すべての人に教育を:ルーム・トゥ・リードの世界各地のプログラムの最新情報


2023年第2四半期も終わりに近づきましたが、ルーム・トゥ・リードが世界中で識字能力と男女平等の促進をどのように支援しているか、最近の事例をいくつかご紹介します。

バングラデシュ:自立した読者の育成
バングラデシュ政府は、小学校で自立した読者を育てるという画期的な取り組みを行っています。Directorate of Pirmary Education(DPE)のオフィスで開かれたワークショップで、ルーム・トゥ・リード・バングラデシュの支援を受けて、出席者はこの目的のための国内フォーラムを設立することを決定しました。ルーム・トゥ・リードとDPEが提示した枠組み案に、DPE、National Curriculum、Textbook Board、National Academy for Primary Education、国連の関係者を含む教育セクターの著名な代表者たちが積極的に賛同しました。

DPEのシャー・レズワン・ハヤット局長は、ナトールの小学校を訪問し、地元と国のDPE職員、初等教員研修機関の講師を招いてワークショップを開催しました。ルーム・トゥ・リードのクラスルーム・ライブラリーモデルを10校の公立小学校で試験的に導入する計画で、クラスルーム・ライブラリーの重要性と政府の監視メカニズムについて話し合いが行われました。自立した読者を育てるという政府の取り組みは、バングラデシュの教育状況に変革を起こすものであると言えます。


インド:教師のためのライフスキル教育研修
2022年9月、ルーム・トゥ・リード・インディアは、アンドラ・プラデシュ州のカダパで女子教育プログラムを開始しました。歴史的に低所得層が多いコミュニティの女子生徒が通う、政府が運営する6つの全寮制の学校(Kasturba Gandhi Balika Vidyalayas(KGBV)としても知られています)で開始されました。今年、アンドラ・プラデシュ州のプログラムスタッフは、このプログラムを地区内のすべてのKGBVに拡大し、最大2,000人の少女に支援を行う計画です。

2023年6月、この活動の一環として、ルーム・トゥ・リード・インディアは、2023-2024年度に女子教育プログラムのライフスキル・セッションを指導する62人のKGBVの教師と校長を対象に、3日間のトレーニング・プログラムを実施しました。この研修は、教師のライフスキルファシリテーターとしての能力を高めることを目的とし、自己認識、自己効力感、社会的認識という3つのライフスキルのカテゴリーをテーマ別に理解することを指導しました。さらに、ポジティブディシプリンの原則に基づいた学級運営を改めて学び、ファシリテーションのスキルを向上させるための実践的なセッションも行われました。

研修の最後に行われたテストでは、教師たちのライフスキルに対する理解が大いに深まったことが確認できました。地方教育局の教育担当者や その他の職員も研修の一部に参加し、このプログラムの確かな影響力に期待を寄せていました。ルーム・トゥ・リード・インディアからの継続的な支援により、これらのライフスキル教育者は今後、アンドラ・プラデシュ州カダパのKGBVで少女たちにライフスキルのセッションを実施する予定です。

カンボジア:ライフスキル教育の変革
教育システムを強化し、継続的な変化を生み出すための政府の取り組みを支援する戦略の一環として、ルーム・トゥ・リード・カンボジアは、ライフスキル・セッションの指導方法に関する研修を行い、教師を支援しています。女子教育プログラム・チームは、最近、ライフスキル教育実施の継続性を強化するために、他の教師のメンターやコーチとしてDistrict Resource Persons(DRP)を教育することで、私たちのアプローチを改善しました。この変化により、教師がライフスキル・セッションの教え方を学ぶ際に、重要な教育学的サポートが提供されることになります。

6月末までに、ルーム・トゥ・リードが活動している6つの県のうち5つの県から、77人のDRPが教師をサポートするコーチング・スキルの研修を受けました。カンボジアの私たちのチームは、DRPから前向きなフィードバックを受けており、研修に感謝し、教師の専門性の向上に役立っていると話しています。

ラオス:多学年学級の教員を支援
ラオスでは近年、経済状況や生活費の高騰により教師の数が減少しており、その影響で若い教師が別のキャリアを選ぶことが多くなっています。その結果、全国の学校で多学年学級の授業が必要とされているのが現状で す。多くの小学校では、1年生から5年生を受け持つ教員が不足しているため、一人の教員が一度に複数の学年を教える多学年学級に移行しています。

多学年教員研修は、当初は識字率向上プログラムの一部ではありませんでしたが、ルーム・トゥ・リードのスタッフは、ルーム・トゥ・リードの学校で多学年学級の教員が直面している課題に取り組みたいと考えていました。ルーム・トゥ・リード・ラオスは、「Learn to Read」と呼ばれるプロジェクトの一環として、地元政府と綿密に相談しながら、多学年を対象としたトレーニング・マニュアルの作成を始めました。このマニュアルは現在、ルーム・トゥ・リード・ラオスの学校で導入するための最終的な調整が行われており、ラオス政府では多学年指導のための国家カリキュラムを策定中です。

ルーム・トゥ・リードのスタッフは、地方教育局と協力し、2023年5月から6月にかけて、ルアンパバーン県内の4つの地区で、多学年のクラス担任を対象とした研修会を開催しました。この研修では、現在の国のカリキュラムを使用した多学年でのラオス語教育の重要な問題に特に焦点を当て、多学年のクラス運営、授業計画、多学年の授業の進め方などの重要なトピックを取り上げました。

スリランカ:世界環境デーを祝う女子教育プログラムの学生たち
世界環境デーを記念して、スリランカ北中部州の女子教育プログラムの生徒たちが、森林保護局と協力してスリランカの乾燥地帯に70本の木を植えました。他の学校の生徒たちは、スリランカの差し迫った環境問題についての認識を高めるため、プラスチック回収キャンペーンを企画し、ポスターを作成しました。ノースウェスタン州の女子教育プログラム参加者は、キャンペーンをよりジェンダーインクルーシブなものにし、意識をさらに広めるために、これらの活動に男子生徒も参加させました。

これらのキャンペーンは、ルーム・トゥ・リードが世界各地で実施している「女子教育プログラム」のカリキュラムの一環として、気候変動に関する正義をより広く実践するためのものです。

タンザニア:識字プログラムの生徒たちが国際アフリカの子の日を祝う
6月16日、ルーム・トゥ・リード・タンザニアは「国際アフリカの子の日」を祝いました。毎年この日は、アフリカの子どもたちの功績を称えるとともに、アフリカ大陸の子どもたちが質の高い教育を受けることを妨げている問題への取り組みの重要性を強調するために、世界中で祝われています。

ルーム・トゥ・リードはダルエスサラームで、地元の小学校の生徒や教師、地元政府や教育関係者らとともに記念イベントを開催しました。イベント中、子どもたちは、リテラシー・クラウド(ルーム・トゥ・リードの無料デジタル・ライブラリー・プラットフォーム)で本を読んだり、読書コンテストに参加したり、詩を朗読したり、絵本に登場するお気に入りのキャラクターを描いたりするなど、さまざまなアクティビティに参加しました。

ベトナム:Literacy Cloudで創造性を取り入れる
ベトナムの読書文化月間である4月中、ルーム・トゥ・リード・ベトナムは “Embracing Creativity with Literacy Cloud “と呼ばれるコミュニティ参加型キャンペーンを実施しました。毎週、Literacy Cloudの絵本が、その絵本の内容に関連したクリエイティブな課題とともに、現地のソーシャルメディア・チャンネルに投稿されました。例えば、「Is the Ghoul Scary?」というタイトルの絵本では、想像力を働かせておばけを描くという課題が出されました。

これらの課題には、全国の子どもたち、学校、家族から多くの参加があり、その結果、選ばれた本を題材にしたさまざまな手作りのアート作品が生まれました。4週間で、13の県から100以上の作品が寄せられ、合計で26,000人に到達しました。また、教師や保護者達にも、生徒たちにもっと本を読んでもらうために、クリエイティブ・チャレンジを再活用するよう呼びかけられました。

原文:
https://www.roomtoread.org/the-latest/education-for-all-updates-from-room-to-read-s-programs-around-the-world/

翻訳:藤田 由弥子