少年の意識を新たにすることでジェンダー平等を改善する: ルーム・トゥ・リードのカンボジアからの学び
ディラジ・アナンド 2023年5月30日
近年、学校やコミュニティ全体で、ジェンダー公正への男性や少年の関与が受け入れられ、さらには要求されるのを目の当たりにしてきました。ジェンダー平等のための変革の担い手として、世界的に男性と少年に焦点を当てられているのが、その証拠です。彼らもまた、仲間との健全な関係を築こうとする気持ちや能力を阻害する不平等なジェンダー規範によって、悪影響を被っていることを理解しています。(Dhar, et al. 2022; Keddie, A. 2021; Peacock, 2012; World Health Organization, 2007).
それでも、「ジェンダー平等のための少年/男性の参画」といったキーワードでグーグルを検索してみると、教育やコミュニティの場で少年達と関わるプログラムは、ほとんどの場合いまだに非政府組織や国際開発機関が主導していることがわかります。教育システム全体にわたってこのようなプログラムを持続的に取り入れることを提唱するためには、ジェンダー公正と平等の問題に思春期の少年を参加させることが、いかに前向きな行動変容をもたらし、より安全で平等な環境と教育成果の向上につながるかを、もっと示す必要があります。
ルーム・トゥ・リードはこのようなニーズを理解し、カンボジア政府と協力して、男女共同参画について教室で男子が話し合う、学校ベースのプログラムを試験的に実施しています。平等のためのライフ・スキル・プロジェクト(LSEPプログラム)は、カンボジアのバンテアイ・ミアンチェイ州で試験的に実施されており、7年生と8年生の男子中学生が、有害なジェンダー規範に挑戦しながら、学校内外で成功するために必要なライフ・スキルを身につけられるよう支援しています。特別にデザインされた教室でのセッションや学校行事を通じて、男子生徒は男女の同級生と関わり、健康、平等、性的暴力、ハラスメントといった様々なトピックについて、ジェンダーというレンズを通して話し合います。
プログラムの初年度が終了した後、ルーム・トゥ・リードの女子教育プログラム・チームは、この試験的プログラムが、制限的なジェンダー規範を取り除くという私たちの目標に合致しているのか、それとも修正が必要なのかを判断することにしました。国勢調査に基づく定量調査とサンプルに基づく定性調査の2つの独立した調査を実施し、試験的プログラムの様々な要素について学びを得ました。
そのうちのいくつかをご紹介します。
1. 男子はジェンダーに関連する概念に対する認識が向上している。
全体として、男性らしさ、性別に基づく役割、思春期、セクシュアリティ、健康などのようなジェンダーの概念に対する男子の意識には、統計的に有意な改善が見られる。
2. 男女間の会話が改善した。
ジェンダーの変容を促すセッションの中には、様々なジェンダーのトピックについて女子が話し合うものもあった。調査結果によると、女子は男女間の会話の頻度はほとんど変わっていないと感じているが、その会話が丁寧になったと認識している。これは男子生徒も同様である。男子はまた、不適切な発言や攻撃的な発言を避けたいので、よく考えてから女子と話すようになった。これらの調査結果は、ルーム・トゥ・リードがLSEPプログラムのもう一つの要素である、自主的なライフスキル・クラブに焦点を当てる機会を生み出すものである。このクラブでは、男子も女子も、誰もが安全で礼儀正しい環境で、プログラムから学んだ教訓について話し合うことができる。
3. プログラム・ファシリテーターと教師は、ジェンダー問題についてより多くの情報を得た。
このプロジェクトに参加した後、プログラムのファシリテーターや教師は、より多くの情報を得たと感じ、ジェンダーの問題や概念に対する理解が深まったと報告した。さらに、女性教師は、発言や自己表現に自信が持てるようになったと報告した。また、男性ファシリテーターは、日常生活で生じている様々なジェンダー不平等を検証する能力が高まったと報告した。
様々なルーム・トゥ・リード・チームと調査結果について議論する中で、最初の疑問は、「1年間のプログラム実施でどのような変化が期待できるのか」「成功の基準は何か」に集中しました。パイロット・スタディでは、少年たちの意識レベルや行動レベルに肯定的な変化が見られました。しかし、パイロット調査では把握できなかった様々なプログラム構成要素による変化やシフトがあったかもしれません。他の国々でもこのプログラムの実施と規模拡大に対する関心が高まっているため、今後は各国におけるプログラムの有効性と持続可能性に関するエビデンスの収集に取り組んでいきます。
翻訳:竹内 裕人