優れたメンターとなるための5つの方法

今回は、ルーム・トゥ・リードの女子教育プログラムの要でもあり、男女平等の世界を追求するために、メンターが果たす重要な役割をお伝えしたいと思います。

ルーム・トゥ・リードが若い女性の支援に力を入れているのは周知の通りです。私たちの女子教育プログラムは、少女達が自己主張するための手段を身につけ、自分で選んだ人生の道を成功させることを支援します。このプログラムを実現するために欠かせないのが、ソーシャルモビライザーです。メンターとして雇われた地元の女性たちは、少女達やその家族と協力し、少女達が学校に通い、ライフスキル活動に参加し、個人的にも職業的にも自分の人生を選択する能力をもって思春期の難局を乗り切れるようにサポートする訓練を受けています。

2001年のプログラム設立以来、私たちのスタッフは、優れたメンターとなるための豊富な知識を培ってきました。ここでは、その一部をご紹介します。


1. 信頼関係を築く
メンターとメンティーの関係を成功させるための重要な要素は、信頼関係です。メンターは、少女にとって人生で唯一、心を開いて正直になれる相手かもしれません。ですから、メンターとメンティーの間に深い信頼感を築くことが必要不可欠です。これは、メンタリング関係のすべての側面の基礎となる枠組みです。

「効果的なメンタリングは、信頼関係が構築されたときにのみ可能です ー 少女には、あなたが本当に自分のことを気にかけていて、自分のことを一番に考えてくれていると感じてもらわないといけません。この信頼関係があってこそ、少女たちは心を開き、自分の弱さを分かち合い、成長するために必要な指導を求めるようになります」と、ルーム・トゥ・リードの女子教育プログラムの元アソシエイト・ディレクター、リンダ・トランは述べています。

2. 友達になる
重視するのは楽しさ。何よりもまず、メンタリング関係は楽しいものでなければなりません!メンターの主な役割は、賢明で思いやりのある友人として、また少女のサポーターとして行動することです。この関係は、教師と生徒、あるいはコーチと生徒の関係ほど堅苦しいものではありません。

ロールモデルになる。メンターとは、人生においてポジティブな選択をしてきたという点で、少女たちが尊敬できる人のことです。メンターは、自身で前向きな決断を下し、健全で協力的な関係を築くための手本となることができます。

共感を示す。メンティーの考えや気持ちに純粋な興味と関心を示すことで、彼女たちは安心して自分の人生について正直に話すことができます。研究によると、それまで人生で大人との良い関係に恵まれてこなかった少女は、大人との信頼関係を築けるメンタリング関係により、大きな恩恵を受けることができます。メンターは、少女たちが理解し、感情を調整し表現する練習をするのを助けることができ、彼女たちの自己価値を高めることにつながります。

3. 効果的なコミュニケーション
アクティブリスニング。積極的に話を聞くことで、聞き手が本当に相手の話の内容を気にかけていることを示します。これは、メンターとメンティの間に信頼関係を築き、より深く、より誠実な関係を築くのに役立ちます。

オウム返し。メンティが言ったことを繰り返して、メンティの状況、考え、感情を要約する。オウム返しは、両者が互いに理解し合う機会を与えてくれます。

オープン・クエスチョン。オープン・クエスチョンを投げかけることで、トピックを明確にし、より深く掘り下げることができます。誰が、何を、どこで、どのように、なぜで始まる質問は、「はい」「いいえ」だけで答えられる質問よりも、より多くの反応を呼び起こします。

4. 頼れる存在であること
メンティーには一貫性が必要です。顔を見て話をすることは、信頼性を示すだけでなく、信頼を築くことにもなります。定期的にミーティングを開き、毎回、時間を守りましょう。ミーティングに遅れそうな場合は、事前に連絡しましょう。ミーティングに一貫性がない場合、メンティーはメンターと強い絆を築くことができません。

長期的に関わること。最も効果的なメンター関係は、少なくとも半年から1年続いているという研究結果が出ています。

準備をして臨む。ミーティングの前に、レッスンやディスカッションの計画を見直します。整理された資料を持って来ることで、メンティは彼女たちの時間と投資が尊重されていることを知り、メンターセッションを大切にするようになります。

5. 少女達をサポートする
気持ち、目標、夢を肯定する。メンターは、少女が目標を設定し、それを達成するためのロードマップを作成することを励ます重要な役割を果たします。彼女たちは、そのことを他の人と共有することに抵抗があるかもしれません。目標設定を奨励することは、前向きな自尊心を育み、精神的な健康を増進させることにもつながります。

自立した意思決定を支援する。自立した選択をする能力は、少女のエンパワーメントにおいて重要なもののひとつです。メンターは、少女が「間違った」決断をしたと思われることがあっても、それを判断したり批判したりしてはいけません。その代わりに、その決断や行動に至った過程を話し合い、メンティーが今後どのようなことを考慮すべきかを話し合います。自分で決断できるようにすることで、彼女たちは尊敬されていると感じ、自分の人生の主導権を握ることに自信を持つことができます。

「良いメンターはメンティの問題を解決するのではなく、メンティが問題を解決できるように、手助けするべきだ」と、ルーム・トゥ・リードの南アジアにおける女子教育プログラムの地域マネージャーであるリーマ・シュレスタは、と述べています。

仲間との前向きな関係を奨励する。社会的なネットワークは思春期の生活において重要な要素であり、少女達が家庭で十分なサポートや励ましを受けていない場合に特に重要です。研究によると、相互の信頼と尊敬が模範となるような前向きなメンタリング関係に参加することで、思春期の若者たちが他者との関係を築く能力が向上するとされています。このような関係によって、少女達は社会的に支えられていると感じられるようになり、学校に通い続ける可能性が高まります。

原文URL:https://www.roomtoread.org/the-latest/five-ways-to-be-a-great-mentor/

翻訳:西野 由弥子