《読書の価値を認識していなかった村が変わった!》 〜スリランカのとある村が、ルーム・トゥ・リードと共に読書を愛するようになるまで

スリランカハティガムワに小さな小学校があります。ルーム・トゥ・リードが8年前に学校と提携する前は、36人の子どもしか在籍していませんでした。その後、わずかですが、子どもの数は増えていきました。そして今では、村の163人の子ども達が毎朝、ココナッツの木々に覆われた長く静かな道を通り、鮮やかな青色に塗られた校門を抜けて教室に向かいます。

小さな学校であっても、村の親たちは子ども達に最も競争力のある教育を受けさせたいといつも願ってきました。スリランカの教育システムは試験を重視しており、ハティガムワの親たちは特に子ども達が試験で良い成績を収めることを望んでいます。スリランカの5年生全国奨学金試験で高得点を取ることは、より大規模でリソースが豊富な学力の高い州立学校に入学できる可能性が高まるということを意味しています。

ハティガムワの小学校校長は、長年にわたり教育者と協力して、生徒に強い読書習慣を植え付ける努力をしてきました。校長は長い間、教師たちが活気のある読書文化を作り出すのに役立つ学校図書室を持つことを夢見てきました。しかし、その夢は、『子ども達の親たち』と言うハティガムワのコミュニティの意外なセグメントによって何度も何度も延期されました。図書室が試験準備の妨げになることを心配したハティガムワの親たちは、専用の読書スペースの設立や学校の日課に「読書時間」を追加することに対して大部分が反対したのです。

「親たちは、本を読むことは他の教育のじゃまになるのではないかと心配している」と校長は説明しました。

ルーム・トゥ・リードが学校と提携した際、私たちのリテラシープログラムのファシリテーター達は、地域社会との関わりが優先事項であることを認識していました。そのため、学校の校長と密接に協力して、親と教師の会議を何度も開催し、若いうちに本を読むことの価値、読書が認知能力と言語能力を向上させ、子ども達が読解力を持って読み書きできるようになり、将来のすべての学習の基盤を築くのかを話し合いました。プログラムのファシリテーターは、親達に自宅で子ども達と一緒に本を読み聞かせることで、しっかりとした読書習慣を作り上げるよう奨励しました。

これらの会議はたいへん効果的でした。「以前は、本を読むことは時間の無駄だと思っていて、子どもの試験準備の妨げになると思っていましたが、これらのセッションに参加することで、読書がどのように言語能力と理解力の向上に役立つのか理解できました。今では、子どもが図書室で時間を過ごすことに対して、より前向きになっています。私たちは子ども達が色々な視点からものを見ることができる人間になることを望んでいます」と一人の親は語りました。

親達は学校図書室のアイデアに対して徐々に心を開いていきました。プログラムのファシリテーターは、州の賞を受賞した著者を村から招き、読書の持つ力について話をしてもらいました。地区の公共図書室の主任司書が別の会議に参加し、図書室が識字能力を育成する上で果たす役割を親達と共有しました。さらに、スリランカの文化庁の文化官も訪れ、ルーム・トゥ・リードのプログラムモデルに対する政府の支援を強調しました。

村での会話は次第に変わり始めました。好奇心を持って、さらには興奮を伴って図書室について語られるようになりました。学校図書室の計画が進行すると、親達は図書室の棚を作ったり、壁を飾ったりして自発的に協力するようになりました。そして、村全体にその話が広がると、もっと多くの親が教師と親の会議に参加するようになりました。

子ども達のために図書室がついにその扉を開いた時、親達は熱狂的に歓迎しました。校長は、親が子どもに本を借りるようすすめ、子どもを学校に迎えに来る時には、図書室での教師による読み聞かせのセッションを見たがっていることを誇らしげに話しました。

ある父親は自宅から持ってきた本を手にして、「今日、妻と一緒にこの本を学校図書室に寄付するために来ました。子ども達が本を読んで図書室の時間を楽しんでいるのを見るのは、とても心温まることです」と語りました。

「子どもの宿題の書き方に明らかに違いが見えます」と別の親は述べました。「語彙が増えましたし、図書室から借りてきた本を大声で読んで、時々それを私達や兄弟にも読み聞かせてくれます。」

子ども達が地区の図書室にも通い始め、学校の鮮やかな青い門を越えて、読書習慣を広めるのにそう時間はかかりませんでした。かつて読書の価値を認識していなかった村は、今や読書に熱心な子ども達で溢れています。

支援的な環境と組み合わせることで、読書スキルと読書習慣の両方に焦点を当てた取り組みは、子供たちの読解力の著しく持続的な向上をもたらす可能性があることを示唆しています。

ルーム・トゥ・リードは、学習をサポートする図書室を設立するために学校と提携し、すべての子ども達が発達に適した多様で魅力的な本が揃っている子ども中心の図書室にアクセスできるよう、政府と協力しています。

ご支援をお待ちしております。

原文URL:
https://www.roomtoread.org/the-latest/the-village-that-feared-reading/

翻訳:
Tomoko Sasaki