【南アジアのデジタルデバイドを解消する4つの方法】

Room to Read EDUCATION ENDURES

[English]

コロナウィルス感染症(COVID-19)危機の中、ルーム・トゥ・リードが南アジアのデジタルデバイドを解消する4つの方法
2020年6月8日 Meenal Sarda

(原文はこちらです:https://www.roomtoread.org/the-latest/4-ways-room-to-read-is-bridging-the-digital-divide-in-south-asia-during-the-covid-19-crisis/

COVID-19のパンデミックが世界にもたらした影響はすでに数え切れないほどあります。最も大きな影響は、オンライン遠隔学習への大転換でしょう。グローバルなコミュニティとして、オンライン教育によって学習の損失を補うように努力しなければなりません。しかし、多くの低所得層のコミュニティに存在するデジタルデバイド(情報格差)を考えると、このパンデミックにより、リソース不足のコミュニティはさらに取り残されていきます。

南アジアでは、大多数の人達が、大人も子どももインターネットにアクセスできません。インド人の24%がスマートフォンを所有していますが [1]、デスクトップコンピュータ、ラップトップ、ノートパソコン、ネットブック、パームトップ、タブレットなど、あらゆるタイプのコンピュータにアクセスできる世帯は11%にすぎません[2]。これらの不均衡に加えて、デジタルデバイドには、階級、性別、地域による格差がさらに大きくなっています。

ルーム・トゥ・リードは、ネパール、インド、スリランカ、バングラデシュに加え、世界各国の低所得層のコミュニティで識字教育プログラムを継続的に実施しています。ここでは、ルーム・トゥ・リードのチームが実施した遠隔学習の取り組みの一部をご紹介します。

1. 録音済みのメッセージ

インドでは、ウッタラーカンド州とチャティスガル州のチームが、録音済みの対話型音声自動応答システム(IVRS)メッセージを試験的に導入しています。携帯電話をお持ちの方は、フリーダイヤルを使って、ボタンをクリックするだけで音声メッセージを聞くことができます。この録音済みのメッセージは、親向けに家庭で読み書きを勉強をするためのヒントを提供するだけでなく、読み書きを学ぶラジオ番組が放送されていることを通知し、子どもと一緒に視聴することができます。物語を聞いたり、ゲームをしたりするなど、メッセージのオプションを追加する可能性を探るためのパイロットテストも進行中です。

2. ラジオ放送

最近、ルーム・トゥ・リードはスリランカの民間ラジオ局と提携しました。このラジオ局では、親や世話人向けに、子ども達と一緒に読書活動を行うことの重要性について語る短いラジオクリップを放送しています。これらのクリップは、子どもと保護者に人気が高い番組内で毎日放送されており、スリランカの公用語であるシンハラ語とタミル語の両方で視聴することができます。
Room to Read EDUCATION ENDURES
最初のクリップでは読書活動の重要性にフォーカスして、次のクリップでは家庭での読書活動の方法を説明しています。ラジオ局のカバー範囲を考えて、ルーム・トゥ・リードは、学校が閉鎖されている間、親や世話人が家庭で読書習慣と本好きを強化するために必要なツールを確実に利用できるようにします。

インドのウッタカランド州では、コミュニティラジオが非常に人気があります。そのため、私たちの識字教育プログラムチームは、読書と読み書きに関する音声メッセージを放送するラジオの枠を確保しています。政府との強いパイプにより、この取り組みは政府公認であり、地元メディアにも取り上げられています。

ネパールなど、他のプログラム国でも同様の取り組みを実施しています。ネパールの農村部ではインターネットへのアクセスがないため、ルーム・トゥ・リードは、ラジオ向けのプログラムを開発しており、本の読み聞かせや読み方の指導を行う予定です。

3. テレビ放送

バングラデシュでは、50%近くの子ども達がテレビを視聴しています[3]。ルーム・トゥ・リードは、2018年から、バングラデシュの人気子ども向けテレビチャンネル「Duronto TV」と提携しています。このチャンネルでは、ルーム・トゥ・リードが出版する児童書の読み聞かせを「Colourful Stories(カラフルな物語)」という番組で放送していて、プライムタイムにも放送されるほど人気があります。児童書は、バングラデシュや他の国の物語が取り上げられています。読み聞かせは、COVID-19パンデミックの間、多くの子ども達が学校には通えないものの、家でテレビは見ることができるため、とても役立っています。読書は読み書きを身につけるための重要な取り組みのひとつであり、読み聞かせによって、生徒達は自宅で読む力を強化し続けることができます。
Room to Read EDUCATION ENDURES
南アジア全域にテレビが普及していることを踏まえ、ルーム・トゥ・リードはインドとスリランカで、農村部をカバーしているテレビ局との連携に取り組んでいます。コンテンツには、読み聞かせのビデオや、親が自宅にいながら子どもの読み書きをサポートするためのヒントなどが含まれています。

4. ワークシートと識字パッケージ

子どもがいつ学校に戻るかを判断することは難しいですが、段階的に行われる可能性が高そうです。立ち入りの制限、時間の短縮、さらにはロックダウン緩和の最初の段階として、無料の食事プログラムの導入などが考えられます。これらのシナリオを想定して、ルーム・トゥ・リードはワークシートと識字パッケージを開発しており、子ども達が学校に戻ったらすぐに配布される予定です。これらのワークシートは、保護者の負担を最小限に抑えながら、子ども達が主要な読み書きの概念を復習するのに役立ちます。また、子ども達が学校に戻る準備をするための読み書き活動が含まれており、ルーム・トゥ・リードが活動を行っている南アジアのプログラム支援校で提供される予定です。

これらのワークシートは、ルーム・トゥ・リードの児童書のデジタルプラットフォーム「リテラシークラウド」や、読み聞かせビデオ、教育者向けの専門的な開発リソースなどのデジタルイニシアティブに加えて開発されました。また、政府との協働を重視しているため、政府のウェブサイトやデジタルポータルにもリソースを提供するなど提携を行っています。

ルーム・トゥ・リードの識字教育プログラムは、こうした教育的介入を最も必要としている低所得層のコミュニティにいる子ども達にフォーカスしています。これらの戦略は、子ども達がデジタルリソースにアクセスできるかどうかを考慮して開発されたものです。公立学校は、最も疎外されたコミュニティに対応しており、これらの子ども達をサポートすることがルーム・トゥ・リードのミッションです。この危機の中、社会的弱者である子ども達が取り残されないように、これまで以上に懸命に取り組んでいます。

[1] https://www.thehindu.com/news/national/24-pc-of-indians-have-a-smartphone/article26212864.ece
[2]http://mospi.nic.in/sites/default/files/publication_reports/KI_Education_75th_Final.pdf
[3] 出典。複数指標クラスター調査より

◆この困難な時期にも子ども達が継続して教育を受けられるよう、ご支援をお願いいたします。
https://give.roomtoread.org/give/280427/#!/donation/checkout

Room to Read COVID-19

【すべての声を聞くための道を作る】

Room to Read

[English]

すべての声を聞くための道を作る
識字教育プログラム シニアディレクター クリスタベル・ピント
2020年6月12日

(原文はこちらです:https://www.roomtoread.org/the-latest/making-way-for-all-voices-to-be-heard/

カリフォルニア州オークランドにある私のアパートから毎日聞こえてくるヘリコプター、サイレン、ドラム、何かの大きな音は、人々が声を上げていることを示しています。

長い間、アメリカで生きることについての物語は特権階級によって語られてきました。そのため、何百万人もの人々は、一般的なアメリカの物語に彼らの生きてきた経験が全く反映されていないため、声が届いていないと感じています。世界中の抑圧され、疎外されたコミュニティが、自分達の声を届けるための運動に参加しており、こうした声の反響は世界的に広がっています。

ナイジェリアの作家Chimamanda Ngozi Adichieは、TED Talkで、シングルストーリーの危険性について次のように述べています。

「シングルストーリーは固定観念を生み出します。ステレオタイプの問題は、忠実でないということではなく、不完全だということです。ある話を唯一の話に変えてしまうのです」。地域社会の様々な物語に触れることで、彼らの人生が鏡のように映し出されている人々の姿を見ることができます。そして、共通の人間性を見出し、すべての人が成長できる公平な社会を築くことができます。

The danger of a single story

ルーム・トゥ・リードの識字教育プログラムは、世界的な非識字の終焉を追求することで、恵まれない人々の声を聞くための道筋を作ります。読み書きができるようになることで、自己表現が容易になり、アドボカシー活動のための知識習得が可能になります。

さらに、ルーム・トゥ・リードは世界中の作家やイラストレーターの研修をして、児童書を出版しています。世界中の本の制作者が自分達の物語に力を持たせ、地域社会の子ども達の生きた経験を反映した物語に発展できるようにしています。

文学は人々が物語を語る方法の一つであり、世界42カ国語1600冊のルーム・トゥ・リードの児童書コレクションには、物語の語り手と同じくらい多様な物語が含まれています。
幼い子ども達が多様な本を読むことで、シングルストーリーは打ち砕かれ、子ども達は世界が多様化する社会の中で、相互理解を育む広い視野を学んでいきます。

Room to Read

Nila Tanzil 著、Nabila Adani挿絵によるインドネシアの絵本『エピの新しい友達』の中では、インドネシアの女の子がアフガニスタンからの難民である新しい隣人と一緒に遊びたいと思っています。話す言葉は違っても、遊びという普遍的なコミュニケーションによって、すぐにつながることでできるのです。やがてこの二家族は、インドネシアとアフガニスタンの伝統食を食べるという新しい経験をしながら、断食をするという共通習慣を共有します。

このような物語は、家族の大切さや食事の儀式などに共通点があることは、出身地や話す言語など、私たちを区別するものよりも強力なものになり得ることを教えてくれます。

Room to Read

Tamara Zeidat著、Salah Rahal挿絵によるヨルダンの絵本『メカジキ』では、メカジキの尖ったツノのせいで、クジラやサメと遊んでいる時に、知らず知らずのうちに多くのトラブルを引き起こしてしまいます。ボールを破裂させたり、誤ってクジラを刺してしまったり、遊園地で知らず知らずのうちに騒動を起こしてしまったり。みんなは、もうメカジキとは遊びたくないと思ってしまいます。

ある日、穴にはまったクジラに出くわしたメカジキは、鋭いツノを使って穴を大きくして、クジラを助けてあげました。クジラと他の仲間達はとても感謝して、メカジキをパーティに招待します。メカジキはツノで他の人を傷つけることを心配して、参加をためらっていましたが、仲間達はある教訓を得て、メカジキを安心させてくれたのです。海の仲間達は、誰しも欠点があり、メカジキのツノのように一見不完全に見えるものが、ほかの人に役立つことを理解したのです。

絵本のようなシンプルな話を読むことで、人間とは何か、共感や寛容さ、正義感を持って人と接することは何か、を学ぶことができます。世界中で、人々が人種差別に反対する声を上げている今、これらの教訓は切実に必要とされています。

ルーム・トゥ・リードの識字教育プログラムは、多様な声を取り入れ、人間の経験をより包括的に見ることができるように、相互理解を促進し、最終的にはより平等な世界を創造する役割を果たすことを目指しています。

「ブラック・ライヴズ・マター(黒人の命は大切)」に関するルーム・トゥ・リードからの声明  

Statement on Black Lives Matter

[English]

「ブラック・ライヴズ・マター(黒人の命は大切)」に関するルーム・トゥ・リードからの声明  2020年6月8日

(原文はこちらです:https://www.roomtoread.org/the-latest/room-to-read-statement-on-black-lives-matter/

学習する組織のリーダーとして、ルーム・トゥ・リードの理事会、リーダーシップチーム、職員は、米国での最近の出来事や、ジョージ・フロイドの死、そして世界中の都市で無意味に失われた他の無数の黒人の命に対しての反応の波に注意深く耳を傾け、対応してきました。黒人コミュニティを支援するために、人種的正義と社会改革を求める声が集まっています。ルーム・トゥ・リードは、20年にわたり、世界中で権利を奪われ、疎外され、抑圧されている人々のために変化を求めてきた提唱者として、この運動に連帯しています。

「Black Lives Matter(黒人の命は大切)」なことは明確です。すべての人種、宗教、性的指向、文化、年齢および性別の人々は平等であるべきです。

私たちは、すべての人類が贈り物を受けとるシステムを構築し、差別のシステムを解体するために専念する必要があります。ルーム・トゥ・リードは、正義運動の最前線にいる人々の経験に耳を傾け、私たちの組織の価値観や実践が差別とどのように闘っているかを考え、国際開発コミュニティの一員として責任を持って行動していきたいと考えています。

私たちの核心ですが、ルーム・トゥ・リードは、平等、多様性、包括性を支持します。教育の力によって体系的な変化をもたらし、公正で公平な世界を構築することを目指しています。皆さんの多くが、私たちの社会で壊れているものに対処する方法を探していること、そしてもっと重要なことは、私たちの社会で壊れているものを修復するために行動を起こしたいと考えていることを、私たちは知っています。

以下のリソース(英語のみ)は、私たち自身を省みる上でも役立つことと思います。

“Diverse books are bridges to embracing our differences,” op-ed by Christabel Pinto
「多様な本は、私たちの違いを受け入れるための架け橋である」(ルーム・トゥ・リード識字教育プログラムディレクター クリスタベル・ピント)

“Books can rewire our brains, and connect us all,” op-ed by Geetha Murali
「本は脳を再配線し、私たちを繋ぎます」(ルーム・トゥ・リードCEOギータ・ムラリ博士)

Anti-Racist Reading List from Ibram X. Kendi
人種差別反対について学ぶ読書リスト(イブラムX.ケンディ)

These Books Can Help You Explain Racism and Protest to Your Kids, The New York Times
これらの本は子どもたちに人種差別と抗議デモを説明するのに役立ちます(ニューヨークタイムズ)

Anti-racist books for children and teens, The Guardian
子どもと10代の若者のための人種差別反対を学ぶ本(ガーディアン)

連帯をこめて。

ルーム・トゥ・リード共同理事長
メアリー・バイロン

【ネパールではロックダウン期間に児童婚が増加】

[English]

ネパールではロックダウン期間に児童婚が増加
~女子生徒を学校にとどめておくキャンペーンは、今では自宅にとどめるようにする必要があります
出典:https://www.nepalitimes.com/latest/child-marriages-up-during-nepal-lockdown/
2020年5月21日Namrata Sharma

Room to Read COVID-19
ネパールでの児童婚と女性の識字率に関するクラスター調査(2014)
  黒字が児童婚率赤字が女性(15-24歳)の識字率

ネパールでは女子生徒の中退率が高いことから、女子生徒を学校にとどめるためのキャンペーンが行われていましたが、ロックダウンが3ヶ月目に入ったことで、今では女子生徒を家にとどめておくことが当面の課題になっています。

ネパールでは、児童婚や少女の人身売買の報告が増加していることから、女子生徒が学校の中退を防ぐことで女子の識字率を向上させようと取り組んできたが、ロックダウンが続けば頓挫するのではないかと懸念されています。

ネパールの全国的なロックダウンが発令されてから2週間後の4月8日、バルディア村に住む16歳の少女が自宅から姿を消しました。彼女は9年生の試験を終えたばかりでした。
彼女の両親は、娘が、近所に住む母方の叔父のところに滞在していたインド人の同級生と恋愛関係にあり、駆け落ちして国境をこっそり越えたことを知りました。両親は地元の警察に行方不明届を提出しましたが、「友達と一緒にいるのではないか」と届け出を無視されました。

両親はその後、グーラリアの地方警察署とマイティ・ネパール事務所に連絡をしましたが、警察はロックダウン対応で手一杯で、少女がインドから携帯電話で電話をかけてきたにもかかわらず、できることはあまりないと言いました。少女は、自分は大丈夫だと言い、両親に警察の捜査を取り下げてほしいと電話をかけてきました。

「彼女は、中退率が高く、虐待を受けやすい低所得者コミュニティを対象にした女子教育プログラムに参加していた600人のティーンエイジャーの一人でした」と、ルーム・トゥ・リードのサクンタラ・チャウダリ氏は言います。

ルーム・トゥ・リードがサポートをしていたグーラリアに住むもう一人の9年生の少女、隣村の少年と駆け落ちをしました。彼女の両親は、彼らのコミュニティでは駆け落ちは伝統の一部であると考えていたため、届け出を提出しないことにしました。

ロックダウンにより、大家族は経済的に困窮しており、少女を養うことは余分な口であり、彼女の駆け落ちに家族は安堵していました。少女はおそらく、今後、学業を続けることはないでしょう。

「ロックダウン中は食料が不足し、多くの家庭でお金が不足し、娘たちへの優先順位が低くなっています」と、ルーム・トゥ・リードの女子教育プログラムのサリナ・タマンさんは説明します。

バンケ、バルディア、タナフ、ヌワコットの各地区で、女子教育プログラムを通じて支援を行っている4,321人の少女のうち、500人の少女がロックダウン以降、連絡が取れなくなっています。これらは、すでに学校を退学するリスクが高いと判断された家庭で起きています。一方で、良いニュースは、少女たちの大半とは連絡が取れており、ラジオを通して家庭での学習を続けているということです。

ルーム・トゥ・リードは、ロックダウンが始まって以来、バルディア地区とバンケ地区だけで、支援している少女の間で少なくとも7件の児童婚の事例を確認しています。少女の多くは電話の接続が悪い地域にあるか、あるいは、自分の携帯電話を持っていないために、定期的に報告したり、潜在的な虐待の状況について相談できる環境にありませんでした。

バンクのコハルプールに住む16歳の少女は、ルーム・トゥ・リードからの電話に応答しなくなり、彼女がクラスの男の子と一緒に逃げ出したことが判明しました。彼女の母親は娘を取り戻そうとしましたが、ロックダウンのために移動することができませんでした。彼女は娘が自殺するかもしれないという心配があり、警察に事件を報告していません。

マララ基金は、危機が過ぎれば、世界でさらに1,000万人の女子中学生が学校に通えなくなる可能性があると推定しています。ロックダウンは世界中の教育に影響を与えていますが、ネパールのような国では、女性の識字率を向上させ、女子生徒の中退率を減らすために長年取り組んできた活動が水の泡になってしまう恐れがある。

ユネスコは、新型コロナウィルス感染症による学校閉鎖により、現在、世界の子どもたちの90%近くが学校に通っていないと推定しています。子どもたちの数は15億4,000万人にものぼり、うち少女の数は7億4,300万人近くになります。

ネパール西部に戻ると、バンケ地区とバルディア地区の14歳から17歳までの5人の少女が、ロックダウンが始まって以来、同級生や地元の男の子と結婚するために家出をしています。そのほとんどがロックダウン後の2つの地区での事例に過ぎませんが、少女たちがきちんと管理されていたために明るみに出たのです。新型コロナウィルス感染症による学校閉鎖の間に、児童婚と人身売買が増加する恐れがあります。

そのうちの一人であるコハルプールに住む17歳の少女は、母親から関係をもったことを叱責された後に結婚しました。また、バルディアに住むもう一人の16歳の少女は、ロックダウン期間中に自宅の叔母から強くあたられたあと、家出を決意しました。

警察は、ロックダウン中に起きている人身売買、児童婚、家庭内虐待について事件の登録には消極的です。伝統的に、社会における女性と少女の安全を優先しない状況が露呈しており、現在の危機はそれを拡大させています。


◆この困難な時期にも子ども達が継続して教育を受けられるよう、ご支援をお願いいたします。

寄付はこちらから:
https://give.roomtoread.org/Together2020

Room to Read COVID-19

********** ENGLISH **********

Child marriages up during Nepal lockdown
Campaign to keep girls in school may now need to refocus on keeping them at home
source: https://www.nepalitimes.com/latest/child-marriages-up-during-nepal-lockdown/
Namrata Sharma
May 21, 2020

Room to Read COVID-19
Nepal’s high dropout rate for female students had prompted campaigns to keep girls in school. But as the country’s lockdown enters its third month, the challenge now seems to be to keep them at home.

With a rise in reports of child marriages and trafficking of girls, there are fears that Nepal’s efforts to increase female literacy by preventing them from dropping out of school may suffer a setback if the lockdown continues.

A 16-year old of a village in Bardia disappeared from her home on 8 April, two weeks after Nepal’s nationwide lockdown went into effect. She had just completed her Grade 9 exams.

Her parents found out she was having an affair with an Indian classmate who was staying in their neighbourhood with his maternal uncle, had eloped and sneaked over the border. The parents filed a missing person report at the local police, but they ignored the complaint saying she was probably staying with friends.

The parents then contacted the District Police Office and Maiti Nepal office in Gularia, but the police was overstretched enforcing the lockdown, and said there was not much they could do even though the girl called from an Indian mobile. She called to say she was fine and to ask her parents to drop the police investigation.

“She was one of the 600 teenagers who were part of our girl education program for low-income communities with high dropout rates in school and vulnerable to abuse,” says Sakuntala Chaudhari of the literacy advocacy group, Room to Read.

Another Grade 9 student from Gularia that Room To Read was monitoring eloped with a boy from the next village. Her parents decided not to file a case because their community considered elopement a part of its tradition.

It turned out that the extended family was in financial trouble because of the lockdown, the young woman was an extra mouth to feed and when she eloped it was a relief to the family. However, she will now probably not continue with her education.

“During the lockdown there are food shortages, money is running out for many families, and daughters have the least priority,” explains Salina Tamang of Room to Read’s Girls’ Education Program.

Out of the 4,321 girls the program supports in the districts of Banke, Bardia, Tanahu, and Nuwakot, with distance learning through radio, 500 girls have been out of touch during since the lockdown. These were from families which were already deemed to be at high-risk of dropping out of school. But the good news is that a majority of the girls are in contact and continuing home studies through radio.

Room to Read has identified at least seven cases of child marriage since the lockdown started among the students it supports in Bardia and Banke districts alone. Many of the girls are in areas with poor phone connection, or the girls did not have their own phones to report regularly or talk about potential abusive situations.

A 16-year-old from Kohalpur in Banke stopped responding to calls from Room To Read, and it turned out she had run away with a boy in her class. Her mother tried to get her back, but could not travel because of the lockdown. She has not reported the case to the police because of worries that her daughter might commit suicide.

The Malala Fund estimates that 10 million more secondary school girls worldwide could be out of school once the crisis has passed. The lockdown has affected education worldwide, but in countries like Nepal it threatens to undo years of work to improve female literacy and reduce the dropout rate among girl students.

UNESCO estimates that nearly 90% of the students enrolled in education globally are currently out of school because of COVID-19 closures. This represents 1.54 billion enrolled children and youth, including nearly 743 million girls.

Back in western Nepal, five other girls between the ages of 14-17 in Banke and Bardia districts have run away from home to get married since the lockdown began, mostly with classmates or local boys. These are just cases in two districts after the lockdown, and only came to light because the girls were being closely monitored. There is a fear child marriages and trafficking will increase during the COVID-19 school closure.

One of them, a 17-year-old from Kohalpur, got married after her mother scolded her for having an affair. Another 16-year-old in Bardia decided to run away from home after harsh behaviour by her aunt at home during the lockdown.

Police are reluctant to register trafficking, child marriage and domestic abuse cases during the lockdown, and this has exposed the traditional lack of priority given to the safety women and girls in society, which the present crisis has magnified.

To help children continue to access the stabilizing force of education during this turbulent time, click here to make a donation.
https://give.roomtoread.org/campaign/covid-19-urgent-appeal/c278379

Room to Read COVID-19

《少女たちは将来のリスクに直面するが、女性メンターが救世主となる》

Room to Read COVID-19
[English]

ルーム・トゥ・リードCEO ギータ・ムラリ博士が、グローバル ウェブ マガジン『SHE-FILES』(2020.4.29)に寄稿した記事を紹介します。
(原文はこちらです:
https://she-files.com/covid-19-girls-face-risks-to-their-futures-but-women-mentors-bring-support/ )

新型コロナウィルス感染症:
少女たちは将来のリスクに直面するが、女性メンターが救世主となる
SHE-FILES 2020年4月29日

新型コロナウィルス感染症拡大が私たちの生活を変え続ける中、驚くべき真実が明らかになりました。低所得コミュニティの女性と少女は、特に社会的立場が弱く、多大な影響を受けています。

女性は多くの場合、コミュニティの世話をしながら最前線に立っています。世界保健機関(WHO)の分析によると、104カ国の医療・社会部門の労働力の70%を女性が占めています。また、特にジェンダーの固定観念が蔓延しているコミュニティでは、女性は病気の家族や隣人の世話をすることも期待されています。仕事に就いたとしても、女性の60%近くは、仕事の安全性がはるかに低いインフォーマル経済やギグエコノミーでの雇用にとどまっています。これらの仕事では、女性の収入は少なく、貯蓄も少なく、最終的には貧困に陥るリスクが高くなります。

私にとって最も心配なのは、教育への影響です。ルーム・トゥ・リードが女子教育プログラムを通じて支援している何万人もの少女や若い女性の将来について考えないわけにはいきません。学校閉鎖は、私たちの支援を受けている少女たちであっても苦労するでしょうから、そうでない場合はなおさらです。少女や若い女性が将来の可能性に支払うことになるであろう深刻なツケは広範囲に及び、取り返しのつかないことになります。

世界の多くの地域では、生徒たちが教室を離れることは、遠隔学習や友人とのしばしの別れを意味しますが、それ以外の多くの子どもたちにとっては、その影響は深刻です。世界中の低所得者層にとって、新型コロナウィルス感染症は、子どもの教育を永久に終わらせることを意味します。私たちは悲しいかな、その危険性をよく知っています。

私たちが活動している国々では、すでに少女たちの学校中退率の高さとの苦しい戦いに直面しています。だからこそ、私たちは現在、女子教育プログラムの提供を行っているすべての国で学校が閉鎖されていることを懸念しています。プログラムを通じて支援を行っている少女たちに会う最後の機会となり、多くの少女たちが学校に戻ることがないかもしれない、という厳しい現実に直面しています。

低所得者層コミュニティにいる少女たちは、若すぎる結婚や子どもを持つことへの大きなプレッシャーに直面しており、家庭内暴力や人身売買、レイプの被害者になる可能性があります。学校に支援的な環境がなければ、こうしたリスクは増大します。また、多くの人々は、この大流行の間、経済的に家族を支えるために、あるいは在宅ケアを通じて家族を支えるために、教育を放棄しなければならないという要求に直面することになるでしょう。これは少女にとって緊急かつ、非常に憂慮すべきことです。私たちは、人間の潜在的な可能性の中で確実に失われる可能性のある曲線を平坦にするための介入を実施しなければならない。

Room to Read
Sapana

サパナはネパールの21歳の女性で、ルーム・トゥ・リードの女子教育プログラムを卒業し、看護師になるという夢を叶えました。彼女は今、この大流行の最中、勇敢に、そして無私の心で患者のケアをすることで、地域社会を助けています。サパナは、少女を教育することで何が起こるかを証明しています。

教育への投資がなければ、これらのコミュニティには、教育を受けた若い女性の第一世代、医療従事者の第一世代は存在しなかったでしょう。サパナの言葉を紹介します。

「私の両親は、パンデミックを恐れて看護師の仕事を辞めるように言い張っていました。両親と長い間話し合って、ようやくパニックから解放されました。私は自分の仕事が大好きで、だからこそ一生懸命勉強したのです。人の役に立てるように」。

私たちは、支援方法を知っています。このような暗い時代にあって、私たちの希望の源は、身近な存在である強い女性メンターの存在です。ルーム・トゥ・リードの支援を受けている少女たちは、定期的にメンターと面会し、メンターは、少女たちの擁護者であり、指導者でもあります。このようにサポートを受けながら、障害を克服し、自分の道を切り開いていきます。少女たちの住まいが距離的に離れているため、メンターは自宅を訪問して、少女たちの健康状態を直接、確認することはできなくなっています。しかし、少女たちと定期的に連絡を取り合う必要性がこれまで以上に緊急性を増しているため、メンターは重要な仕事を継続するための解決策を模索してきました。

私たちのチームは、最も危険にさらされている少女たちを特定できているので、より集中的に支援をすることができます。「ソーシャル・モビライザー」と呼ばれる私たちのメンターは、少女とその家族に電話をかけ、可能な限りビデオチャットや会議を行い、少女たちが安全に、そして粘り強く教育を続けることができるようにサポートを行っています。

カンボジアでは、カンポンチャム地方で活躍するソーシャルモビライザー・ラニーは、現在、ロックダウン下ではありますが、140名の少女たちを担当しています。私たちの活動の理由は、女の子に力を与え、男女平等を実現することです。子どもたちが教育を受けている限り、社会はより良いものになるでしょう。ラニーをはじめ、ルーム・トゥ・リードのチームは、WhatsAppやFacebookメッセンジャーまで、ソーシャルメディアのチャンネルを駆使して、女の子とコミュニケーションを取るための革新的な方法を実践しています。女の子が携帯電話を持っていない場合は、メンターが、親や親戚、近所の人にコンタクトをして、携帯電話が利用できるようにサポートも行っています。

Room to Read CEO
ルーム・トゥ・リードCEO
ギータ・ムラーリ博士

 

 

◆この困難な時期にも子ども達が継続して教育を受けられるよう、ご支援をお願いいたします。

寄付はこちらから:
https://give.roomtoread.org/Together2020

Room to Read donation


********** ENGLISH **********

COVID-19: GIRLS FACE RISKS TO THEIR FUTURES BUT WOMEN MENTORS BRING SUPPORT
SHE-FILES 29th April 2020
https://she-files.com/covid-19-girls-face-risks-to-their-futures-but-women-mentors-bring-support/
(She-files is a global web magazine written by and for women – with no glass ceiling. We provide a platform that advances and informs public discussion. )

SAN FRANCISCO — As the COVID-19 pandemic continues to alter our lives, a startling truth has been realized that, sadly, mirrors trends of all global crises. Women and girls, particularly those in vulnerable communities, are disproportionately impacted.

Women are often on the front lines, caring for their communities. Women comprise 70% of the healthcare and social sector workforce in 104 countries, analyzed by the World Health Organization (WHO). Women are also expected to care for sick family members and neighbors, particularly in communities where gender stereotypes prevail. Even when it comes to work, nearly 60% of women are in the informal or gig economy where jobs are far less secure. In these jobs, women earn less, save less, and ultimately, are at greater risk of falling into poverty.

For me, the impact on education is most worrisome. I can’t stop thinking about the futures of the tens and thousands of girls and young women Room to Read supports through our Girls’ Education Program. They will struggle even with our support, let alone those who are dealing with school closures. The acute costs that girls and young women will pay in their future potential are far-reaching and even irreversible.

While time out of the classroom for students in many parts of the world may mean distance learning or separation from friends, for many other children, the implications are severe. For low-income communities around the world, coronavirus could mean the permanent end of a child’s education. We sadly know the risks too well.

The countries we work in already face uphill battles against high levels of school dropout for girls. That is why we are concerned that schools are closed in every country where our Girls’ Education Program currently operates. We are dealing with the realization that this will be the last time we see some of the girls enrolled in the program and that likely many of their peers will never return to school.

Girls in low-income communities face significant pressures to marry and have children too young, and can become victims of domestic violence, trafficking or rape. These risks increase without the haven of a supportive environment at school. Many will also face demands to abandon their education in order to support their families financially or through home care during this pandemic. This is an urgent and deeply concerning time for girls. We must implement interventions to flatten what will surely be a concerning curve in human potential lost.

Room to Read
Sapana

Sapana is a 21-year-old woman in Nepal, who graduated from Room to Read’s Girls’ Education Program and went on to fulfill her dream of becoming a nurse. She is now helping her community during this pandemic by bravely and selflessly caring for patients. Sapana is living proof of what happens when you educate a girl.

Without our investments in education, in these communities, we would not have the first generation of educated young women, the first generation of healthcare workers! In Sapana’s words: “My parents insisted that I leave my job as a nurse because they were afraid of the pandemic. After a long discussion with them, I was able to finally calm them out of the panic. I love my work and this is why I studied so hard…so that I can be of help to others”.

We know how to help. Our source of hope in these dark times comes from a familiar source – strong women mentors. Girls who are supported by Room to Read typically meet regularly with a female mentor assigned to be their advocate and guide while navigating obstacles to their education and charting their own paths. With communities physically separated from one another, our mentors can no longer conduct their home visits and check in on the well-being of the girls. However, the need to keep in regular contact with these girls is more urgent than ever, so mentors have sought out solutions to continue their important work.

Our teams on the ground are identifying girls most at risk, so we can support them more intensively. Our mentors, known as “social mobilizers” are calling the girls and their families on the phone and conducting video chats and conferences whenever possible, to ensure these young women are safe and remain tenacious in their pursuit of an education.

In Cambodia, Ranny is a social mobilizer working in the Kampong Cham region. She currently has 140 girls under her watch in her district despite the lockdown. Her motivation is an inspirational message to us all: “The reason for our work is to empower girls and reach about gender equality. As long as children are educated, society will become better.” Ranny and her team are innovating to communicate with the girls through social media channels, from WhatsApp to Facebook messenger. If a girl does not own a phone, the mentor helps her identify one to use from a parent, relative or neighbor.

We cannot let the doors of opportunity close forever on the future female scientists, healthcare workers, and leaders of our world. Let’s make sure they see the inside of a classroom again and are able to pave the way for a safer, healthier and more prosperous future for us all.

Room to Read CEO
Dr. Geetha Murali is the CEO of Room to Read, a non-profit organization creating a world free from illiteracy and gender inequality.

 

To help children continue to access the stabilizing force of education during this turbulent time, click here to make a donation.
https://give.roomtoread.org/campaign/covid-19-urgent-appeal/c278379

Room to Read donation