バーチャルイベント参加レポート!「コロナ禍でジェンダー平等を推進する(Protecting Gender Equality in a COVID-19 World )」

サポーターの明日香です!10/8(金)に、ルーム・トゥ・リードのバーチャルイベント「コロナ禍でジェンダー平等を推進する(Protecting Gender Equality in a COVID-19 World )」が開催されました! 今回は、その様子と、特に印象深かった部分を皆様にお届けしたいと思います。

          ▲ルーム・トゥ・リードCEO ギータ・ムラリ博士

このイベントは、ルーム・トゥ・リードのCEOであるギータ・ムラリ博士を含む世界中のルーム・トゥ・リードのサポーター(主にアジア・パシフィック地域からの参加者)を迎えて実施したものです。新型コロナウィルス感染症の拡大の中、ルーム・トゥ・リードがどのように世界中の若者や子どもの教育を守ろうとしてきたか、またどのように急激な変化に対応しながら困難を乗り越えてきたかを、各国の対応事例や実際にプログラムに参加した子ども達の”今”の様子を紹介しながら伝えられました。

世界の中でも特に感染状況が深刻だったインドでは、残念ながら学校の先生や親御さんが新型コロナウイルス感染症により亡くなってしまうケースがあり、教育の継続に大きな影響をもたらしました。ルーム・トゥ・リードが独自にインドで行ったアンケートでは、特に少女の約半分は経済的な不安をかかえ、二度と学校に戻れないかもしれないと回答しています。そのような中、ルーム・トゥ・リードのプログラム運営者は、一人の少女も取り残さないよう、少女達のセーフティネットとして機能するようにあらゆる手段を使ってアプローチを続けました。特筆すべきはそのアイデアと実行力です。インターネット越しにリモートメンタリングを続ける、家庭を訪問する、なんとラクダを移動図書館にする(!)、ボートで本を運んだりするなどの素晴らしい工夫で、子ども達やより不安定な立場にさらされている少女の教育・サポートを絶やさない努力が続けられました。

       ▲女子教育プログラム参加者のロシュニ(インド)

パンデミックのことを考えると、事態はあまりにも深刻なのではないか?歩みが止まってしまったのではないか?という思いがよぎりますが、当事者の子ども達はずっと力強く、そのような考えを飛び越えていくことに気づかされます。インドの若いロールモデル、ロシュニはその一例です。自分の村で児童婚が行われそうになった時、「それはおかしい」と思ったロシュニさんは、「NO」の声をあげます。村の大人に声をあげ、周りのコミュニティに声をあげ、自らイニシアティブをとって法執行機関を動かそうと行動し、結果的にその結婚を止めることに成功しました。今もロシュニは、他の少女の人生を守るべく、地域の家庭や大人達、少女達に自ら働きかけています。

        ▲ロシュニが児童婚を止めたことは現地でも報道されました。

バングラデシュでルーム・トゥ・リードの女子教育プログラムに参加した卒業生のハワ(2019年に来日しています!)も、自らの手で人生を切り開いている一人です。家から15キロ離れた高校に通わせ続けるのに抵抗があった家族の事情もあり、初めは成績や出席率も良くなかった彼女ですが、プログラムに参加して勉強が好きになり、夢をもつようになります。知識が自分だけでなく家族や周りの人を救うものだと気づいたハワは、サポオートを受けながら勉強を続け、大学へ進学することができました。パンデミックで学業を一時中断せざるを得ず、現在は地元で教師をしていますが、将来的には政府で働き政策策定にかかわることを夢見て努力を続けています。

       ▲女子教育プログラム卒業生のハワ(バングラデシュ)

心に刺さったのは、少女達は決して、”か弱い立場のか弱い存在”ではないことです。知識という新しい視点さえ得られれば、自分で考え、進み、家族や周りのために地域や世界を動かす大きな力を発揮し続けることができるということを、ロシュニやハワは体現していました。

CEOのギータ・ムラリ博士からの言葉は、予断を許さない状況を再認識させながらも、「絶対に教育を止めない」という確固たる意志とエネルギーに満ちていました。こちらに一部をご紹介します。

「世界的なパンデミックという未曽有の状況の中、まるまる一つの世代が学校に戻れないかもしれないリスクをかかえています。

少女は特にもろい立場にあり、コロナ禍々で経済的に困窮した家庭の幼い少女はしばしば家族から重荷に思われ、学校をやめて結婚したり、働いたり、下のきょうだいの面倒を見たりするようにさせられています。

このような中、”適切で、誰でも利用ができる”教育基盤を広げ、より多くの子ども達をサポートできるよう、私達は尽力してきました。そして、このような環境にもかかわらず、子ども達がチャンスを最大限に活用しようと努力しています。なんと2020年、ルーム・トゥ・リードは新たに490万人の子どもをサポートすることができました(なんと2019年の2倍です!)。」

パンデミックのいち早い収束を願いながら、これからも、世界中の子ども達が平等に学びの機会を得られるようにもう一度考えさせられる機会となりました。

記:宮澤明日香

 

10月29日まで、The Byron Girls Fundが皆様からのご寄付に対し て同額をマッチングしてくれることになりました!  1000円ご寄付をいただくと、同額の1000円マッチングしてくださり、2000円となって2倍のインパクトになって届きます。
女子教育プログラムをひとりが受けるための費用は月に換算すると3000円、1年間で36000円です。少女達の未来を守っていただけると嬉しいです。

ご寄付はこちらから▶  少女が中退しないよう支援する(寄付が2倍に!)

学校で学んでおきたかった10のライフスキル(10月29日まで寄付がマッチングになります!)

(原文はこちら

ルーム・トゥ・リードの女子教育プログラムでは、少女達が学校に長く通い、中等教育修了に向けて前進し、自分の人生について十分な情報を得た上で選択し、自分の可能性を実現するために必要なスキルと主体性を身につけることを支援しています。

ルーム・トゥ・リードの女子教育プログラムでは、4つの重要な要素の1つは、教室の中でも外でも役立つ重要なライフスキルの開発です。ルーム・トゥ・リードのライフスキル教育フレームワークは、自己認識、自己効力感、社会認識という3つの重要な領域に分類される10のライフスキルに焦点を当てています。

上記のフレームワークで紹介されている10のライフスキルは、少女達が学校に留まり、責任ある決断を下し、健全な人間関係を築き、目標を達成するのに役立ちます。以下、それぞれのスキルについてご紹介します。

自己認識
「私は価値がある」

1. 自信:自信を持つということは、自分には価値があることを理解し、大きな成功を収める価値があると信じることを意味します。少女が自信を持てば、学校や人間関係について健全な判断を下すことができます。トピックスとしては、自己認識とアイデンティティの構築、強み、価値観、信念を見極め評価することの学習、リーダーシップスキルとロールモデルとなること、いじめに立ち向かうことなどが含まれます。

2. 感情の表現と管理:感情を表現することは、自分の感情を他人と共有できることを意味します。感情を表現すると、自分の感情を識別し、それが自分の考えや行動にどのように影響するかを理解することができます。感情を表現し、管理することができる少女は、挑戦的で困難な経験を健全な方法で処理することができます。トピックスとしては、他人の立場に立って考えること、異なる視点を理解することなどが含まれます。

3. 共感:共感とは、他人が経験する感情を認識する能力です。共感すると、相手が経験していることを想像することができるので、思いやりのある聞き手になることができます。共感力のある少女は、誰かを悲しませたくないので、他人に不親切な行動をとることが少なくなります。トピックスには、家族に共感を示すことなどが含まれます。

自己効力感
「私にはできる」

4. 自制心:自制心を持つということは、学校でも家庭でも、あらゆる場面で自分の感情をコントロールし、適切な行動をとることができることを意味します。健全な方法で自分の行動をコントロールできるようになれば、それは自制心を実践していることになります。トピックスとしては、断るスキルやピアプレッシャーへの対処法などが含まれます。

5. 批判的思考:批判的思考スキルを使うことで、情報を評価したり、問題を多面的に見たりすることができます。批判的に考える少女は、論理的に問題を解決し、学校の新しい科目を理解し、自分の人生について健全な決定を下すことができます。また、友達や先生、家族の意見や気持ちをよりよく理解できるようになります。トピックには、お金の貯め方、ニーズとウォンツの見極め、高等教育の資金調達などが含まれます。

6. 意思決定:優れた意思決定スキルを身につけるということは、意思決定の際に起こりうるすべての結果について慎重に考えることを意味します。少女が優れた意思決定スキルを持っていれば、学校、友達、仕事について、成功をもたらすような賢い決断をすることができます。

7. 忍耐力:忍耐力があるということは、何かをしようとする時に、それが困難であったり、すぐには成功しなかったりしても、やり続けるということです。忍耐力のある少女は、目標を達成したり、新しいことを学んだり、学校や人生での困難な時期を乗り越えようとします。トピックスとしては、問題解決と目標設定、障害の克服、セルフケアとストレスの管理などが含まれます。

社会認識
「私たちはできる」

8. コミュニケーション:良いコミュニケーションとは、他人と効果的に話したり聞いたりすることを意味します。個人間の効果的なコミュニケーションは人間関係を改善します。上手にコミュニケーションをとったり、話を聞いたりすることは、少女が前向きに問題を解決したり、友人関係を改善したり、学校や仕事で成功するのに役立ちます。トピックスには、チームビルディングと他者との協力が含まれます。

9. 創造的な問題解決:創造的な問題解決とは、問題がある時に、解決策を見つけることを意味します。少女は、学校で、友達と、そして家庭で問題を経験する時に、創造的な問題解決のスキルを使うことができます。トピックスには、気候とジェンダーの正義が含まれます。

10. 人間関係の構築:人間関係の構築スキルがあれば、既存の人間関係を維持し、前向きで健康的な新しい友情を築くことができます。少女が健全な人間関係の構築を学ぶことは、自分や新しい友達を大切にし、尊重する方法を学び、コミュニケーションスキルを練習し、共感と自信を築くことになります。トピックスとしては、健全な境界線や信頼関係の構築などが含まれます。

____________________________________

学校を卒業すると、少女達は次のような多くの重要な質問に直面します。

・大学に行くべきか、専門学校に行くべきか?どのようにして教育を受ける余裕があるのか?
・どんな職業に就くべきか?ビジネスを始めるべきか?
・結婚するべきか?いつ、誰と?子どもは何人欲しいか?
・苦しい時期のために、どうやって予算を立ててお金を貯めるか?
・自分のコミュニティで他の人を助けるにはどうしたらいいか?

ライフスキルを身につけることは、少女がこれらの質問やその他の質問に答える準備をし、自分の選択肢やそれぞれの結果を慎重に検討し、自分の目標を達成するための計画を立てるのに役立ちます。

皆さんも、学生時代にこれらのライフスキルを学んでおけばよかったと思いませんか?

10月29日まで、The Byron Girls Fundが皆様からのご寄付に対し て同額をマッチングしてくれることになりました!  1000円ご寄付をいただくと、同額の1000円マッチングしてくださり、2000円となって2倍のインパクトになって届きます。
女子教育プログラムをひとりが受けるための費用は月に換算すると3000円、1年間で36000円です。少女達の未来を守っていただけると嬉しいです。

ご寄付はこちらから▶  少女が中退しないよう支援する(寄付が2倍に!)

(翻訳ボランティア:ゆうた)

新学期(日本では二学期)が近づく中、米国の「本の砂漠」や子ども向け書籍の多様性の欠如を示す調査の結果を受け、十分な環境がないコミュニティにおける教育に関する不平等への対応が求められる

サンフランシスコ ー2021年8月25日発表のプレスリリースより
(原文はこちら

子どもの識字率向上と女子教育に取り組むグローバルな教育団体であるルーム・トゥ・リードは、調査結果と実行可能性調査の結果を発表しました。これによると、米国では、満足のいく環境に置かれていない子ども達が、子ども用の本、特に子ども達の多様なアイデンティティや経験に沿った本を手に入れることができないような場合、教育の不平等が継続することが明らかになりました。独立機関の研究者によって行われたこの調査は、「ミッシングアウト:米国の子ども達の教育格差は、本の砂漠や児童文学における多様な表現の欠如によって深まっている(MISSING OUT: Education Inequality for U.S. Children Deepened by Book Deserts and Lack of Diverse Representation in Children’s Literature)」と題され、2014年からルーム・トゥ・リードのプログラムに投資している世界的なスキンケアブランドのタッチャ社が調査に資金を提供しました。 

この調査研究では、子どもの識字教育開発と書籍出版に関してルーム・トゥ・リードが持つ独自の専門性を通じて、多様かつリソースを十分に持たないコミュニティのために、教育の平等を実現するための投資が最大の効果を発揮する地理的エリアを明確にしています。

調査結果から、米国は世界で最も裕福な国のひとつであるにもかかわらず、学習機会が平等に与えられていないことが明らかになりました。米国では全体的に人種差別が根強く、その結果、人種に基づいて学校が分かれています。学校の資金は主に地域の固定資産税で賄われているため、生徒一人当たりの支出額は、地理的条件や地域の富や所得のレベルに応じて大きく異なり、制度上の不公平を助長しています。データによると、米国の教育システムで十分なサービスを受けられない人々がいることが確認されており、その中には、黒人、ラテン系、ネイティブアメリカン、白人のコミュニティの子ども達が含まれ、高いレベルの貧困や田舎の環境が学習の大きな障害となっています。里親に引き取られた子どもたちや、移民・難民の子ども達も、教育を受ける機会が少なくなっています。

今回の調査では、最貧地域の子ども達が、読み書きの能力を高め、読書の習慣を身につけ、生涯学習のために必要な本を十分に入手できていないことが明らかになりました。家庭内の本の数は、子どもの読解力の高さに大きく関係していますが、全米の少なくとも半数の家庭には100冊の本が置かれておらず、これらの家庭は「本の砂漠」と言うことができます。「本の砂漠」とは、ユナイト・フォー・リテラシー(Unite for Literacy)という団体が提唱した造語で、子ども達が家庭や地域で読み物を手に入れることが困難な地域を指します。「本の砂漠」は、全米の貧困地域や黒人・ラテン系の家庭で高い割合で見られます。実際、低所得者層の61%の家には子ども用の本がまったくありません。ルーム・トゥ・リードは、収益に関係なく、地元の作家、イラストレーター、出版社、印刷会社と協力して、地域のニーズに合った高品質の本を素早く用意・調達するという専門性を持っているため、低所得者層のコミュニティにおいて、多様で高品質な子ども用の本の不足に取り組むのに最適な組織となっています。

ルーム・トゥ・リードCEOであるギータ・ムラリ博士は、「すべての子どもには、学習と人生の前向きな成果への入り口として、本の恩恵を受ける機会が与えられるべきです」と述べています。「ルーム・トゥ・リードは、3,200冊以上の高品質な児童書を43の言語で提供しており、教育者や家族が教室や家庭でこれらの本を活用できるようにサポートするガイダンスも提供しています。これは子どもたちの読書の習慣を育み、未来のリーダーを育てるための私たちのアプローチの礎となるものです。」

また、調査によると、米国では子どもの本における人種の多様性が著しく欠如しています。黒人、先住民、有色人種(BIPOC/ Black, Indigenous, and People of Color)を題材にした本や、黒人、先住民、有色人種によって作成される本は、子ども用の本全体の中で圧倒的に少数派であり、白人のキャラクターや動物、物を題材にした子どもの本は83.4%、BIPOC以外の人々が出版した子ども用の本は88%にのぼることがわかりました。

ルーム・トゥ・リードの識字教育プログラム(グローバル)シニアディレクターのクリスタベル・ピントは、「子ども達が自分達の生活が本の内容に反映されていることを見ることは、自分達の経験を確証することであり、また、自分とは異なる人々について書かれている本を読むことは、固定観念に立ち向かうことにつながります」と述べています。「ルーム・トゥ・リードの、書籍出版における広範でグローバルな実績により、何百万人もの子ども達が、本の題材として少ししか登場したり描かれたりしてこなかった多様なキャラクターの物語を読むことができるようになりました」。

今回の調査結果に基づき、ルーム・トゥ・リードは、米国内で最も教育的ニーズの高い地域や人々を対象に、児童書出版における表現の多様性や上がっている意見に重点を置いて活動していきます。ルーム・トゥ・リードは、ルーム・トゥ・リードの専門性が、地域の組織を支援し、システムを強化し、大きなインパクトを与えることができる場所に注力していきます。 

 

ルーム・トゥ・リードとは

ルーム・トゥ・リードは、「子どもの教育が世界を変える」との信念に基づき2000年に設立され、非識字やジェンダー不平等のない世界を目指しています。ルーム・トゥ・リードは、低所得コミュニティの子ども達が識字能力と読書習慣を身につけられるよう、また、少女達が人生の重要な決断を下すためのライフスキルを身につけ、中等教育を修了できるように支援することで、この目標を達成してきています。ルーム・トゥ・リードは、政府やパートナー組織と協力して、大きな規模で子ども達にプラスの成果をもたらしています。ルーム・トゥ・リードはこれまで、20カ国、40,700以上のコミュニティで2,300万人以上の子ども達のために活動をしており、2025年までに4,000万人の子ども達に手を差し伸べることを目指しています。詳細は https://japan.roomtoread.org/ をご覧ください。

(翻訳ボランティア:藤山普美江)

 

 

 

ルーム・トゥ・リード、米国における子ども達の本の不足と多様性の欠如を調査

(原文はこちら

米国は世界で最も裕福な国のひとつですが、学習の機会は平等に与えられていません。実際に米国では、4人に1人の子どもが読み方を学ぶことなく育っています。

ルーム・トゥ・リードは、独自の識字教育のノウハウを米国のどこで、どのように活用すれば、子ども達が生涯にわたって成功するために必要な基礎的な識字能力を身につけることができるのかを理解するために、企業パートナーであるタッチャ社の支援のもと、研究と実現可能性を探る調査を実施しました。「ミッシングアウト:米国の子ども達の教育格差は、本の砂漠や児童文学における多様な表現の欠如によって深まっている(MISSING OUT: Education Inequality for U.S. Children Deepened by Book Deserts and Lack of Diverse Representation in Children’s Literature)」と題されたこの調査では、十分な教育を受けていないコミュニティの子ども達に、本、特に多様な声や経験が反映された本へのアクセスが制限されている環境では、学習の不公平が深まることが明らかにしました。

発見1:社会経済的不平等と「本の砂漠」が、米国における教育成績の低下につながっている

家庭に本があることは、子どもの早期教育の成功に影響する最も重要な要因の一つですが、最も貧しい地域の子ども達は本を手に入れることができず、熟達した読み書き能力を身につけることができません。これは深刻な問題で、低所得者層の60%以上の家庭では、子ども用の本がまったくないのです。ユナイト・フォー・リテラシー団体は、家庭に本がないことを 「本の砂漠(book deserts)」と呼んでいます。本の砂漠は全米に均等に広がっているわけではありませんが、貧しい郡部や黒人・ラテン系の家庭では多く見られます。全米では、公立学校の生徒のうち、小学校4年生程度の読解力に習熟しているか、それ以上のレベルに達しているのは35%に過ぎず、黒人、ラテン系、ネイティブアメリカンの読解力や高度な識字能力は、他の人種グループに比べて著しく低いレベルにあります。

 

発見2:読書率の低い地域の多様な人々のアイデンティティや経験が児童書に反映されていない

調査を通し、米国では児童書における多様性不足が深刻な問題であることが明らかになりました。児童書の83%以上は、白人のキャラクターや動物、物について書かれています。2018年から2019年の間に、子ども向けの本の44%が白人のキャラクターだけについて書かれており、80.4%の本が白人の著者および/またはイラストレーターによるものでした。コーポレティブ チルドレンズ ブックセンター(Cooperative Children’s Book Center)によると、文学における人種的多様性を高める進歩は遅く、2019年から2020年にかけて有色人種の著者が書いた児童書はわずか3%しか増加せず、合計で26.8%に留まりました。

 

発見3:米国の教育制度では十分なサービスを受けられないある一定の地域や人口層がある

この調査では、ルーム・トゥ・リードが、学習に大きな障害となっている貧困や農村部での生活を営む黒人、ラテンアメリカ人、先住民、白人が暮す地域にて、子供の識字能力に焦点を当てる必要があることが明らかになりました。また、児童養護施設にいる子どもたちや、移民・難民の子どもたちも、学習における危機に直面しています。米国の教育システムにおける不公平の要因としては、学校の分離をもたらした体系的な人種差別や、地理的な位置や地域の所得・富のレベルに応じた学校の資金・資源配分の格差などが挙げられます。

行動を起こそう

調査結果に基づき、ルーム・トゥ・リードは、多様な子どもの本を扱う非商業的なグローバル出版社としての専門性を活かし、米国の子ども達に存在する教育上の不公平に取り組んでいきたいと考えています。

ルーム・トゥ・リードは、社会的に受け入れられていないコミュニティの人々の物語や、そのコミュニティのメンバーによって書かれた本を出版してきた世界的な経験を生かし、今回の調査で特定された十分な教育を受けていない人々へのアプローチに重点を置くことを計画しています。以下の方法で、高品質な読み物へのアクセスを大規模に増やします。

  • 疎外されたコミュニティの子ども達の生活に関連するキャラクター、テーマ、ストーリーに関し、彼らのアイデンティティや文化を忠実に反映した専門書を米国で出版・配布 
  • 1,800冊以上のオリジナル絵本と1,400冊以上の翻案本を43言語で収録したグローバルコレクションを活用
  • 恵まれない地域の学校以外の場所で、家族との関わりや読み書き能力の向上を目指す地域団体との連携

米国の子ども達が本を手にし、自分のアイデンティティや経験、人生が物語の中で表現されているのを見て、励まされるよう、その一端を担えることを光栄に思っています。

米国における識字率向上の取り組みについてはこちら(英語)をご覧ください。

(翻訳ボランティア:相澤叶梨)

ルーム・トゥ・リードの少数民族(マイノリティ)言語での本の出版について

(原文はこちら

ルーム・トゥ・リードのQuality Reading Materials(以下:QRM、高品質の読書教材を担当する)チームは、翻訳者の協力を得ながら、平和と平等をテーマにしたブックコレクション(英語)を、モンタニャード・ジャライ族の固有言語であり、ベトナムとカンボジアの少数民族の言語であるジャライ語に翻訳する作業を行ってきました。本コレクションのために「ヤーの裏庭のジャングル(原題:Ya’s Backyard Jungle)」(英語)を執筆した作家のハビガイ・ムロは、モンタニャード族の若い読者がこの本を楽しめるように、ベトナム語に加えてジャライ語にも翻訳したいと考えていました。 

ベトナムの中央高地出身のハビガイ・ムロの両親と母方の祖父母は、1980年代にタイとフィリピンの難民キャンプからノースカロライナに移住してきました。現在、ハビガイ・ムロは、東南アジア以外ではモンタニャード族の人口が最も多いノースカロライナ州グリーンズボロに居住しており、現在は、モンタニャード族の人々の物語を伝える作家として活躍しています。

QRMチームは、「ヤーの裏庭のジャングル」を翻訳した後、世界中のモンタニャードのコミュニティがすべての物語を楽しめるように、平和と平等をテーマにしたブックコレクション(英語)の全巻をジャライ語に翻訳することを決定しました。ジャライ語書籍の全コレクションは、9月にオンライン教育プラットフォームLiteracy Cloud(英語および支援地域での言語のみ)で公開される予定です。 

少数民族の言語で絵本を出版することは、先住民の言語や伝統を次世代に伝えるための重要な役割を担っています。ルーム・トゥ・リードは、地元の作家、イラストレーター、出版社、印刷会社と協力して、コミュニティのニーズに合った品質の高い本を、収益性に関係なく、迅速に展開するための専門性を持っているため、少数民族の言語コミュニティでは、多様性の欠如や高品質な子ども向けの絵本にアクセスできないという問題に取り組むのに最適な組織です。

今回は、少数民族の言語コミュニティで活動してきたルーム・トゥ・リードの識字教育プログラムの職員から、少数民族言語での書籍出版の重要性についてお話させて頂きます。

少数民族の言語で本を出版することは、なぜ重要なのでしょうか?

パトリック・カリー(識字教育プログラム アソシエイト・ディレクター)

多くの少数民族の言語コミュニティでは、子どもが親しみやすい母語での絵本へのアクセスが限られています。そのため、このような地域の子ども達には、理解できて楽しめる本や読み物に触れる機会がほとんどないのが現状です。読書の機会がなければ、子どもたちが基本的な読解力を身につけることはもちろん、読書が好きになったり、読書習慣を育むことは非常に難しいでしょう。さらに問題なのは、子ども達が本を読みたくても、馴染みのない言語で書かれ、自分達の生活を反映していないイラスト、登場人物、設定、出来事などが書かれた本しか手に入らない場合、子ども達にとって初めての読書体験が、読む気をなくすような、退屈なものになってしまうことです。馴染みのない言語で書かれた、馴染みのない登場人物や出来事の本を使って読み方を学ぼうとすることが、どれほど苛立たしいことか想像してみてください。 

ルーム・トゥ・リードは、少数民族の言語で書かれた児童書を出版することで、サプライチェーンの大きなギャップを埋め、少数民族のコミュニティに住む子ども達が、理解できて共感できる楽しい絵本にアクセスする機会を大幅に増やしていきます。最終的には、このようなアクセスの増加は、子ども達が本を読むことを好きになり、その習慣を身につける機会を増やすことにつながります。  

もちろん、ルーム・トゥ・リードは、少数民族の言語で書かれた質の高い読み物の供給を増やすことは、方程式の一面に過ぎないと考えています。ルーム・トゥ・リードは、地域社会が強固な読書文化を構築し、子ども達が親しみやすい絵本への関心を高められるよう、学校や地域社会と密接に連携し、読書祭り、国際識字デーの開催、図書室及び読書指導のトレーニング、保護者・教師の会など、読書の推進や祝福を目的とした様々なイベントや活動を実施しています。

ニヴリタ・ダーグヴァンシ(南アジア 識字教育プログラムマネジャー)

コミュニティが多言語で構成されているインドでは、多くの子ども達が、授業で使われる言語をあまり理解しないまま小学校に入学します。家庭で話されている言語は、教室やカリキュラムの中では使われていないため、子ども達は教師の話を理解するのが難しい状況にあります。このような経験全体が、識字能力を身につけるための障壁となり、しばしば子ども達が学校を中退する理由となってしまうのです。2019年のユネスコの報告書(英語)によると、「地域における主要言語を話さない生徒は、学校を中退したり、全く学習しないまま退学したりするリスクが高い」としています。 

そこでルーム・トゥ・リードは、ラージャスターン州のシロヒ地区の100校で、少数民族の子ども達のためのプログラムを開始しました。これらの学校では、学校言語はヒンディー語で、生徒はアディバシ語、ガラシヤ語、マルワディ語を話します。このプログラムは、教師と生徒が一緒になって、子ども達の母語から学校で使用する言語へとスムーズに移行できるよう、協力的でインタラクティブな空間を作ることを目的としています。

このプログラムの重要な戦略の一つは、子ども達の言語で書かれた内容が明確な物語の本を提供し、言語ギャップを埋めるためのリソースとしてこれらの本を使用できるよう教師を訓練することです。最初の段階では、教師は現地語の本を使って生徒の母語で読み聞かせを行い、生徒が母語で考えやアイデアを表現するように促します。同じ本を使いながら、教師は徐々に生徒が使用する言語と学校で使用する言語の2つの言語を使うようになり、子ども達が学校で使用する言語で物語を理解できるようになります。最終的に、教師は生徒が学校で使用する言語を学ぶのを助けるために、学校言語の使用を徐々に増やしていきます。教室に少数民族の言語で書かれた本があることは、子ども達の学習をサポートするだけでなく、学習空間において長い間無視されてきた、子ども達の言語的・社会的アイデンティティを認めることになります。

「1年生の子ども達のほとんどはヒンディー語を理解しておらず、無反応なことが多いです。アディバシ・ガラシヤ語で物語を読み、子ども達に母語で話してもらうと、すぐに生徒達の表情が変わったのが分かりました」
ーインド・ラジャスタン州シロヒ地区でのフォローアップ研修での教師より


タイタス・カズング(アフリカ 識字教育プログラム アソシエイトディレクター)

少数民族の言語コミュニティは、全般として無数の課題にさらされてきました。歴史的な不公平、人権侵害、資源不足などです。一般的に、教育の機会は少なく、絵本などの教育・学習教材は、少数民族の言語話者にとっては馴染みのない言語で書かれていることが多いのです。

ルーム・トゥ・リードは、少数民族の言語コミュニティのために本を開発することで、人権問題に取り組んでいます。生徒の母語で本を提供することで、多様性と包括性、そして社会正義の問題に取り組んでいます。子ども達は、本の中で自分自身や自分の物語を見ることで、自身のアイデンティティを肯定されたように感じ、前向きな自己イメージや展望を持つことができるからです。本により、少数民族の言語を話す人達の言語、文化、生活が尊重され、大切にされていることを生徒達に伝えることができます。

多くの先住民族の言語が存亡の危機に瀕している今、少数民族の言語で子ども向けの本を書くことは非常に重要です。これらの言語で子ども向けの絵本を作ることで、若者は母語の読み書きや会話を学ぶことができ、その結果、言語や文化、伝統的な先住民族の知識を守ることができるのです。したがって、少数民族の言語で書かれた本は、フィクションの物語だけではなく、関連する事実に基づくノンフィクションのテキストの出版を通じて、文化的知識を慎重に記録することが必要です。

(翻訳ボランティア:藤山普美江)