想像力をロックダウンすることはできない Imagination is Never Locked Down

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今年も国際識字デーを迎え、世界的な大流行の中で、本がいかに心の安らぎや逃避、そして冒険への道となり得るかを改めて認識しています。この1年半は特に大変でしたが、読書が社会的・感情的な幸福を育む役割を果たしていることに感謝したいと思います。

また、ネパールの識字教育プログラムに参加している生徒のプラサムサちゃん。彼女は読書が大好きで、本を読んで笑ったり、世界について学んでいます。パンデミックの間も、毎日家で本を読んでいましたが、この楽しさを共有したいと思い立ち、自分で読み聞かせの録音を始めました。パンデミックが急速に拡大する中、私達はプラサムサちゃんの録音をネパールの何千もの家庭に放送することができました。

もちろん、誰もが平等に読書ができるわけではありません。そのためルーム・トゥ・リードでは、教育における非識字とジェンダーの不平等をなくすという大きた目標を掲げています。私達は20カ国で活動しており、COVID-19が学習環境を困難にし続けている中、何百万人もの子ども達を支援するために、より効果的な新しい支援方法を見つけています。

そのひとつとして、魅力的で、挑戦的で、豊かな本づくりを行っています。ルーム・トゥ・リードでは、先進国の出版業界では必ずしも反映されない場所や人々を描いたタイトルを、現地の言語で制作しています。現在までに3,216冊のオリジナルタイトルを制作しており、その多くは、ルーム・トゥ・リードが無料が提供しているオンライン教育プラットフォームLiteracy Cloud(英語および支援地域での言語のみ)でご覧いただけます。9月8日の国際識字デーに合わせて、私達のお気に入りの作品を集めました。これらの本は、私達が失っていた自由を与えてくれると同時に、世界の様々な地域の子ども達の経験を検証し、肯定してくれます。さあ、冒険の始まりです!

※ご紹介している下記の絵本一覧は、ルーム・トゥ・リードが現地で出版している現地語で書かれた絵本で、すべて英語に翻訳したものです。インドネシアの「津波」や南アフリカの「スーツケース」以外は、小学校低学年向けの絵本なので、使われている英語もシンプルな単語です。イラストも国ごとに異なりますので、ぜひ違いも含めて、お楽しみください。

キム、川を発見(原題:Kim Discovers the River)」(ホンジュラス)

帰り道、赤いブレスレットをなくしたキムは、探しているうちに、多様な生き物、景色、音で満たされた美しい川を見つけます。ホンジュラスのリオ・プラタノ生物圏保護区を舞台にした「キム、川を発見(Kim Discovers the River)」は、ホンジュラスの水路に沿って暮らす様子を探り、読者がどこにいても自分の周りの世界に目を向けるよう促します。

髪の恐怖(原題:Hair Scare)」(インド)

このグラフィックノベルは、パンデミックを直接取り上げています。ロックダウンの間、何年も散髪をしていない少年と犬が登場します。アンマが「もう十分、散髪しなきゃ」と判断すると、冒険が始まります。楽しいこと、ハチャメチャなこと、愉快なことは、すべて家の中で、それぞれの家族と一緒に楽しむことができるのだと教えてくれます。ヒンディ語で出版された「髪の恐怖(Hair Scare)」は、現在、英語でも出版されています。

津波(原題:Tsunami)」(インドネシア)

美しいイラストで描かれたチャプターブック「津波(Tsunami)」は、家族や友人を失った一人のこどもが、ショック、怒り、悲しみといった感情を徐々に乗り越えていく様子を描いています。インドネシアの作家Yovita Siswatiは、癒しの理論を用いて物語を構成し、読者に希望を与えています。2004年に発生したアチェ津波を題材にしたこの作品は、実際に起きた悲劇を取り上げながら、生き残った人々のレジリエンス(回復力)にも言及しており、私達にも通じるものがあります。

3羽のアヒルの子の冒険(原題:The Adventures of the Three Ducklings)」(ヨルダン

3羽のアヒルの子の冒険(The Adventures of the Three Ducklings)」は、動物の鳴き声や、自分とは違う人を受け入れること、さらにはコミュニティを築くことの大切さなど、すべての子ども達にとって魅力的な内容です。アヒル達は、家を失い、寝る場所を近所の人達に頼らなければならない人々を表しています。嵐が過ぎ去ると、彼らは母親と安全な場所に戻る方法を見つけます。

奇妙な一日(原題:A Strange Day)」(ネパール

いたずらと気まぐれがいっぱいの「奇妙な一日(A Strange Day)」は、うさぎが車に乗ったらどうなるかを描いた作品です。ネパールの著者とイラストレーターによって作られたこの楽しい絵本は、子ども達がネパール語で最初に学ぶ言葉である「うさぎ」「車」「川」などを物語の中で紹介しています。あらゆるレベルの読者が、「奇妙な一日(A Strange Day」で想像力を膨らませて楽しむことができます。

スーツケース(原題:The Suitcase)」(南アフリカ)

スーツケース(The Suitcase)」は、悲嘆にくれた少年が、ダンスを通して勝利することを学ぶ、美しい本です。主人公のルワジがアルビノであること(アフリカの多くの地域で生まれつき髪や肌の色素が薄い遺伝子疾患アルビノは差別を受けています)は言及されておらず、読者が自分で教訓や結論を導き出すことができるようになっています。

忘れられない冒険(原題:(An Unforgettable Adventure )」(ベトナム

世界中の親と小さな子どもは同じ葛藤をかかえています。お昼寝の時間になっても、子どもはどうしても遊びたがります。「忘れられない冒険(An Unforgettable Adventure )」は、ベトナムの少年ティが、想像力を働かせて船に乗り、やがて眠ってしまうという物語です。このコミカルで親しみやすい物語は、私達の中にある眠くて冒険好きな子ども心を引き出してくれます。

友達のいないゾウ(原題:The Elephant Who Had No Friends)」(ザンビア)

伝統的な民話から生まれた「友達のいないゾウ(The Elephant Who Had No Friends )」は、一頭の孤独なゾウと、友達を作るまでの冒険を描いています。シンプルな言葉と美しい水彩画で、友情と寛容の大切さを教えてくれます。世界中の子ども達に人気のあるこの作品は、ザンビアの小学校で使用される物語リストに入っています。