25周年に寄せて…
25年前、ルーム・トゥ・リードの創設者3名と最初の支援者たちは、すべての子どもが教育を通じて可能性を最大限に発揮できる世界を思い描きました。
私自身がルーム・トゥ・リードに加わり、日本法人を設立したのが15年前、ルーム・トゥ・リード設立10周年のタイミングでした。当時、支援を受けた子どもの数が500万人に達しようとしていて、「500万人なんてすごい!」と思ったのを、今でも鮮明に覚えています。
あれから15年―以来、世界中の支援者の皆さまとともに、新たな「章」(チャプター)を積み重ね、これまでに28の国と地域で10倍にあたる5,000万人以上の子どもたちに変化をもたらしてきました。ルーム・トゥ・リードは、世界の学習危機を解決できることを証明してきたのです。そして、この物語はまだ続きます。
これは、ルーム・トゥ・リードという組織が、決して立ち止まることなく学び続け、走りながら進化し続けてきた証です。そして私たち自身も、成功体験に甘んじることなく、新たな挑戦を受け入れながら、変化と成長に必死についていくことを求められた日々だったように思います。
今年一年を通じて、25周年という大きな節目に至るまでの歩みを振り返る中で、皆さまとともに築いてきた道のりの尊さを改めて感じています。皆さまの温かいご支援と変わらぬご信頼があったからこそ、ここまで歩んでこられました。心より感謝申し上げます。
先日、支援企業の方々とともに、ルーム・トゥ・リードが最初に活動を開始したネパールを訪れる機会がありました。訪れたのは、首都カトマンズから山を越えつつ車で2時間ちょっとに位置するヌワコットにある小学校で、2015年の大地震で甚大な被害を受けた地域です。
今回訪れた小学校では、現地政府と協働し、3年間の識字教育プログラムが実施されています。偶然にも、日本の寄付者の方が贈ってくださった絵本を、小学校2年生の子どもたちに読み聞かせる場面に立ち会うことができました。大地震やパンデミックという大きな困難を乗り越え、先生が懸命に授業をする姿、そしてそれを受けて目を輝かせながら手を挙げる子どもたちの姿を目の当たりにし、「5,000万人」という数字は、こうした一人ひとりの積み重ねなのだと、その重みを改めて実感しました。
そして今年、ルーム・トゥ・リードは25周年、日本法人も設立15周年を迎えました。この節目を迎えることができたのは、支援者の皆さま一人ひとりの変わらぬご支援と、教育への強い信念があったからこそです。心からの感謝を込めて—本当にありがとうございます。
3月は「国際女性月間」。非識字やジェンダーによる格差のない世界を実現するために活動を行っているルーム・トゥ・リードにとって、とても大切な月となります。世界中の女性と少女の権利が守られ、ジェンダー平等が実現される世界を目指し、さらに歩みを加速させます。
ルーム・トゥ・リード・ジャパン
事務局長 松丸佳穂