時間の短縮、さらにはロックダウン緩和の最初の段階として、無料の食事プログラムの導入などが考えられます。これらのシナリオを想定して、ルーム・トゥ・リードはワークシートと識字パッケージを開発しており、子ども達が学校に戻ったらすぐに配布される予定です。これらのワークシートは、保護者の負担を最小限に抑えながら、子ども達が主要な読み書きの概念を復習するのに役立ちます。また、子ども達が学校に戻る準備をするための読み書き活動が含まれており、ルーム・トゥ・リードが活動を行っている南アジアのプログラム支援校で提供される予定です。

これらのワークシートは、ルーム・トゥ・リードの児童書のデジタルプラットフォーム「リテラシークラウド」や、読み聞かせビデオ、教育者向けの専門的な開発リソースなどのデジタルイニシアティブに加えて開発されました。また、政府との協働を重視しているため、政府のウェブサイトやデジタルポータルにもリソースを提供するなど提携を行っています。

ルーム・トゥ・リードの識字教育プログラムは、こうした教育的介入を最も必要としている低所得層のコミュニティにいる子ども達にフォーカスしています。これらの戦略は、子ども達がデジタルリソースにアクセスできるかどうかを考慮して開発されたものです。公立学校は、最も疎外されたコミュニティに対応しており、これらの子ども達をサポートすることがルーム・トゥ・リードのミッションです。この危機の中、社会的弱者である子ども達が取り残されないように、これまで以上に懸命に取り組んでいます。

[1] https://www.thehindu.com/news/national/24-pc-of-indians-have-a-smartphone/article26212864.ece
[2]http://mospi.nic.in/sites/default/files/publication_reports/KI_Education_75th_Final.pdf
[3] 出典。複数指標クラスター調査より

◆この困難な時期にも子ども達が継続して教育を受けられるよう、ご支援をお願いいたします。
https://give.roomtoread.org/give/280427/#!/donation/checkout

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