走るのが嫌いだった私が、フルマラソンへ:チャリティランナーインタビュー(脳科学者・恩蔵絢子さん)

フルマラソンを完走!笑顔でラウンジに来てくれた恩蔵さん。©東京マラソン財団

ルーム・トゥ・リード・ジャパンは、東京マラソン2027チャリティの寄付先団体です。6月24日から7月9日、いよいよ寄付申込及びチャリティランナーの申込期間が始まります!
(東京マラソン2027チャリティについて、詳しくはこちらをご覧ください)

今回は東京マラソン2026をチャリティランナーとして走った、脳科学者・恩蔵絢子さんへのインタビューを通して、「なぜ走るのか」、そして「なぜ人は寄付するのか」をテーマに、その想いに迫ります。

「走るのが嫌いだった私が、フルマラソンへ」
(東京マラソン2026チャリティランナー 恩蔵絢子さんインタビュー)

Q. もともと、マラソンは好きだったのですか?

いいえ、むしろ大嫌いでした!子どもの頃のマラソン大会は、一年で一番憂うつなイベントでした。
転機は約3年前です。「止まらずに3km走れた」という小さな達成感から始まりました。気づいたら距離が伸びていって。
そして、毎年東京マラソンチャリティを走っている恩師の存在が目標になりました。「この先生と一緒に走りたい。今しかない」と思い、挑戦を決めました。

Q. 脳科学の研究者として、どのようなテーマに向き合っていますか?また、女性研究者としての歩みについてもおしえてください。

もともとは思春期の感情や自意識を研究していました。
大きな転機は、母が認知症になったことです。

「記憶や能力が失われても、“その人らしさ”は消えるのか?」
その問いから、「認知症でも失われない能力」というテーマを研究しています。

一方で、女性研究者としての道のりは決して簡単ではありませんでした。理系分野では女性が少なく、ロールモデルもほとんどいませんでした。
それでも、文章や芸術ともつながる脳科学の分野と出会い、自分の人生と重なるテーマにたどり着くまで、時間をかけてきました。たくさんの女性のロールモデルとも、本を通して出会えたんです。

Q. なぜ、寄付先としてルーム・トゥ・リードを選ばれたのですか?

高校時代、本は私にとって“友達”のような存在でした。
本の中には、時代や国を越えて出会える人や知性があります。
だからこそ、本にアクセスできない環境にいる子どもたちに、読む機会を届ける活動に強く共感しました。
ルーム・トゥ・リードは、単に「本を届ける」だけでなく、子どもたちが自分の力で未来を切り拓く基盤をつくっている。そこに意味を感じました。

Q. チャリティランナーとして走ることには、どのような意味がありましたか?

フルマラソンはとても孤独です。痛みも苦しさも、すべて自分で引き受けるしかない。でも同時に、応援してくださる方の存在が、大きな支えになりました。涙が止まりませんでした。

「自分が走ることで、誰かの人生につながるかもしれない」。
その実感が、最後まで走り続ける力になりました。

Q. 実際に走ってみて、どんな気づきがありましたか?
フィニッシュ直前、いちばんつらい瞬間に、沿道から大きな声援をいただきました。
「人はこんなに弱っていても、それでも応援してもらえるんだ」と感じたんです。寄付も同じで、人は決して一人ではなく、誰かの支えの中で生きているのだと思いました。

Q. これからチャリティランや寄付を考えている方へメッセージをお願いします!

利他的な行動をする人のほうが幸福度が高いという研究は多くあります。
寄付は「誰かのため」だけでなく、自分自身の人生も豊かにする行為だと思います。「自分にもできる」という実感と、その責任が、人を前に進めてくれます。
たとえ小さな一歩でも、それが誰かの未来につながるのです。
今回、ルーム・トゥ・リードのチャリティランナーとして培った経験は、そんな実感を持てる、とても温かい経験でした。

恩蔵絢子(おんぞうあやこ)さん
上智大学理工学部物理学科卒業。東京工業大学大学院後期博士課程修了(学術博士)。現在、東京大学大学院総合文化研究科特任研究員。金城学院大学、早稲田大学、日本女子大学で非常勤講師を務める。専門は人間の感情のメカニズムと自意識。著書に『脳科学者の母が、認知症になる』『感情労働の未来』(河出書房新社)などがある。


ルーム・トゥ・リードと一緒に、東京マラソンチャリティを走りませんか?

▲本番前日、Shake-out runに参加したチャリティランナー。©東京マラソン財団

ルーム・トゥ・リードは、「子どもの教育が世界を変える」を信念に、29か国で6,000万人以上の子どもと少女たちへ教育を届けてきました。

東京マラソンにて、ルーム・トゥ・リードのチャリティランナーとして走ることで、子どもたちや少女たちがより明るい未来を切り拓くために必要な識字力とライフスキルを届けることができます。
2023年以降、600人以上の情熱あるランナーたちとその友人、ご家族、ご同僚…たくさんの方々が、世界中の50,000人以上の子どもたちへ教育を届けました。
2027年の東京を共に走り抜けませんか?


【申込期間】
2026年6月24日~7月9日
※チャリティランナーの選定方法は先着順ではございません。

【申込方法】
東京マラソン2027チャリティ特設ページ から、ルーム・トゥ・リード・ジャパンをお選びください。

【募集人数】
100名

【寄付金額】
16万円以上
※ご寄付は税制控除の対象となります。
※寄付金のほかに、別途大会参加費等がかかります。

✅ 日本円、米ドルをはじめ6通貨でご寄付いただけます。
✅ 企業マッチングで教育支援のインパクトを2倍に。
✅ ルーム・トゥ・リードのクラウドファンディングの機能をご利用いただけます。

詳しくはキャンペーンページをご覧ください。

東京マラソン2027チャリティの参加ステップはこちらをご覧ください。


📤東京マラソンチャリティに関するお問い合わせ
認定NPO法人ルーム・トゥ・リード・ジャパン
Web:https://japan.roomtoread.org/
e-mail: jp.marathon@roomtoread.org

ルーム・トゥ・リード・ジャパンは認定NPO法人です。ご寄付は税額控除の対象になります。個人・企業によるご支援やボランティア参加のご希望など、お気軽にお問い合わせください。
ルーム・トゥ・リード・ジャパンは東京マラソン財団チャリティ RUN with HEARTの寄付先団体です。

世界難民の日 │ 色鉛筆が描く未来ーレバノンの避難所から届いた物語

避難所で読み聞かせの時間を待つ子どもたち(レバノン)

紛争や迫害により、故郷を追われ、強制的に移動を余儀なくされた人々は世界で約1億2,000万人。そのうち約半数は子どもたちです(2025年 UNHCR発表)。

世界難民の日に寄せて、ルーム・トゥ・リードの難民地域の活動をお届けします。

色鉛筆が描く未来

レバノンのある避難所で、一人の男の子がルーム・トゥ・リードが届けた支援パックに入っていた色鉛筆の箱を取り出しました。

その子は静かに紙に向かい、絵を描き始めました。
故郷にある、住み慣れた自分の家を。
安心して暮らせる未来を。

懐かしい記憶を辿り、絵を描く男の子(レバノン)

避難生活の中で、絵を描くことは単なる遊びではありません。希望を表現する手段であり、自分の未来を思い描く時間でもあります。

学ぶ場所をつなぎつづける

2025年には、ルーム・トゥ・リードはレバノンにおいて30の図書室を開設し、約7,000人の子どもたちに本と出会う機会を届けました。また、70名以上の教師への研修を通じて、子どもたちが安心して読書を楽しめる環境づくりを進めています。

子どもたちは週に2回、本の読み聞かせや物語を通じた活動に参加し、想像力を働かせながら安心できる時間を過ごしています。

週2回の読み聞かせは子どもたちにとってかけがえのない時間

本には、子どもたちが未来を描く力がある

「家を離れたときはとても怖かったけれど、ここで友達ができました。本を読んでいると、みんなが安全な場所で笑っている姿を思い描くことができます。」

そう話してくれたのは、避難所で暮らす子どもの一人です。

ルーム・トゥ・リードはレバノン、ヨルダン、ガザ地区等の中東地域をはじめ、ロヒンギャ難民キャンプやアフガニスタン難民等、世界中の難民コミュニティで、子どもたちに本と学びの機会を届けています。

どのような状況にあっても、子どもたちには学ぶ権利があります。
そして本には、子どもたちが未来を描く力があります。
世界難民の日にあたり、教育がもたらす希望について、改めて思いを寄せていただければ幸いです。

避難所で生活する子どもたちへ教育を届けませんか?

160円のご寄付で、現地語の児童書1冊、またはジェンダー平等を支えるライフスキル教育1日分を子どもたちに届けることができます。
1万円で、子ども1人が1年間、読み書きの教育を受けることができます。

アラビア語の児童書を点検、発送する現地職員

【難民支援関連の活動】

▶少数派および難民コミュニティでの取り組み
▶喪失から「読む力」へ: レバノンで広がる「読書コーナー」

【ご案内】
▶東京マラソン2027 チャリティ応募が始まります!(6月24日~7月8日)
▶本・CD・DVD 買取金額20%UPキャンペーンを実施しています(6月30日まで)

📤お問い合わせ │ Inquiry:
認定NPO法人ルーム・トゥ・リード・ジャパン
Web:https://japan.roomtoread.org/
e-mail: japan@roomtoread.org
ルーム・トゥ・リード・ジャパンは認定NPO法人です。ご寄付は税額控除の対象になります。個人・企業によるご支援やボランティア参加のご希望など、お気軽にお問い合わせください。

ノンフィクションの児童書がもたらす教育と学びの広がり(ラオス識字教育プログラム)


低学年の学習者のためにラオスのクリエイターたちが特別に制作した、新しいノンフィクションの児童書集の登場は、この国の識字教育の状況における、静かではあるものの重要な変化を示しています。北部のシエンクワーン県から南部のチャンパサック県の平野部まで、これらの本は低学年向けコンテンツの決定的な空白を埋めつつあります。

フィクションは長きにわたり想像力を刺激し、楽しい読書体験を提供してきましたが、これまでラオスの子どもたちには、ラオス語で書かれた高品質なノンフィクション図書を通じて現実世界を探求する機会がほとんどありませんでした。

長年、教師たちは事実を伝えるためにほぼ標準的な教科書にのみ頼っていました。そのため、子どもたちの好奇心を惹きつけるように特別にデザインされた本を通じて、情報に触れる機会が限られていたのです。

チャンパサック県の学校では最近、ラオス人の作家やイラストレーターが制作し、ルーム・トゥ・リードが厳選したノンフィクションの児童書集を受け取りました。私たちは、これらの本が実際に活用されている様子を見に行きました。
読み聞かせや語彙力構築のためにデザインされたこれらの本は、単に読書コーナーを埋めるだけにとどまらず、子どもたちの事実との向き合い方を変え、新鮮で親しみやすい学習方法をもたらしています。
nonfiction children's books

ノンフィクションの児童書で、教えることがより簡単に、より魅力的になる

ラオスにおいて、ノンフィクションの児童書は珍しい存在です。ほとんどの教育者、そしてほとんどの生徒がフィクションにしか親しんでいません。歴史的に見て、現実世界の概念を教えることは課題とされてきました。魅力的で子どもに優しい教材がない中、教師たちは標準的な教科書だけで生徒の注意を引きつけることに苦労してきたのです。

ルーム・トゥ・リードのノンフィクション児童書コレクションの登場は、教育と学習に新たな体験をもたらします。このコレクションは、科学、テクノロジー、文化、環境学習、公民、歴史など、ラオスの小学1~3年生の国定カリキュラムのテーマに基づいて開発されました。遊び心のあるイラストと年齢に応じたストーリー展開でこれらのテーマを紹介することで、幼い読者はより簡単に現実世界を探求できるようになります。また、教師にとっては主要科目を教える前に生徒に基礎知識を身につけさせることができ、複雑なトピックへの移行がより効果的になります。

バンムアン完全小学校の複式学級の教師であるブンヤン先生は、この変化を目の当たりにしました。「これらの本のおかげで、複雑なテーマを説明するのがとても簡単になりました」と彼女は言います。
「例えば、『私たちの太陽系を知ろう』という本は、私たちと太陽との間にある重要なつながりに生徒たちを気づかせてくれます。」

nonfiction children's books

ノンブア完全小学校のブンタウィー先生にとっても、その影響は一目瞭然でした。彼は、「サケの旅」という本を読んだとき、生徒たちはただ聞いているだけではなかったと語りました。

生徒たちは、サケの見た目や生態について互いに議論し始めたのです。教師たちは、ノンフィクションの本を使用することで、生徒の関心、読み書きのスキル、語彙力の発達が向上していることも観察しました。

ブンヤン先生は、生徒たちが徐々に本に夢中になっていった様子について次のように説明しています。

「最初は、『私たちの太陽系を知ろう』のように、生徒たちが慣れないテーマのノンフィクション本を読んだ時は、ついていくのが少し難しいようでした。しかし、何度も読むうちに、生徒たちはストーリーを楽しむようになり、新しい概念やアイデアを理解できるようになりました。読み聞かせのたびに彼らの関心は高まり、何度も何度も聞きたいと言うようになりました。」

生徒が新しい言葉に出会ったとき、イラストが対象物を認識する助けとなり、この結びつきが語彙の急速な成長への道を開きました。子どもたちは授業で発言することに自信を持ち、進んで音読をするようになり、さらに多くの本を読みたいという意欲が高まりました。

身近なテーマも新しい世界も、どちらも学習意欲を刺激する

ノンフィクションの児童書の中には、生徒たちがすでにそのテーマに親しんでおり、さらに詳しく知りたいと思っていたために、すぐに生徒たちの心を掴んだものもありました。2年生のコッドくんはこう語りました。

「ハチミツが大好きだから、『ミツバチ』の本が好きです。おいしいからです!庭の花から甘い汁を集めて、巣に持ち帰るミツバチを見たことがあります。」

他の本は、好奇心を刺激する新しい知識を紹介してくれました。2年生のリアンさんはこう説明しています。

「おばあちゃんも家で『私たちの太陽系を知ろう』を読んでくれました。私が気になっているのは、地球が太陽の周りを回っていることです。他の惑星の中で、地球が一番好きです。私たちの家だからです。」
彼女は、「これは月、あれは火星」と言いながら、音読の練習まで始めたそうです。

子どもたちの目を通して世界を探求する

生徒たちは特に、物語やテーマが自分たちの日常生活と結びついている本が大好きです。竹がどのように成長し、おもちゃ、家具、家を作るためにどのように使われるかを詳しく説明した物語『どこもかしこも竹、竹』に刺激を受けたという2年生のドゥくんは、こう語ってくれました。「竹は、ブンポーみたいなおもちゃを作るのに使えます。友達と一緒にブンポーのおもちゃを作って、遊ぶつもりです。」

ドゥくんはさらに、この本を日常生活と結びつけて、「家では、竹はもち米を入れるカゴや、フェンス、鶏の小屋にも使われているんだ!」と付け加えました。
同じく2年生のアリンさんは、「両親に竹でおもちゃを作ってもらうように頼んでみます。友達と一緒にそれで遊びたいです」と言いました。
nonfiction children's books

生徒たちはまた、自分たちがすでに知っている場所を本の中で見つけることも楽しみました。ボくんは、『4,000の島』という本に感激した様子を話してくれました。この本は、カンボジア国境近くのラオス南部、メコン川に浮かぶ川の群島である4,000の島(シーパンドン)の自然と生態系の驚異を描いたものです。

「島の景色が綺麗なので、4,000の島の本が好きです。お父さんとお母さんと一緒に一度そこへ行ったことがあります。行く前にこの本を読みました。綺麗で、読んでいて楽しいです。」

他の本、例えばラオスに残された不発弾について書かれた『地中のモンスター』などは、生徒たちが安全や、地域社会が直面している現実の課題を理解するのに役立っています。プンくんは『地中のモンスター』を指差し、手を大きく広げて自分が見た爆弾の大きさを示しました。彼は次のように話しました。

「山の畑で爆弾を見たんだ。これくらいの大きさだった。ドクロの警告標識も見たよ。お父さんに近づかないように言われて、気をつけないといけないんだって学んだよ。」

プペイさんは、以前スターフルーツの木を植えるために土を掘ったことがあると話してくれました。ちなみに、その木はこれまでに2回実をつけたことを彼女は強調していました。先生が読み聞かせてくれた『地中のモンスター』を聞いた後、彼女は地面の下には爆弾があるかもしれず、庭ではもっと注意しなければならないことに気づきました。

持続的な変化を見つめて

バチェン完全小学校の校長であるブアパン先生は、学校生活の中でこれらの本がどのように使われているかを説明し、次のように述べています。

「教える側にも学ぶ側にも、多くのメリットがあります。教師たちはノンフィクションの本を読書の時間に取り入れているため、生徒たちはキャラクターや身近なテーマを楽しむだけでなく、物語を通して新しいテーマを探求し、学んだことを日常生活に応用することができます。」

彼はまた、「ノンフィクションの本は、上級生がペア読書のセッションで下級生にもっと読み聞かせをするように促すため、学年を超えて強力な識字スキルをサポートしてくれます」と付け加えました。

ノンフィクションの児童書の導入は、適切な読書教材にアクセスすることがいかに学習体験を変化させうるかを示しています。生徒にノンフィクションを読み聞かせながら質問を投げかけることで、主要科目を教え始めるずっと前から、その内容が知識の基盤を構築するのに役立つことに教師たちは気づきました。教師たちの観察によると、物語を通じてそのテーマに触れた後の方が、子どもたちは主要科目に対してより強い好奇心を抱くとのことです。

地元で制作されたノンフィクションの児童書をラオス全土の教室に届けることで、ルーム・トゥ・リードは、子どもたちが読者として、思考者として、そして自信に満ちた学習者として成長し、自らの可能性を最大限に発揮できるよう支援しています。


執筆:ルーム・トゥ・リード・ラオス
シリポーン・シリポンパン(コミュニケーション&開発担当シニア・オフィサー)
アーティット・マスワン(識字ポートフォリオ、優良読書教材プログラム・マネージャー)
原文URL:Nonfiction children’s books – Room to Read
翻訳:Tokuko Masago


📤お問い合わせ │ Inquiry:
認定NPO法人ルーム・トゥ・リード・ジャパン
Web:https://japan.roomtoread.org/
e-mail: japan@roomtoread.org
ルーム・トゥ・リード・ジャパンは認定NPO法人です。ご寄付は税額控除の対象になります。個人・企業によるご支援やボランティア参加のご希望など、お気軽にお問い合わせください。

ライフスキル教育と人生の変化:センホンと121人の少女たち(カンボジア 女子教育プログラム)


カンボジアの小さな村、竹の床が敷かれた質素な木造の家に産まれたヴェット・センホン(Vet Senghong)という名の少女は、苦難に満ちた世界で育ちました。

4人の子どもを育て上げた、強く献身的なシングルマザーである彼女の母親は、家族を養うためにトウモロコシを売っていました。その貧しさゆえに、周囲からは陰口や批判、同情の声が寄せられました。多くの人々は、彼らの運命は決まっており、この家族が苦境から抜け出すことは決してないだろうと考えていました。

しかし、センホンは子供の頃から、自分の運命を変えようという決意を静かに抱き続けていました。

彼女がルーム・トゥ・リードの女子教育プログラムに参加した日から、すべてが変わり始めました。自分を信じてくれるメンターたちに囲まれ、彼女はこれまで想像することさえできなかった未来を、はっきりと見据えるようになりました。励ましやライフスキル教育、そして心のケアを通じて、彼女は自信、困難から立ち直る力、そしてこれまで経験したことのない希望を育むことができました。そしてこの数年の間に、彼女は自分でも気づかなかった才能〜人々の心を動かす物語を書く能力〜を見出していったのです。

在学中に彼女は初の著書を出版し、それは新たな夢と、若手作家としての新たなアイデンティティの始まりとなりました。

彼女の教育への情熱は高校卒業後も続きました。現在、センホンはクメール文学を専攻する大学4年生です。彼女の家族にとって、この成果は並外れたものです。センホンにとって、これは献身と機会があれば、かつては不可能だと思われていた扉さえも開くことができるという証です。教育は彼女自身の自己認識を一変させ、より明るい未来を追い求めるための自制心、ビジョン、そして勇気を彼女に与えてくれました。

センホンさんが、新型コロナウイルスのパンデミック下での学びについて体験を語ります(英語)

この変化をきっかけに、彼女は再びルーム・トゥ・リードに戻りました。今回は生徒としてではなく、メンター(ソーシャル・モビライザー)として。かつて自分を導いてくれたのと同じ役割を担い、彼女は現在、ルーム・トゥ・リードのライフスキル教育の教材とカリキュラムを活用し、3つのクラスに所属する121人の少女たちを指導、支援しています。彼女は、かつて誰かが自分にしてくれたように、彼女らの話に耳を傾け、励まし、困難な時には寄り添います。かつては導きを必要としていた少女が、今では他の人々にとっての支えとなり、地域社会から信頼され、尊敬される若きリーダーとなっています。

この1年は、彼女の歩みの中で最も注目すべき年の一つとなりました。センホンは2冊目の著書を出版し、新進作家としての存在感をさらに強めました。また、全国規模の「サムデック・フン・セン短編小説コンクール」で3位に入賞し、その才能、創造性、そして不屈の努力が高く評価されました。

今、村の人々はセンホンとその家族を以前とは違った目で見ています。彼女は、教育が自分の人生を「180度」変えたと誇らしげに語り、今では兄弟姉妹も、自分たちにも可能性があると知ることで、以前より一生懸命勉強しています。かつて批判されていた少女は、今や地域全体から称賛される存在となりました。彼女は自分自身のためだけでなく、家族や、自分が指導する多くの少女たちのためにも、未来を変えてきたのです。

かつて自分と同じような困難に直面している少女たちに語りかける時、彼女のメッセージはシンプルでありながら力強いです。

「教育は、より明るい未来への道です。自分を諦めないでください。どんな問題にも解決策はあります。」

これは、恐怖や病気、貧困、そして迷いという困難と戦いながらも、夢を見続けることを決して諦めなかった人の、実体験に基づく真実です。

センホンは、いつか自分の出版社を立ち上げ、そこで若い作家たちを育てながら、これからも自分の声を通じて人々に希望を与え続けたいと願っています。彼女の人生は、少女に学ぶ機会が与えられたとき、何が実現し得るかを如実に物語っています。

彼女は立ち上がる
彼女は先頭に立つ
彼女は他の人々も共に立ち上がれるよう手助けする

そして彼女は、自分の村をはるかに超えて広がる、力強い変革の連鎖の一員となります。

「サムデック・フン・セン短編小説コンクール」で3位に入賞したセンホン


ダニー・ソー著
ルーム・トゥ・リード・カンボジア
広報担当

 

 


原文URL:
https://www.roomtoread.org/the-latest/life-skills-education/

翻訳:竹内 裕人


📤お問い合わせ │ Inquiry:
認定NPO法人ルーム・トゥ・リード・ジャパン
Web:https://japan.roomtoread.org/
e-mail: japan@roomtoread.org
ルーム・トゥ・リード・ジャパンは認定NPO法人です。ご寄付は税額控除の対象になります。個人・企業によるご支援やボランティア参加のご希望など、お気軽にお問い合わせください。

母の視点から見る女子教育│ベトナム訪問レポート : Girls’ Education Through a Mother’s Eyes | Vietnam Field Visit Report

English follows after Japanese
母の視点から見る、ルーム・トゥ・リードの女子教育

5月10日は母の日。 お母さんへの感謝を伝えるとともに、「子どもたちにどんな未来を歩んでほしいか」を改めて考える日でもあります。その想いは、国や環境が違っても変わりません。

このたび、ルーム・トゥ・リードを18年間にわたって支えてくださっているリージョナルボードメンバー、ゴールデン エリック・綾子ご家族が、ベトナム・ハノイ郊外の中学校を訪問し、女子教育プログラムを視察されました。

ベトナムは急速な経済成長を遂げる一方で、地方や少数民族の地域では教育水準や識字率に大きな格差が残っています。中でも、取り残されやすいのが少女たちです。現地では、教育はどのように少女の未来を切り拓いているのでしょうか。双子の子どもたちのお母さまでもある、綾子さんに伺いました。



▲タイムマネジメントの授業の様子

■ 今回の訪問で最も心に残った瞬間はなんですか?
綾子さん:女子教育プログラムの「ライフスキル」の授業では、タイムマネジメントを学び、生徒たちが自分の一日のスケジュールを発表しました。少女たちは積極的に手を挙げ、目を輝かせながら自分の一日について話してくれました。


▲少女たちと対話する綾子さん

特に印象的だったのは、多くの生徒が朝5時に起き、登校前に家事を手伝っていること。学業と家事を両立しながら、自分だけでなく家族も大切にしている姿に、深く胸を打たれました。私の子どもたちと同世代ということもあり、すぐに打ち解けて、たくさんの質問を投げかけてくれました。その様子から、学ぶことへの強い意欲と喜びをひしひしと感じました。

■ 綾子さんは双子のお子さんのお母さまでもあります。母として、今回の訪問から感じたことを教えてください。
綾子さん:同じ年頃の子どもを持つ母として、当たり前に教育を受けられる環境の尊さを改めて実感しました。少女たちは毎朝早起きをして家事を終え、宿題をし、「楽しみで待ち遠しい」学校に通うために長い時間をかけて登校します。


生まれた国がどこであれ、子どもは本来、みんな同じように夢を描き、学ぶ権利を持っているはずです。目の前にいるこの子たちが教育を諦めることなく、将来の選択肢を大きく広げられる世界にしたいと、改めて思いました。

■ご支援者の皆さまへ、メッセージをお願いします!
綾子さん:訪問を通じて、ルーム・トゥ・リードの活動が確実に子どもたち一人ひとりの可能性を広げていることを実感しました。教室で見た少女の自信に満ちた表情や、「勉強が好き」、「学校に行くのが待ち遠しい」と話してくれた言葉の背景には、多くの方々のご支援があります。

どんなに小さくても、積み重なることで子どもの未来を大きく変える力になると信じています。ぜひ多くの方に関心を持っていただき、少女たちが安心して学び続けられる環境づくりにご参加いただければ幸いです。


母の日、未来を贈るという選択

低所得地域では、女子の中等教育修了率は男子の3分の2以下にとどまっています。この教育格差は、早すぎる結婚や限られた選択肢につながり、年間1,600億円を超える経済的損失をもたらします。
ルーム・トゥ・リードはこれまで、世界中で410万人の少女が教育を受け続けられるよう支援してきました。

「学校に行くのが待ち遠しい。」

そう語る少女たちが、学びを続け、自分の未来を切り拓けるよう、母の日に教育というプレゼントを届けませんか?

・1,000円で、思春期の少女の勇気を後押しする書籍が1冊届きます。
・10,000円で、ライフスキル教育を3カ月提供できます。
・35,000円で、少女1人が女子教育プログラムに1年間参加できます。


◆関連情報
・ルーム・トゥ・リードの女子教育プログラム: ライフスキルでリードする
・ジョバの物語〜ライフスキル教育セッションを通じて夢を追いかける
・「教育で、人生は変わる」日本で働くルンニーの今(ラオス女子教育プログラム卒業生)


▲リージョナルボードメンバーのエリックさん(左から二番目)。満面の笑みの少女たちと共に。

📤お問い合わせ
認定NPO法人ルーム・トゥ・リード・ジャパン
Web:https://japan.roomtoread.org/
e-mail: japan@roomtoread.org
ルーム・トゥ・リード・ジャパンは認定NPO法人です。ご寄付は税額控除の対象になります。個人・企業によるご支援やボランティア参加のご希望など、お気軽にお問い合わせください。


ENGLISH

Girls’ Education Through a Mother’s Eyes | Vietnam Field Visit Report

May 10 is Mother’s Day.
It is a day to express gratitude to mothers, and also a moment to reflect on the kind of future we hope our children will live in. This wish is universal, regardless of country or circumstance.

Recently, Eric and Ayako Golden, a Regional Board member who has supported Room to Read for 18 years, visited a lower secondary school on the outskirts of Hanoi, Vietnam, to observe our Girls’ Education Program.

While Vietnam continues to experience rapid economic growth, significant disparities in educational access and literacy remain in rural and ethnic minority communities. Girls are often the most affected. In this context, how is education helping to shape their futures? We asked Ms. Ayako, who is also a mother of twins, to share her reflections.



▲ Life skills class on time management

■ What was the most memorable moment of your visit?

Ayako:
In a life skills class on time management, students presented their daily schedules. The girls actively raised their hands, speaking confidently and with bright expressions as they shared their routines.


▲ Ayako in conversation with students

What struck me most was that many of them wake up at 5 a.m. to help with household chores before school. Balancing both study and family responsibilities, they showed a deep sense of care for not only themselves but also their families. As they were the same age as my own children, they quickly opened up and asked many questions. I could strongly feel their curiosity and joy in learning.

■ As a mother of twins, what did you feel during this visit?

Ayako:
As a mother of children the same age, I was reminded of how precious it is to have access to education as a given.

These girls wake up early each morning, complete household chores, do their homework, and then travel long distances to attend school they say they “look forward to with excitement.”

Regardless of where a child is born, every child should have the same right to dream and to learn. Seeing these girls in front of me, I felt even more strongly that we must build a world where they do not have to give up on education, and where their future choices can be greatly expanded.


■ A message to our supporters

Ayako:
Through this visit, I deeply felt that Room to Read’s work is steadily expanding each child’s potential.

Behind the confident expressions of the girls I met, and their words—“I like studying” and “I look forward to going to school”—there are many people whose support makes this possible.

I believe that even the smallest contributions, when accumulated, can profoundly change a child’s future. I hope many more people will take interest and join us in creating an environment where girls can continue learning with confidence and safety.


Mother’s Day: A Choice to Give the Gift of the Future

In low-income communities, the rate of girls completing secondary education remains less than two-thirds that of boys. This education gap contributes to early marriage and limited life choices, resulting in an estimated annual economic loss exceeding 16 billion yen.

To date, Room to Read has supported over 4.1 million girls around the world in continuing their education.

“I look forward to going to school.”

To help more girls continue learning and shape their own futures, why not give the gift of education this Mother’s Day?

  • ¥1,000 provides one book that supports a girl’s confidence during adolescence
  • ¥10,000 provides three months of life skills education
  • ¥35,000 supports one girl in the Girls’ Education Program for one year▲ Regional Board member, Eric Golden (second from left), together with smiling students.

📤 Contact Us:
Room to Read Japan (Certified NPO)
Web: https://japan.roomtoread.org/
Email: japan@roomtoread.org

Room to Read Japan is a certified nonprofit organization. Donations are tax-deductible. We welcome inquiries about school partnerships, individual and corporate support, and volunteer opportunities. Please feel free to reach out to us.